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白井 貴子 理事長の独自取材記事

貴子レディースクリニック

(新宿区/新大久保駅)

最終更新日:2019/08/28

20181015 bana

サーモンピンクが印象的な愛らしい院内は「本来の自分に戻るためのリハビリテーションかも」と、「貴子レディースクリニック」の白井貴子理事長は笑う。「性別を理由にしない」、その一心で男性と肩を並べて走ってきた白井先生が、女性としての自分をてらいなく出せるようになったのはごく最近のことなのだそう。漠然とした生きづらさや不調を認める暇もなく、日常の中に埋没していく女性は多い。白井先生はそれを、「社会の病理」だと指摘する。「背負っている荷物をおろせる時はきっとくる。そのとき、ここに帰ってきてほしい」と話す白井先生のまなざしは、疲れた同士の肩をそっと抱き寄せるかのような優しさに満ちていた。
(取材日2016年4月25日)

長いスパンと広い視野で悩める女性を診る

かわいらしい院内で、インテリアもとてもすてきです。

本当はブルー系が好きなのですが、女性にはやはり優しいピンク色が良いかなと、白を基調にしてところどころにサーモンピンクをあしらいました。白が多いと押し戻されるような冷たい印象を与えますが、優しいピンク色のおかげでゆったりと受け止める雰囲気を出すことができたのではないかと思っています。一番こだわったのは、1階から入口へ続く階段を三方から囲むように作った窓ですね。ここは大通りに面していて人通りも多く、明るくにぎやかな場所ですが、クリニックの特性上あまりオープンにするわけにもいきません。それでも明るさや開放感は残したいと考えて、吹き抜けのような造りにしました。

開業までの経緯をお聞かせください。

20代は関連病院で一般産婦人科に勤め、その後、埼玉県立がんセンターで10年弱、疾患を確実に治すことに集中していました。心境に変化があったのは、そろそろ40代に足がかかろうかというとき。医療制度改革という激震の中で、はたと「専門分野の臨床だけではだめだ」ということに気づいたのです。社会との関わりの中で医療を見直す必要があると考え、がんセンターを退職して、公衆衛生大学院に進学しました。婦人科系疾患の患者さんの多くは、母であり、妻である世代の女性たちです。彼女たちが病で普段と同じ生活が送れなくなったとき、ご本人はもちろん、ご家族への影響がとても大きいんですね。大学院で集団における医療のあり方を学び、ご本人を取り巻く生活を包括的に見た上で治療にあたることの重要性をさらに確信しました。30代を臨床による自己鍛錬の時期とするなら、40代は個人から「関係性」へと視点をシフトした時期だったかもしれません。

開業はもともと視野に入れていらしたのですか。

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疾患を治す技術に加え、疾患を持つ個人を総合的に診られる視点を身につけて現場に戻ったのですが、その2つをもってしてもどうしてもよくならない患者さんがいらっしゃるということに気づきました。それはもう「社会の病理」というべきもので、長いスパンと広い視野がなくては解決することができません。社会の中で翻弄されていて、個人単位・家族単位でアプローチするだけでは救われないという人が本当に多いんです。こうした女性たちを一人でも多く救うにはどうしたら良いかと考える中で、自然と開業という選択肢に行きつきました。この場所で、腰を据えて「地域を含めた個人」を診ていきたいと思っています。

患者の心に手を伸ばすような気持ちで向き合う

婦人科はどうしても入りにくい、という声を聞きます。

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患者さんとお話ししていると、皆さん勇気を振り絞って受診されているのが伝わってきます。内科のように頻繁に訪れる場所ではないですし、産婦人科にかかるのは出産のときだけという女性も少なくないので、どんなことをするのかわからないというのもそう感じさせているひとつの理由なのでしょう。産婦人科や婦人科で怒られた経験があって受診が怖いという話もよく聞きますが、患者さんよりも医療従事者のほうが圧倒的に高度な専門知識を持っているのは当たり前のことです。学ぶ機会のない患者さんに知識がないのもまた当然で、「怒ったって解決しないじゃん」と私は思いますね。必要な知識をわかりやすく伝えるのは私たちの役目ですから、患者さんがご自身を責める必要はまったくありません。知らないことに挑もうという患者さんの勇気を受け止め、サポートしていけたらいいですね。

