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池島 英之 院長の独自取材記事

なないろクリニック

(奈良市/学園前駅)

最終更新日:2024/01/12

池島英之院長 なないろクリニック main

2015年に開院し、2023年4月に拡大移転した「なないろクリニック」。常勤2人、非常勤3人の医師によるスタッフ総勢13人の新体制となり、より多くの患者の受け入れが可能になった。「高齢化や、新型コロナウイルス感染症流行に伴う受診控えによって、在宅医療の需要はますます拡大しています」と池島英之院長は話す。クリニック名の由来は、七色の光がまとまって一本の虹になるように、さまざまな人と手を取り合いながら医療を提供したいという思いから。その名のとおり、同院では“絆”をキーワードに、患者、家族、地域、そしてスタッフが良い方向にまとまり、みんながハッピーになれるクリニックをめざしている。池島院長に同院の概要や在宅医療への想いについて詳しく話を聞いた。

(取材日2023年6月13日)

訪問診療や緊急時の往診を行う在宅医療専門クリニック

クリニックの概要や訪問範囲について教えてください。

池島英之院長 なないろクリニック1

当院は、通院が困難な方を対象に、訪問診療や緊急時の往診を行う在宅医療専門クリニックです。診療科目は、内科と循環器内科となっています。また、皆さんのかかりつけ医として、健康に関するご相談や、必要に応じて専門の医師や医療機関のご紹介、保健・福祉サービスに関するご相談、夜間・休日の問い合わせへの対応なども実施しています。訪問診療エリアは往診可能で定められている16kmではなく奈良県では奈良市や生駒市、京都府では精華町や木津川市などの一部が該当する当クリニックから8km圏内にしています。これは急な往診などがあった際に迅速に駆けつけられるようにするためですが、体制が整ってきたらこの範囲も広げたいと思っておりますので、詳しい訪問エリアについてはお電話でご相談いただければと思います。

2023年4月に移転されたそうですね。

在宅医療の需要が増え続け、前の施設では患者さんの受け入れキャパシティーの限界が来てしまったんです。問い合わせを受けてもお断りせざるを得ない状況が続き、私が大切にしている絆が、いったん途切れることになってしまって……。これはめざしている医療の形と違うと思い、移転を決意しました。移転に伴い、医師を常勤2人、非常勤3人に増員して受け入れ体制を拡大し、 緊急の往診体制も組めるようになっています。また2階をすべてスタッフルームにしたほか、往診途中で医療資材が不足した際、看護師がクリニック内に入らずにスムーズに受け取れる物品庫を用意するなど働きやすさも向上させています。今までよりポジティブに働ける環境の中、各自が考え、動いてくれるおかげでクリニックとしていい方向に進んでいますね。もちろん、人が増えた分、以前よりも朝の申し送りを重点的に行うなど情報共有にも努めています。

在宅医療のニーズが高まっているのは、高齢化が要因でしょうか?

池島英之院長 なないろクリニック2

高齢化もありますが、新型コロナウイルスの感染拡大で受診控えが進んだことも大きな要因です。あとは、療養場所として病院を希望されない方が増えていると思います。病院は治療に専念する場所であって、自分の生活や楽しみができる場所ではありません。病院には設備面や入院中のサポートなどの大きなメリットもありますが、特に高齢の方は、検査や手術を望まずに、生活の中で治療ができる在宅医療を選択する方が増えています。

医療以外のことにも関われることが大きなメリット

在宅医療のメリットについて教えてください。

池島英之院長 なないろクリニック3

ある程度時間に余裕を持って診療ができるので、医療的なことだけでなく介護や生活のことにも関われるのが大きなメリットだと思います。また、医師と患者さんとの距離感が近くなることもメリットです。病院の医師から医療のアドバイスをもらうとなれば、限られた時間に問い合わせなければいけませんが、在宅医療では電話や往診で柔軟に対応できます。特に、夜中に不安が募って救急を頼ってしまうような場面では、在宅医療のかかりつけ医がいれば電話で相談することができます。そういった柔軟な対応によって、病院の医師の負担を減らすことにもつながります。

在宅医療ならではの特徴はありますか?

