甲斐 康晴 院長の独自取材記事
かい歯科医院
(北九州市八幡西区/黒崎駅)
最終更新日:2021/10/12
国道3号線と並行して走る山手通り沿い、八幡西郵便局交差点にある「かい歯科医院」は、患者の歯だけではなく、噛み合わせや姿勢、食事、運動など、体の状態やライフスタイルまでを考慮した診療を行うクリニックだ。甲斐康晴院長はセラミックによる補綴治療、歯科用下顎運動測定器を使った噛み合わせの治療、そして矯正治療などを得意としており、口腔内の健康づくりはもちろん、全身の健康増進をめざした診療を行っている。「歯科治療で困っていることがあればまずは相談してほしい。自分の経験を生かし、患者目線で治療をしたい」と呼びかける甲斐院長に、これまでのキャリアや診療方針、CAD/CAMシステムを使った補綴治療などについてなど、幅広く話を聞いた。
(取材日2021年7月14日)
セラミックの補綴治療など経験を生かして開業
歯科医師をめざしたきっかけや大学卒業後のキャリアについてお聞かせください。
父は大工だったのですが、私は実は高いところが苦手なんです。けれど何かを組み立てたり、細かい作業をしたりすることは好きだったため、子どもの頃によくお世話になっていた歯科の道をめざすようになりました。私たちの時代は大学に残るというよりは、卒業後すぐに開業医のところで腕を磨くような時代だったので、自分も例に漏れずクリニックに勤務しました。そこではセラミックによる補綴治療や入れ歯の製作に力を入れていたこともあり、歯科技工士の役割も担いながら勉強させていただきました。当時培った技術を生かして、いまでも仮歯はだいたい2〜3分で作ることができますよ。また歯だけではなく全身の解剖学など幅広く学ぶことができたのは、とてもありがたかったですね。
開業当時はどのような患者さんが多かったのでしょうか?
最初に開業したのは1994年のこと。森の中のような場所で患者さんは少なかったのですが、その分一人ひとりとゆっくりお話しすることができたので、自費診療が多かった印象です。そのため歯列矯正やセラミック治療、入れ歯、インプラント治療などの技術に磨きをかけていくことができました。もちろん一般的な虫歯の治療や根管治療など幅広い診療にも対応してきましたが、平日の夜はいろいろなスタディグループに参加し、日曜はセミナーに出かけるなど、本当に勉強の毎日でしたね。トイレの時間も惜しんで教科書を読みふけることもあり、スタッフが少ない中、妻も支えてくれました。
2004年にクリニックを今の場所に移転されたそうですね。
今の場所にクリニックを移してからは、立地が良いこともあってこれまでのゆったりとした診療からは一変して患者さんもたくさん来てくれるようになりました。その前にじっくりと勉強できたことは良かったのかもしれませんね。移転後は患者さんの口の中を診るだけではなく、全身との関わりも見ていきたいと思ったので、姿勢を撮影する場所を確保したり、マイクロスコープを導入したり、設備を充実させました。現在ではコンピューターで補綴物の設計や削り出しを行うCAD/CAMシステムも運用しています。また施設の面では、カウンセリングルームや勉強会が開催できるようにミーティングルームも設けました。
日常生活などから口腔環境の健康維持にアプローチ
先生の診療方針について教えていただけますか?