ご専門の婦人科がんの治療についてお聞かせください。

子宮がん検診は、各自治体が実施している検診を定期的に受けていれば十分発見が可能です。検診では細胞の異形成段階で引っかかる方が圧倒的に多いので、当院ではそのフォローアップや治療の要不要を見極める診断に最も力を入れています。また、子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染で発症することがわかっており、発がんのリスクが高い高リスク型のパピローマに感染しているか否かは、自費診療にはなるもののHPV検査でチェックできます。細胞診と組み合わせれば、がんになる前の細胞の変化を発見しやすく、どちらも異常がなければ3年から5年は子宮頸がんになる可能性はほとんどありません。問題は、先進国の中でも飛びぬけて低い日本の子宮頸がん検診の受診率です。自分の体は後回しという方が多いと思いますが、気づいたときに受診して早期発見につなげていただけたらと思います。

患者さんと向き合うとき、どのようなことを心がけておられますか。

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「手当て」することを意識しています。診察を通して体には当然触れるわけですが、必ずしも物理的に触って治療するということだけではなくて、患者さんの心に手を伸ばすような気持ちで向き合うという意味です。ただ、例えば骨折しているところを思い切り触れば、当然ひどく痛むわけですよ。同じように、心の傷のさわり方にも配慮が必要です。どの程度までふれて良いかを見極めながら、患者さんの表情が和らぐところを探していきます。患者さんが自分の心の内をうまく言葉にできなかったとしても、心がふれあう瞬間があれば、必ず何らかのメッセージは伝わってくるものです。

女性たちが「帰って来たくなる場所」をめざして

先生が医師をめざした理由を教えてください。

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高校1、2年生の時に担任をしてくれた数学の先生がいらしたのですが、3年生になった時からお休みされるようになりました。どうしたのかな、と思っていたらご病気だということで、お見舞いに行ったんです。病院のベッドに座っていた恩師は、驚くほどやつれて面変わりしていました。目の前に病んでいる人がいて、自分には何もできない。その時感じた途方もない無力感が、その後の進路を決定づけたと思います。後から聞いた話では、私がお見舞いにいった当時の恩師は肺がんがかなり進行した状態だったそうで、そのまま年末に亡くなりました。「先生のことは救えなかったけれど、医師になれば他の誰かを救えるかもしれない」という思いが、その後の自分を支えてくれたと思っています。

頑張る女性たちにメッセージをいただけますか。

世の中が複雑化して、誰もが羅針盤を見失ってさまよっているような時代になりました。病院で「大丈夫」と言われても、なぜか安心できないという方がたくさんいます。前述した子宮頸がん検診の受診率の低さ同様、それが個人に起因する問題なのか、はたまた家族や社会の問題なのかという本音を引き出す体制と仕組みの不足が大きな要因だと思います。ともに悩み、考えて解決方法を探っていきましょう。また、婦人科の受診についてもお伝えしておきたいと思います。私が医学部に入った頃、女性はとても少なくて、「女性はいらない」と公言してはばからないところさえありました。性別という、自分の力が及ばないもので差別されるのは、とても悲しいことです。同じように、男性産婦人科医を理由なく敬遠するのも、社会の在り方として歪んでいるように思えてなりません。どうか男性医師も毛嫌いなさらないで、積極的にお近くの婦人科を受診してください。

最後に、医院としての展望をお聞かせください。

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新宿は、東西南北と、駅の出口の方角によってまったく顔が違って、常にたくさんの人が行き交っている街です。女性たちも多様な生き方をし、それぞれに異なる悩みを抱えていることでしょう。そうした女性たちが逃げ出したくなったとき、荷物を降ろしたくなったとき、緊急避難場所として思い出してくれるような存在になれたらいいなあと思います。自分にできることを淡々と積み重ねながら、女性たちが帰ってきたくなる医院をめざしていきたいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

HPV検査/5000円、子宮頸がん検診/5000円

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