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野口 有生 院長の独自取材記事

茅ヶ崎徳洲会病院

(茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR茅ヶ崎駅から徒歩5分の場所に位置する「茅ヶ崎徳洲会病院」。2015年に完成した地上7階、地下1階の建物には、内科・循環器内科・消化器内科・神経内科・外科・整形外科・心臓血管外科・泌尿器科・産婦人科・小児科・リハビリテーション科・麻酔科を開設し、救急車で搬送されてくる患者を受け入れる急性期病院である。さらに、「自宅で最期を迎えたい」と希望する人が多いこの地域だからこそ、訪問診療や通所リハビリテーション、血液透析などにも注力している。そんな同院のトップとして職員をまとめる一方、専門の産婦人科ではできるだけ本人の希望する形での出産を行えるようなあり方を追及している野口有生院長に、地域での役割や課題などを聞いた。
(取材日2015年12月21日)

透析治療やリハビリテーションも行う急性期病院

開業の経緯を教えてください。

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1980年、茅ヶ崎市に茅ヶ崎徳洲会総合病院が誕生したのが始まりです。徳洲会グループの中では関東第一号となった病院でした。しかし、海に近すぎたため塩害などが生じ、患者さんのためにも建て替える必要があると判断。新たに見つけた場所が藤沢市でした。でも、それでは茅ヶ崎市の住民や医師会が困るわけです。そこで、茅ヶ崎市にも132床の病院を作ることになりました。それが当院です。この場所は東海道線の線路から見て南側に位置しますが、南には病院が不在であった上、救急車が南北を往来するのが不便な地域だったんですよ。ですから、ここには病院が求められていたのです。

特長と診療科目を教えてください。

救急車で搬送されてくる患者さんを受け入れることができる必要がありましたから、救急に対応できる内科・循環器内科・消化器内科・神経内科・外科・整形外科・心臓血管外科・泌尿器科・産婦人科・小児科・リハビリテーション科・麻酔科を開設しています。ただし、脳梗塞や脳出血といった手術などを要する救急の患者さんではなく、一般の病院では入院せずに帰宅させるような患者さんを主に受け付けています。例えば、「どこが悪いわけではないが体がとてもだるい」と感じることがあると、家族や本人は自宅で静養していいものか心配です。そのような方も受け入れています。そのため、CTやMRIなどの検査機器は大きな病院と同等のレベルのものを導入し、十分な検査ができるような体制を整えています。検査の結果、より高度な治療が必要だと判断すれば、大きな疾患を扱うことができるさらに大きな急性期病院に送ります。また、透析治療も行っています。透析治療にはリスクがないわけではありませんから、何かあったときに内科や外科が速やかにバックアップできることが強みです。

訪問診療やリハビリテーションにも力を入れているそうですね。

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この地域には、胃ろうを希望せず、病院ではなく自宅で最期を迎えたいと考える人が多いんです。自然な生活を望まれています。そういう中で生まれ育ったこともあるのでしょうかね。そんな地域ですから、訪問診療やリハビリテーションのニーズは非常に高く、通所リハビリテーションでは、安定した歩行や筋力の向上を目的とした特化型から比較的要介護度の高い方の身体・認知機能の向上を目的とした複合型まで、広く対応しています。徳洲会グループのスケールメリットを生かし、患者さんの数に応じてスタッフを応援に出し合うこともあります。

産婦人科では、フリースタイルでの出産をかなえることをめざす

力を入れている診療科はありますか?

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産婦人科で、特に出産に力を入れています。出産で大事なのは「お産の仕方」。日本では長年、分娩台で生むのが当たり前という考えが根付いていました。でも、分娩台を使った出産は医師にとっては都合がいいけれども、妊婦にとっては生み心地のいいものではないと考えています。そこで、当院はフリースタイルでの出産を安全で安心して行えることを重視しています。「じっとせずに走り回るかもしれない幼い子も、兄弟が生まれる瞬間に立ち会えるようにしたい」「音楽を聞きながら出産したい」「畳の上で生みたい」といった出産時の要望を聞き、できるだけ叶えることで妊婦にとって本当に優しい出産を追及していきたいと考えています。もちろん危ない方法であれば、その理由を説明して避けてもらいますが、できる限り声を聞いてあげたいと全力を尽くしています。

院長も産婦人科が専門だそうですね。産婦人科の医師に必要な資質は何だとお考えですか?