子どもの時は予防して、高齢になるにつれ悪くなっていくことを食い止めていく。歯科医院ですのでもちろん口の中を見るのですが、口の健康に限らず体全体のことを考えながらやっていければと思っています。当院では、治療前にまずは歯が悪くなってしまう、そもそもの原因を取り除いていくことが重要だと考えています。その原因の解決に必要なのが、バランスの取れた食事や運動、規則正しい生活など。これらが維持できなければ、健康を維持することは難しいでしょうし、歯科治療を行ったとしても、不調が再発してしまう可能性もあります。そのため、応急処置後にこの方針をお伝えし、ご理解いただいてから治療を始めるようにしています。例えば、患者さんが毎日行う歯磨きを、7割程度磨けるようになってから、などですね。歯を守っていく意識や行動を患者さんがしていけるようになってこそ、歯科治療が生きてきて、健康維持にもつなげていけると思うんです。
噛み合わせについても重視されているとお聞きしました。
噛み合わせが悪いと特定の歯に大きく負担がかかってしまいます。歯が悪くなれば周囲の筋肉が無理をするため、そこから体の不調につながっていくと考えています。逆にしっかり噛めていない部分については血流が悪くなってしまい、口内炎ができることもあるでしょう。噛み合わせが悪い、イコール口が開かない、顎が鳴るといった単純な問題ではありません。それは小学校時代から始まり、放置すると治療で患者さんの負担が大きくなってしまう可能性もあります。だからこそ早いうちから噛み合わせを整えることが重要なのです。
その流れで矯正をする患者さんも多いのですね。
そうですね。お子さんであればマウスピース型の装置を使った歯列の矯正も行いますが、口周りのトレーニングと合わせて、踏み台昇降のような運動指導や、普段の食事の指導などにも取り組み、顎の位置を整えていくこともあります。お子さんが歯列矯正をしていくためには保護者の協力が不可欠ですので、一緒に通院していただくことが多いですね。また大人の方の場合は、部分矯正を行うことが多いのですが、その際は、顎の動きを測定する機器を活用するなどして、丁寧に確認をしながら診療を進めていきます。歯列矯正は時間もかかりますので、診査や診断の結果をもとに患者さんとしっかりコミュニケーションを図るようにしています。
金属を使わない補綴治療で虫歯になりにくい歯を
セラミックなどの補綴治療も先生の1つの特徴のようですね。
補綴治療を行う場合、基本的には金属を使うことをしていません。患部が小さな時にはコンポジットレジンを使ったダイレクトボンディングで修復していきますし、かぶせ物や詰め物などの補綴物を作製する際には、CAD/CAMシステムを使ってコンピューター上で補綴物を設計、削り出しまでを行っています。基本的には仮歯を作って噛み合わせを整えてからスキャンして製作していきますので、実際の補綴物を入れた際に違和感を感じることはほとんどないでしょう。また、素材はジルコニアを使用し、歯周組織と調和して研磨面にプラークがつきにくいというメリットもありますので、再度虫歯になってしまうことを防ぐ意味でも、CAD/CAMシステムを使った、ジルコニアによる修復がお勧めです。
治療の際には、マイクロスコープを活用しているそうですね。
保険診療でも自費診療でもどちらでもマイクロスコープを使っているのですが、治療した後のチェックにも欠かしません。虫歯の取り残しがないかなどはもちろん、神経の先までクリアに見えるので根管治療には不可欠だと考えています。また以前から治療のステップごとに口腔内の写真を撮影していたものを、マイクロスコープも活用して撮るようにしています。実際に患者さんに治療の経緯を見てもらえば、信頼にもつなげていけると思いますしね。
最後に読者へメッセージをお願いします。
基本的にはずっと同じ歯科医院に通っていただくのが良いと思っています。皆さんの口の中の経緯を一番理解しているからです。それでも他のクリニックに相談したい、歯科治療で困っていることがある、という場合は、ご相談いただければと思います。基本的には応急処置をしてから、診査診断を丁寧に行い、全体の治療計画を説明、同意を得てからの治療開始となりますので、その上で治療を行うかどうか決めていただければと思います。小さなお子さんからお年寄り、また最近では英語での対応もできるようになりましたので、お気軽にご相談いただきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正治療/55万円~
インプラント治療/44万円~
金属床義歯/27万5000円~
ジルコニアインレー/3万3000円~
ジルコニアアンレー/5万5000円~
フルジルコニア/8万8000円~
ジルコボンド/11万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。