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泉水 信一郎 院長の独自取材記事

みんなのクリニック大井町

(品川区/大井町駅)

最終更新日:2019/10/02

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大井町駅と青物横丁駅の2駅からアクセス可能な住宅地にある「みんなのクリニック大井町」。2019年4月にリニューアルしたバリアフリーの院内は、明るい色彩でまとめられた居心地の良い待合室とキッズルーム、2つの診察室を備えている。医療法人社団花橘会が運営する同院の大きな特徴は、科目別や臓器別の診療ではなく、性別や年齢、臓器にとらわれない総合的な診療だ。家庭医療と呼ばれるこの分野で長年経験を積んできた泉水信一郎(せんすい・しんいちろう)院長は「私たちは日常病を専門とする身近な相談員です」と話す。親しみやすい雰囲気と明るい笑顔が魅力の泉水院長に、クリニックのコンセプトや家庭医療の特徴について聞いた。
(取材日2019年8月29日)

複合的な原因で起こる健康問題に広く対応する家庭医療

家庭医療とはどのようなことを専門とする分野なのですか?

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家庭医療とは、臓器によらず、老若男女関係なく診療する分野です。言ってみれば私たちは「日常病を専門とする相談員」。皆さんがよくかかる、皆さんに一番関わりのある日常病をコントロールし、バランス良くケアしていくことを大事にしています。病気や体の不調は体の問題だけが原因となっているわけではなく、その人の抱える心の問題や生活背景、経済状況や住んでいる場所、家族構成なども影響している場合があります。そして、同じ病気にかかっても人によって置かれている状況や問題はまったく異なります。そこで当院では、バイオ・サイコ・ソーシャル(生物・心理・社会)モデルやPCCM(Patient Centered Clinical Method)と呼ばれる理論を学んでいます。単に複数の科を診るのではなく、それらを統合して診る包括的な医療をめざしています。

身近な医療施設で総合的に診てもらえるのはありがたいですね。

そうですね。家庭医療を提供する医師にとって「病気の予防」も専門分野の一つなのですが、特に私たちは、自分の見ているコミュニティーを「リスクを持った集団」としてみています。患者個々としてだけでなく、住民の集団としての両方の視点からコミュニティーをケアする事を考えています。例えば、風邪で来院された患者さんは大事な出会いの場になります。健康問題にどう介入していくか。例えば、禁煙につながれば、その人だけでなく、その人の関わるすべてに生涯を通して大きな影響となりえます。そういう出会いを大事にした治療を心がけています。

ほかにも家庭医療ならではの対応はありますか?

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継続的に関わっていくことを大事にしています。その人を通して家族も診ていきますから、家族みんなで一緒にかかるというだけでなく、ご家族の相談をしていただくこともあります。人はシステムのようにいろいろな要素が組み合わさっているので、そこを意識していますね。私たち家庭医療を専門とする医師はそのためのトレーニングを受けてきていますし、外来のトレーニングも受けています。世界では家庭医療が一般的な国も多いのですが、日本では、この分野を専門とする医師はまだ数少ないのが現状。当院には、事務スタッフも含め、家庭医療を展開したいという共通の思いを持っているスタッフが集まっているので、そこをしっかりと実践していきたいと思います。

人生そのものに関わっていく家庭医療の道へ

2019年の4月にリニューアルされたばかりだそうですね。

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院内のリニューアルと同時に小児科をスタートさせ、年内には訪問診療も始動する予定です。予防接種の予約も開始していて、必ず看護師が対応し相談に乗りながら予約を取るようにしています。あとは認知症やそれに関わる検査も行っています。当院に在籍している3人の医師のうち2人は認知症サポート医で、僕も以前は物忘れの相談などを担当していましたから、認知症の相談にも乗ることができます。私の前職は職員が60人以上いる規模の大きな診療所の所長で、認知症カフェや子ども食堂、障害者向けの作業所との交流など、健康問題を持った人たちが集まれるような地域活動を行っていました。当院は、規模の小さいクリニックではありますが、同じような活動を地域の方々と一緒に取り組んでいけたらいいですね。

ところで、先生が医師になろうと思われたのはなぜですか?

