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中曽根 啓介 副院長の独自取材記事

まごころクリニック行徳

(市川市/行徳駅)

最終更新日:2020/07/16

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行徳駅から徒歩5分の立地にある「まごころクリニック行徳」は、訪問診療をメインとする地域密着型のクリニックだ。2020年4月に新たに副院長に就任した中曽根啓介先生は、スタッフから「誰にでも優しく、患者さんからも人気」と言われる訪問診療のエキスパート。穏やかな笑顔で丁寧に応じてくれる中曽根先生に、自宅で療養をしている人にとって支えとなる訪問診療についてじっくり聞いた。
(取材日2020年6月22日)

いつでも、どこでも、誰もが平等に受けられる医療を

まずはクリニックの特徴について教えてください。

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当院は訪問診療を中心とする在宅支援診療所で、通院が困難になった患者さんに対して、医師や看護師が定期的に訪問して診療や看護を行っています。寝たきりの方だけでなく、長距離の移動に不安のある方、認知症などで外来で待つことが困難な方、脳梗塞の後遺症や事故などによる麻痺や神経難病など重度障害の方、退院後の療養生活に不安のある方などさまざまな患者さんにご利用いただいています。住み慣れた地域や自宅で療養しながら、できる限りこれまでどおりの日常生活が過ごせるようフォローするだけでなく、「最期は自宅で」という本人やご家族の希望をかなえられるよう、看取りもしています。エリアは市川市全域、浦安市全域、船橋市一部ですが、他にも鎌ヶ谷市、松戸市、江戸川区についてもご相談いただければ可能な限り対応していきたいと考えています。

訪問先ではどのような診療や処置が可能なのでしょうか。

基本的に月に2回の訪問で、体温や血圧、呼吸状態、栄養状態の確認から、患者さんの症状に応じて酸素吸入、血液検査、尿検査、点滴、注射、人工呼吸器の管理、中心静脈カテーテルの留置、経管栄養の管理、気管内吸引、床ずれのケア、人工肛門の管理、緩和ケアといった処置に対応しています。また、脳卒中や脳梗塞、認知症、パーキンソン病などさまざまな疾患に対しても継続的加療が可能です。

これまでの経歴と副院長就任の想いをお聞かせください。

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私は沖縄県出身なのですが、子どもの頃、兄が難病にかかった時に、沖縄では診ることのできる病院がなく熊本大学病院でお世話になりました。半年ほど入院して兄が帰ってきた時は本当にうれしくて、その時の経験がきっかけで、自分も誰かを助けたいと熊本大学医学部に入学しました。消化器外科の医師になってからは沖縄の中部徳洲会病院で多くの手術に携わらせていただいただけでなく、無医村だった伊良部島に診療所ができた時、そこの一員として地域医療に携わらせていただきました。そこでは、「生命だけは平等だ」という理念のもと、「いつでも」「どこでも」「誰もが」最善の医療を受けられるようスタッフ一丸となって頑張っていました。この思いは今でも変わりません。通院が困難になった患者さんが自宅で、あるいは入所する施設で、最善の医療と福祉サービスを受けられるよう、地域の皆さんのお役に立てれば幸いです。

知っておきたい訪問診療の特徴と、在宅医療

訪問診療の特徴について教えてください。

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住み慣れた自宅にいながら、通院するのとほぼ同等の医療が受けられることです。通院に付き添うご家族の往復の移動時間や病院での待ち時間、交通費の負担もなくなります。また、24時間365日体制で対応可能です。例えば休日や夜中に体調が悪くなった時も、電話での相談や往診、あるいは救急車の指示など緊急時にも対応いたします。このまま様子を見て良いのか救急車を呼んだほうが良いのか判断に迷われる時でも、定期的に訪問診療している医師の判断を仰げるので安心感があるかと思います。また、ご家庭での様子がわかるので、より生活に密着した適切なアドバイスが可能になります。当院のスタッフは日ごろからご家族の方ともこまめにコミュニケーションを取り、この位置に手すりをつけると良いといった生活全般に関わるきめ細かなアドバイスもできるので、私も心強いです。

実際に訪問診療を始めた患者さんの反応はどうですか?