生物心理社会モデルに基づいた支援をする点です。病気やケガなどの体の異常を診るのが生物的支援。心理的支援は心の病の治療はもちろん、患者さんが安心して診療を受けられるよう情報提供することも含みます。社会的支援では、例えばケアマネジャーさんに「この介護サービスを入れては」と提案するなど、単なる役割分担を超えた本当の意味での多職種連携で、患者さんの生活基盤をつくります。多岐にわたる役割を果たし、病気に加えて人も診るのが在宅医療なのですね。専門にするなら、通例、ある程度実績を積んだ後、在宅医療の専門家のもと実地で学んでやっとスタートラインでしょう。育成まで担う専門家は数少ないですから、今後当院では後進の指導体制の充実を図るつもりです。また、通例的な研鑽を経ずとも在宅医療は行えますが、より適切な支援を受けたいとお考えなら、当院のように経験豊富な専門家がいるかをクリニック選びの基準にしてみてください。

クリニックを営む上で大切にされていることを教えてください。

池島英之院長 なないろクリニック4

2015年に開院した時に、「絆を大切にした診療をしよう」と考えました。これは、患者さんはもちろん、ご家族、地域、当院のスタッフなど、さまざまなつながりのある人との“絆”を大切にしようということです。絆とは、良い影響を及ぼすつながりのことです。具体的には、患者さんとの信頼関係を大切にしたり、ご家族とのコミュニケーションを大切にしたり、地域の医療資源との連携によってより良い医療提供体制を構築したりと、良い絆づくりに努めています。

皆がハッピーになれるクリニックをめざして

開院の地に奈良県を選んだ理由を教えてください。

池島英之院長 なないろクリニック5

生まれも育ちも奈良県なので、開院して長く自分の居場所を構えるのは、やはり地元が良いと考えました。もしほかの場所で開院したら、恐らく「戻るべきかな」という思いが生じて中途半端になってしまうと思ったのです。奈良県の中でもこの地を選んだのは、在宅医療を実施している医師が不足しているエリアだったからです。実際に開院してみると、やはり高齢者が多く、ニーズはとても高いと感じています。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

小さい頃にケガをして傷口を見た経験から体の不思議に興味を持ちはじめ、それがきっかけで医学という学問を志すことに決めました。医師となってからは臨床がすごく楽しくなりました。医学は研究と臨床に大きく分かれると思うのですが、研究室にこもって研究しているよりは、外に出ていろんな人とつながれる臨床のほうが自分には合っていました。臨床もやるなら徹底的にやりたいと思い、地元に戻って在宅医療に取り組むことにしたのです。開院前にお世話になった医局の教授は、地元に帰るという私を快く送り出してくださったのですが、辞める時に「それはハッピーな道ですか?」と聞いてきました。“ハッピー”はその教授の口癖のような言葉だったんです。私は「恐らくそうだと思います」と答えました。その方の教えがあって、今の私がいることは間違いなく、とても感謝しています。

今後の展望を教えてください。

池島英之院長 なないろクリニック6

クリニックが主催する地域のイベントを開きたいな、と考えています。まだ具体的な案は決まっていませんが、何か楽しいことができればいいですね。また、定期的に病院の先生たちが実習に来ているので、将来その中から当院を手伝ってくれる医師が出てくれたらうれしいです。当院に来てくれなくても、実習に来てくれた医師が近隣病院にいるだけで連携が取りやすくなるので、それもまた楽しみですね。

最後に、メッセージをお願いします。

「なないろクリニックがあって良かった」と思っていただけるようなクリニックをめざしたいと常々思っています。患者さんの中には、さまざまな要望が出てくると思いますので、それに対しては必ず検討して、対応できるよう努めたいです。できる限り関わった方全員がハッピーになれる診療を提供すると同時に、時には診療の範囲にとらわれずに、やるべきと思ったことは実施していくつもりです。語弊を恐れずに言いますが病院での勤務医時代から自分が関わった人は特別だという意識で診療してきました。自分に関わった人にできることはすべてやりたい、患者さんに自分が担当医で良かったなと思っていただきたいとの想いを持って診療してまいりましたし、これからもその想いは変わりません。何かお困りのことがあればぜひご相談ください。今後ともよろしくお願いいたします。

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