高校1年の頃、古本屋でたまたま手にして読んだのが、聖路加国際病院名誉院長であった日野原重明先生の本でした。これまで主治医として看取ってきた多くの患者さんたちの姿を描いたもので、最初に16歳ぐらいの女の子の話が出てくるのですが、そこにプライマリケアの先生が言った「時に癒やし、ときどき和らげ、常に支える」という言葉がありました。病気は治る、治らないという視点で見ますが、日野原先生の本には、病気が治るということはなかなかないけれど、時々癒やし、和らげることはできる。そして、常に支えることはみんなができることだと書かれていました。そういう考え方もあるのだなと思い、不治の病にかかった人を支え続ける医療があるのなら、やってみたいなと思いました。実は日野原先生は日本で家庭医療をつくりましょうと提唱された第一世代で、奇しくも僕が医師をめざすきっかけをつくってくれた方でもあります。

家庭医療の道に進んだきっかけなどはあるのですか?

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大学1年生の頃から大学病院の小児科病棟を訪問し、読み聞かせのボランティアをしていました。その縁で夏のキャンプに来ないかと誘われ、大学5年生から参加しました。そのキャンプに夏を越せるか危ぶまれていた子が参加していました。キャンプ場まで保護者の車で来て、現地でも酸素吸入が常に必要な状態でした。一緒に闘病していた子が車いすを押して遊んでいたのですが、その数日の間にだんだん元気になって最終日には座ることもできるようになり、その夏に退院できるまでになりました。その子だけでなく、子どもは子どもらしくしている時間が大事で、私たちも自分らしさというのはすごく大事なんだと感じました。小児科の道を考えた時期もありましたが、そのキャンプでの経験を通して、急性期だけでなく慢性期や最期の時など、その人らしい人生そのものに関われるような分野はないかと考えている時に家庭医療と出会い、今の道にシフトしていきました。

地域とともに健康をつくるクリニックをめざして

地域にとってどのようなクリニックをめざしていますか?

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例えば、この間全身がかゆいと言って皮膚科を希望された患者さんがいらっしゃいました。しかし、痒み以外の症状に目を向けると、実際は甲状腺の病気でした。このように、通常皆さんが体の具合が悪くなって最初に医療機関を受診するとき、何の病気かわからない場合があります。まず最初にかかる場所として、家庭医療を行っているクリニックは機能しているのではないかと思います。もちろん万能ではないので、すべて対応できるわけではありませんが、病院がデパートなら、便利で身近でいつでもアクセスできるコンビニエンスストアのような存在をめざしている感じですね。まずは、地域にしっかりと根づいていくことが今の目標です。

お忙しいと思いますが、プライベートではどのように過ごされていますか?

妻が希望したこともあってフレンチブルドッグを飼い始めたので、お散歩は日課です。今まではとても忙しかったので、これからはなるべく自分が生活に余裕を持った上で患者さんを診ていきたいですね。家庭医療の原則の一つに、「理想的には、家庭医は自分の患者さんたちと同じ地域社会に住むべき」とあります。確かに患者さんと同じ地域にいないと地域性が見えてこない事もあると思い、私も先人に倣い、家族と大井町に引っ越してきました。今後は、大井町に腰を据えて取り組んでいこうと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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どこの科へ行けばいいのかわからない、病気とは関係ないかもしれないなどと悩まずに、まずはいらしてください。一緒に健康をつくっていくことが基本ですが、健康のためにあれもしなきゃ、これもしなきゃと自分を追い詰めてしまうと、何のために健康をめざすのかよくわからなくなってしまいます。必要なものとそうでないものの取捨選択をし、その人にとって何が大事なのかを、患者さんと一緒に考えていきたいと思います。患者さんと一緒に歩んでいくスタンスですので、気軽に話しに来てくれたらうれしいです。

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