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河内 由布子 副院長の独自取材記事

まごころクリニック行徳

(市川市/行徳駅)

最終更新日:2019/09/30

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東京メトロ東西線行徳駅から歩いて3~4分のところにある「まごころクリニック行徳」。ここは訪問診療を中心とした在宅療養支援診療所だ。現在、副院長の河内由布子先生と非常勤の医師が看護師らとともに、市川市全域、浦安市全域、一部船橋市などで訪問診療を行っている。河内副院長は「重度の疾患を患っていると訪問診療をしてもらえないと思っている人がとても多いと感じます。人工呼吸器をつけている場合でも訪問診療で対応できますので相談してください」と話す。また、河内副院長は、自宅でいかに良い看取りができるかということも訪問診療の重要な要素であると話す。そして、医師や看護師を含め医療スタッフが女性である点も特徴の一つだ。訪問診療に対する考え方や課題などについて話を聞いた。
(取材日2019年6月11日)

訪問先の家庭では適度な距離感を保つことが大切

最初に、先生が医師をめざすようになったきっかけとご経歴について簡単に教えてください。

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私は最初、一般大学の大学院で医用工学について研究していました。医用工学は心電図計やMRIといった医療機器やその技術を研究開発するのですが、研究しているうちに医療機器を相手にするのではなく、人間そのものを相手にする医療の道に進みたいと考えるようになったのです。それで琉球大学医学部に再入学しました。大学卒業後は埼玉にある病院で初期研修を受けましたが、基礎研究に関心を持ち、千葉大学の病理学講座で研究してきました。その後、東京都内の病院の一般内科で臨床を始めたのですが、その時、研究とは異なる臨床の面白さを実感しました。このクリニックは2015年に開業されたのですが、縁あって勤務することになりました。病院勤務時代にも訪問診療を行っていましたので、こちらでもスムーズに診療を引き継ぐことができたと思います。

訪問診療の際、心がけていることはどんなことですか?

個人宅に訪問する際は、ご本人は当然ながらご家族の方もいろいろな不安をお持ちだと思います。ですので、わかりやすく丁寧に説明して、なるべく早くその不安を取り除けるようにしています。家の中をあまり見られたくないという方も多いでしょうから、患者さんご本人のことや病気以外のことはなるべく立ち入らないよう、適度な距離感を持って診療しています。施設では、比較的病状が落ち着いている方が多いのですが、たまに状態が急変する場合があります。その時に病院に搬送すべきか、そのまま施設で診療したほうがいいのか素早く判断し、病院搬送が必要であればすぐに搬送するようにしています。

訪問診療の地域と診療体制について教えてください。

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当クリニックにはもう1人の非常勤の医師、常勤の看護師1人、非常勤看護師2人、事務1人が在籍しています。診療の際は医師1人に看護師1~2人体制で行っており、基本的にはすべて女性で伺うことで女性ならではの視点や気配りを心がけています。エリアは、市川市全域、浦安市全域、船橋市一部です。他にも鎌ヶ谷市、松戸市、江戸川区についてもご相談いただければ可能な限り対応していきたいと考えています。患者さんの状況については、スタッフ全員で情報共有しています。週末に何か急な動きがあった場合は、すぐに週明けに話し合うなどしています。

重度でも在宅医療は可能。躊躇せずに相談を

訪問先では具体的にどんな診療や処置が可能なのでしょうか。

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酸素吸入から血液検査、尿検査、点滴、注射、人工呼吸器の管理、中心静脈カテーテルの留置、経管栄養の管理、気管内吸引、床ずれのケア、人工肛門の管理、緩和ケアなどといった処置から脳卒中、脳梗塞、認知症、パーキンソン病などの継続的加療などさまざまな症状、疾患に対応しています。自宅でのお看取りやターミナルケアも行っています。また、当院では顕微鏡による細菌検査を実施しています。例えば、白癬が疑われる場合、白癬菌の感染がないのに薬を塗ると逆に悪化してしまうこともありますので、感染の有無を確認することが必要です。肺炎や尿路感染が疑われる場合も、痰や尿を採取して細菌感染を確認しています。一般的に細菌検査は外部の検査会社に依頼するのですが、時間もかかります。院内で検査すれば、迅速に診断でき、適切な治療を行うことができます。

訪問診療の課題はどんなことだとお考えですか?