訪問診療は患者さんの生活の場に医療者が出向くので、病気のことだけでなく、患者さんの生活全般のことが自然と目に入ります。私はできるだけ「絵がお好きなんですね」といったような雑談をするようにしています。すると、次に訪問した時に新しい絵が飾られていて、患者さんの表情にも変化が表れてくることがあります。また、患者さんが家の中で転んだと連絡をいただき往診に行ったところ、骨折もなく頭を切っただけだったのでその場で縫って対応したこともあります。ご家族は救急車を呼ぶべきか、もし入院になったら一気に認知症が進んでしまうのではないかなど、いろいろ心配していたようですが、大事にならずに済んで良かったとほっとされた様子でした。定期的な訪問日でなくても、何かあった時に迅速に対応してもらえることや、日常生活の些細なことでも相談できるなど、患者さんだけではなくそのご家族の安心にもつながっていると思います。

地域での連携について教えてください。

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在宅医療は、ケアマネジャーさんはじめ福祉施設のスタッフやヘルパーさん、各自治体のスタッフなど地域医療に関わるさまざまな人たちとの連携が欠かせません。患者さんに何かあった場合はケアマネジャーさんとすぐに連絡を取り合い、状況に応じて迅速に対応しています。私はまだ副院長に就任したばかりですが、当院のスタッフはケアマネジャーさんたちとお互い顔の見える関係を構築し、患者さんとご家族のために尽力してくれているので、とても助かっています。また、体調が急変するなど万一の時は、東京ベイ・浦安市川医療センターや順天堂大学医学部附属浦安病院、東京歯科大学市川総合病院、江戸川病院などと連携しながら、状況に応じて適切な医療を受けられる体制を整えています。

自分らしく最期を迎える準備を

印象に残っている患者のエピソードを教えてください。

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沖縄の病院に勤務していた頃の話ですが、入院していた患者さんが危篤となった時に、「どうしても自宅に帰りたい」と、本人からもご家族からも強いご希望がありました。その患者さんの自宅は沖縄本島からかなり離れた与論島だったのですが、「じゃあ病院の小型飛行機で送り届けよう」ということになりました。その病院では離島医療用に小型飛行機を所有していたので、患者さんの希望をかなえてあげることが可能でした。私が一緒に与論島に連れて行って、ご家族にもう残された時間はあまりないこと、看取りの流れなどを説明して、その患者さんは念願だった自宅に戻って間もなく亡くなりました。束の間でしたが、ご本人にもご家族にもとても喜んでいただけたことが今でも印象に残っています。

今後の展望をお聞かせください。

病院勤務時代、多くの患者さんが「家に帰りたい」「最期は自宅で過ごしたい」というのを私は何度も聞いてきました。でも、いくら本人が希望しても、ご家族がそんなことできないと判断してしまうケースがとても多いように思います。ご家族も看取りなんて経験したことがないので、そう考えてしまうのは仕方ないとはいえ、残念なことだと思います。訪問診療では、看取り経験の豊富な医師や看護師が、患者さんやご家族の希望をお聞きしながら、最期の時間をどのように過ごすかをコーディネートさせていただきます。死はタブー視するものではなく、誰にも平等に訪れるものだと私たちは考えています。そして、自分らしい最期を迎えることができた時、残されたご家族もやりきった感と言いますか、悔いの残らない看取りであることがほとんどだと思います。会話を重ねながら、少しずつ心の準備をするお手伝いができればと考えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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訪問診療のことを知らずに、あるいは訪問診療という言葉は知っていても実際の申し込み方や自分も申し込めることを知らずに、通院が困難になったご家族の世話に疲れ果ててしまっている方も少なくありません。当院ではできるだけ寝たきりにならず、家族やケアマネジャー、ヘルパーの介助を得ながらそれまでの自分らしい生活を維持し、必要に応じてデイサービスなども利用しながらQOL(生活の質)が低下しないようサポートします。すべてを一人で抱え込まずに、まずはご相談ください。

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