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私はとりわけお産を専門にし、若い頃には一晩で10人の赤ちゃんを取り上げたこともありました。産婦人科の医師に必要な資質は、待てること。自然ほどいいものはないんです。待って、待って、自然に生まれるのを待つんです。そしてもう危ないとなったら手を出す。そうなったら、待たない。2分が勝負ですからね。両方の資質を持ち合わせないといけないんです。手を出すタイミングについては、経験が必要でしょう。でも、最近の若い人は、「子宮口が何ミリ以下なら早産になりやすい」とか何でも数字で言わないと納得しませんね。また、こういう大きな病院になると、経験だけではだめなんです。あのベテラン先生はできたのに若い先生はできなかった、ということでは困ります。どの患者さんにも同じように医療を提供しないといけませんから。そのため、誰が診ても大丈夫なように数値化することを試みている最中です。例えば、救急車で運ばれたてきた人のうちどういう人なら帰ってもいいかとか、どの状態になったら主治医を呼ぶべきかなどを数値化するのです。

そうした努力が、モットーである「安心・安全な医療サービスの提供」につながるのですね。

「安心・安全な医療サービスの提供」に向けては、院内での努力だけでなく、他院との連携も大切。当院で完結できることはしますが、無理である場合は、より高度な医療を持っている病院に患者さんを速やかに送ります。患者さんが当院で少しでも不安があると訴えるならば、涙を飲んで他院を紹介します。ですから当院でがんが見つかれば、「ここで手術や治療を受けますか?他に治療を受けたい病院がありますか?」と聞きます。世の中にはいろんな意味で相性というのがあると思うんですよ。そして病院は患者さんのために存在するもの。患者さんのニーズに合わせ、患者さんのためになる選択をしていきます。

いかなる場合でも医療を続ける、そして地域全体で患者を診る

災害時には、どのように対応されますか?

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当院は、揺れが少ない耐震構造で作られています。免震構造というのは倒壊するリスクを減らす代わりに、揺れが大きい。私はこれまで、手術中に災害に遭うという経験を2度もしているんですよ。伊東での海底火山噴火と東日本大震災で、2回とも大きく揺れました。手術台の上の大きなライトが落ちてきたら……とひやっとしたことが思い出されます。どんな場合でも、患者さんの命は守らないといけない。やっている手術は終わらせないといけない。揺れを少なくすれば、少しでも安全な医療につながると考えています。また、広めに作った1階の受付スペースは、震災時に地域の方に開放されます。さらに、職員にも災害時の対応方法を日頃から周知させています。集合方法や連絡の取り方はもちろん、連絡なんてつかないかもしれませんから、個人がどう対応をするのかをすでに決めています。どんな場合でも、医療は続けないといけませんから。

ところで、院長はなぜ医師をめざされたのですか?

子どもの頃に体が弱く、小学校の3分の1くらいは休みましたね。小学1年の時には盲腸の発見が遅れてね。「傷は縫わなくてもくっつく」ということを身を持って経験しましたよ(笑)。腎臓や肝臓も悪くしました。そのせいか内気な性格で、おばあさんが「うちの孫と遊んでやって」と私を友達のところに連れて行ってくれるんですが、10分後には家に帰ってしまうような子でした。転機は中高一貫校に進学した後。気の合う仲間に出会え、友人らが希望する医学部を自分もめざしました。お世話になった医師を「かっこいいな」と思っていたということもありますね。産婦人科医になったのは、ちょっとくらい嫌なことがあっても「おめでとう」の一言で喜びに変えられることに、魅力を感じたからです。

最後に、今後の課題や役割についてお聞かせください。

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同院の目下の課題は、地域でニーズの高い在宅医療をさらに充実させるために、在宅でも血液や超音波などの検査を行えるようにすること。在宅検査は、患者さんが安心できる在宅医療の提供につながります。また、地域における同院の役割として考えていることは、地域完結型の包括ケアを行える医療体制を作ることです。患者さんが入院したり、自宅に戻って町のクリニックで診療を続けたり、訪問看護や訪問医療を受けたりといった医療行為を地域の中で受けることができるよう、病院や開業医が共同体となって連携するのです。重篤な患者さんは大学病院などに送りますが、それ以外の患者さんは地域の中で診療を完結できるようにしていきたい。そのためには、地域の医療関係者や患者さんの理解が不可欠ですから、当院がリーダーとなって、積極的に発信し、声を聞いていく所存です。

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