訪問診療について知らない人がとても多いと感じます。重症な疾患を抱えている場合、病院でないと診てもらえないのではないか、でも通院するのは大変、などと悩んでいる人が多く見受けられます。訪問診療では、重症な場合でも、例えば人工呼吸器をつけている方でもしっかり管理、診療できます。ぜひ多くの方に訪問診療のシステムについて知っていただきたいですね。通院が難しくなってきたとか、病院ではなく在宅に帰りたい、在宅でホスピスケアを受けたいなど、いろいろ困り事があるかと思いますのでお気軽に当院に相談いただければと思います。また各自治体や地域包括支援センターなどに相談するのも良いと思います。

福祉施設やケアマネジャーさんとの連携や、病診連携について教えてください。

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ケアマネジャーさんたちとは、患者さんに何か動きがあった場合はすぐに連絡を取り合い、状況に即して迅速に対応しています。在宅医療は、ケアマネジャーさんはじめ福祉施設のスタッフやヘルパーさん、各自治体のスタッフなど地域医療に関わるさまざまな人たちとの連携が重要です。今は、そういった方々と密に連絡を取り合って、顔の見える関係を構築しているところです。医師だからといって上から目線ではなく、ケアマネジャーさんなどの意見もよく聞いて、お互い相談しながら診療を進めています。地域医療に関わる人すべて同じ立場で、より良い地域医療を実践していきたいと思います。往診の際、緊急を要する場合や外来診療が必要な場合には、東京ベイ・浦安市川医療センターや順天堂大学医学部附属浦安病院、東京歯科大学市川総合病院、江戸川病院などに紹介し、患者さんの症状によって歯科や整形外科などのクリニックに紹介をしています。

自宅で良い最期を迎えることが在宅医療の究極の目的

これまでで何か心に残った出来事はありますか?

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在宅医療の究極の目的はご自宅でのお看取りだと考えています。ご自宅でご家族にとっていかに良いお看取りができるか、それが一番重要なことだと思っています。昨年末のことでしたが、肺がんの終末期で在宅ケアを受けられていた方が亡くなられました。その際、長い間ずっとご自宅で看護なさっていた奥さまが「やりきった」という表情をしていらしたのがとても印象に残っています。数年前の厚生労働省による高齢者の健康に関する意識調査では、自宅で最期を迎えたいと希望した人が大半を占めるのに対し、実際に自宅で最期を迎えているのはほんの少しだけだったのです。それを知った時は、なぜこんなに少ないのかととても驚きました。その調査では自宅療養を可能にする要件として「入浴や食事などのサービス」「家族の協力」という項目が上位になっています。介護サービスは今、いろいろ工夫されていますので、上手に活用していただきたいと思います。

ところでプライベートはどのようにお過ごしですか? 健康法や趣味なども教えてください。

温泉が好きなので、時間があれば全国各地の温泉に出かけています。患者さんには運動することが大切ですよといつも言っているのですが、私自身はあまりやっていなくて(笑)。それでは説得力がありませんから、何かスポーツをやろうかなと考えているところです。また、最近三線を習い始めました。埼玉の研修医時代、三線が好きで自己流で演奏していたのですが、そろそろまた本格的にやりたいなと思って音楽教室に通っています。

では最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

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在宅医療を受けていた方が途中でやめられたりして、今は、なかなか患者さんの数が安定していません。これからは長く継続的に在宅医療を受けていただけるよう、さらに診療内容を充実させていくとともに、より多くの方に訪問診療のことを知っていただきたいと思います。ご自宅で看護、介護している方はご自身ですべて抱え込んでしまうことが多いと思います。親御さんが認知症になってどうしていいかわからない、と悩んでいる方も多いことでしょう。すべて一人で抱え込まずに、自治体の相談窓口や地域包括支援センターなど、もちろん当院でもよいですから、そういったところに相談していただければと思います。

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