予防歯科の浸透をめざした
チーム医療について
たかはしデンタルクリニック
(相模原市緑区/橋本駅)
最終更新日:2025/06/09


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虫歯や歯周病といったトラブルを未然に防ぐのはもちろん、万一病気にかかってしまった際の早期発見・早期治療にも有効なのが予防歯科。その重要性には気づいていながらも、特に痛みや不具合を感じないからといまだ歯科の定期受診を習慣づけていない人も少なくないだろう。「予防歯科は虫歯や歯周病を防ぐだけでなく、全身の健康を守るという観点からも大切なものです」と話すのは、橋本駅南口近くで「たかはしデンタルクリニック」を運営する高橋昌宏院長。同院では、歯科医師を中心に、歯科衛生士、歯科助手、事務スタッフらがチーム医療で予防歯科の実践とその普及に取り組んでいるという。チームで実践することで、患者のメリットもより高まるという予防歯科。その詳細と根底にある思いを聞いてみた。
(取材日2025年5月12日)
目次
複数の視点から隠れたリスクを素早く察知し、改善への道筋を開くチーム医療による予防歯科
- Q予防歯科とはどのようなものなのでしょうか。
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A
▲予防歯科に注力していると話す院長
予防歯科というと虫歯治療や歯周病治療と思われている方が多いと思いますが、それだけではありません。全身の健康を守るという観点からも、予防歯科は重要なのです。お口の中の炎症は、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病や、脳梗塞、心筋梗塞といった血管疾患に深く関わるとされています。リウマチや掌蹠膿疱症、腎臓疾患などの病気が口内環境と関連していることもあるようです。これらの全身疾患も含め、全身の健康を守るために、当院では予防歯科に力を入れています。これにより、健康寿命の延伸にもつながるとも考えています。
- Qこちらの予防歯科、メンテナンスの特徴を教えてください。
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A
▲定期的なメンテナンスが重要
3ヵ月に1度程度の定期メンテナンスを推奨しています。お口の中は、患者さんが気づかないうちに変化が起きていることも多いので、全体をくまなくチェックし、クリーニングや必要に応じて治療をします。時には歯肉の悪性腫瘍が見つかることもあり、口腔がんは本人が早期に気づくことが難しいので、こうした定期チェックが重要です。汚れは染め出しで可視化し、パウダーを使った歯面清掃器で除去を図ります。機能面については、舌の使い方や咀嚼嚥下の正しい方法を指導。特にご高齢の方の場合は、全身のフレイルにつながる恐れのあるオーラルフレイルの防止に努めています。近年のお子さんでは口唇閉鎖不全も多く、そのチェックも欠かせません。
- Q患者さんと接する際にチームで心がけていることは何ですか。
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A
▲患者が安心して通院できる環境づくりに注力している
患者さんに気持ち良く通い続けてもらえることが何より大切です。そのために、なるべく押しつけるのではなく、患者さん本人が「やってみようかな」と思えるような声がけを心がけています。ご自身が主体的にならなければ、医療者がどんなに「やってください」と言っても伝わらないものです。そこで、その方に必要な注意点や口腔環境を良くするヒントなどを治療説明にプラスして、予防の必要性を気づいていただけるよう働きかけます。診療の前後や合間のちょっとした会話にも気を配り、心を開いてもらえるよう努めています。こうしたコミュニケーションが、私たちの声が届きやすい状況をつくることにもつながると思うのです。
- Qスタッフ間の共有も大切にされているのですね。
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A
▲歯科医師、歯科衛生士、受付スタッフが密に連携している
どのスタッフが担当しても、同じ内容を継続的に提供できるよう統一しています。そのために、歯科医師、歯科衛生士、受付スタッフの全員で、患者さん情報を共有できるシステムを導入し、活用しています。エックス線画像や歯周病検査結果から次回予約まで、情報を一元管理することで、記入漏れや間違いが減らせます。また、どこでも参照できるので利便性も高まるのです。また、同時に毎朝朝礼を行って、全員の体調やその日の予定などを確認します。困り事や気がかりがあればその場で共有できますし、顔を合わせることで小さな変化にも気づけます。全員で協力する意識を高めるためにも、顔を合わせる機会を持つことは大切だと感じています。
- Qチーム医療は患者さんにとってもメリットが大きいのですね。
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A
▲複数の視点から患者を診ることで質の高い歯科医療の提供をめざす
治療を行うのは歯科医師ですが、それ以外にも多くのスタッフが患者さんに視線を向けることで、より多くの気づきを得られます。患部に注目しがちな診療中には見落としてしまうような周辺部の粘膜の異変などに、メンテナンス担当の歯科衛生士が気づく場合もありますし、受付スタッフが来院時の様子から体調不良を察知するというケースもあるのです。複数の視点からの気づきを診療に反映させることは、患者さんにとっても大きなメリットとなります。また、患者さんの意識への働きかけについても、チーム全体で取り組むことでより効果が出てくると考えています。