小野 俊朗 院長の独自取材記事
おのこども歯科医院
(名古屋市千種区/茶屋ヶ坂駅)
最終更新日:2025/02/26

名古屋市営地下鉄名城線・茶屋ヶ坂駅から車で約8分。スーパーマーケットや衣料品店、スポーツクラブなどが入居するショッピングセンターの2階に「おのこども歯科医院」がある。児童館か子ども向け教室のようなかわいらしい外観が特徴で、クリニックのオリジナルキャラクター、ピンクのうさぎの「おのっち君」が出迎えてくれる。「歯医者嫌いの子どもを一人でも減らしたい」と語る小野俊朗院長は、大学病院に28年勤め、日本小児歯科学会小児歯科専門医の資格を持つベテランの歯科医師だ。木材を多用した温かみのある内装と、子どもが楽しめる仕掛けや装飾の数々も、院長の意向を反映したもの。「大学で研鑽してきた自分の知識と技術を、地域の子どもたちのために役立てたい」と語る院長に、いろいろと話を聞いてみた。
(取材日2017年4月13日/情報更新日2025年2月12日)
専門的なプログラムで子どもの「歯医者嫌い」を克服
まず、開業するまでの経歴を教えてください。

愛知学院大学歯学部を卒業後大学院に進み、小児歯科を専攻しました。小児歯科を選んだのは、虫歯から歯並び、口腔外科、予防歯科などを含めた幅広い経験ができると思ったのと、その時相談した先生に勧められたことも大きかったですね。大学院の修了後は大学に24年間勤めて、2015年に開業しました。開業する場所は、名古屋市内であちこち探していたんですが、なかなかいい場所が見つからなくて。ここは一緒に探してくれていた人が見つけてくれたんですが、ショッピングセンターの中なので、人の目につきやすく、地下に駐車場があるので小さなお子さんを連れていても雨の日でも濡れずに来られるのがいいかな、と思って、この場所で開業することにしました。
どんなクリニックにしたいと思いましたか?
小児歯科の歯科医師として地域の子どもたちの健康を守っていく、そして歯医者嫌いの子どもを1人でも減らしたいという思いがありました。内装を歯科医院らしからぬ雰囲気にしたのもそのため。院内の飾りはスタッフのお手製なんですよ。治療を嫌がる子どもには「行動変容法」というプログラムを用いています。子どもにとって歯科医院は何をされるかわからない場所。だから怖いんです。そこで「怖い場所ではない」というイメージを持たせるため、痛いことはせず、使う器具なども実際に見て触ってもらい、怖くないことを伝えます。例えば「注射」という言葉は口に出さず、注射器も見せないようにし痛みの少ない麻酔処置を行います。そういった方法を徹底してきたこともあり、当院に通うお子さんでまったく手に負えないというケースはとても少ないですね。スタッフには幼稚園教諭の免許と保育士の資格を持っていて、子どもの扱いに慣れていますので助かっています。
どのような患者さんが多いんですか?

多いのは4〜5歳ぐらいのお子さんですね。全体的にひどい虫歯の子どもは減っていますが、お母さんの意識によって、まったく虫歯がない子どもと、比較的虫歯の多い子どもと、二極化が進んでいるようです。だから保護者の方にきちんと説明して、関心を持ってもらうことが大事だと思います。小学生以上だと歯並びを気にして来られる方が多くなりますね。もっとも、気にしているのは本人より親御さんですけどね(笑)。花粉症の子どもが増えたので、口呼吸になりやすいことも歯並びに影響しているようです。年齢では0歳から18〜19歳ぐらいまでが対象です。でも大学病院で2〜3歳からずっと診ていた患者さんで「先生が辞めたらどうすればいいんですか?」と聞かれたので「子どもたちと一緒でも恥ずかしくなければ、ずっと診ますよ」と言ったら、今も通ってくれている方がいらっしゃいます。そういった患者さんがいてくれるのもありがたいですね。
将来の歯の状態を考えながら治療にあたる
診療において心がけていることや特徴などはありますか?

1本の歯だけではなく全体を見て「将来この子の口の中がどうなっていくか」を考えながら治療しています。「どうせ乳歯は生え替わるから……」という親御さんも時々いらっしゃいますが、乳歯があっての永久歯なんです。乳歯が悪くなると永久歯の噛み合わせにも影響が出ます。そうならないように、年齢を重ねても自分の歯をできるだけ残せるような治療を心がけています。また、大学でもそうでしたが、当院では治療の精度と安全性を高めるためにラバーダムを使用し、滅菌や洗浄に関しても新型の設備を導入しています。高価な器材もありますが、やはり一番大切なのは、患者さんの安心安全ですからね。
子どもの口腔内を健康に保つために家庭でできるのはどんなことでしょうか?
たくさんありますが、毎日の歯磨きがちゃんと実践できているかどうかが一番大事ですね。そのためのブラッシング指導は、実際にやって見せながら説明しています。小さいお子さんの場合、運動機能が十分に発達していないので、細かい動作はまだうまくできないことも多く、そこはお母さんの仕上げ磨きでカバーしてあげないといけません。お子さんが嫌がったりして、皆さん苦労されているようですが、当院では最初に歯の汚れをチェックして、普段の歯磨きの仕方を尋ね、それに対して「こういう磨き方をするといいよ」とアドバイスをすることで、正しい歯磨きができるように指導しています。
親による仕上げ磨きは何歳ぐらいまですればいいんでしょうか?

子どもの磨き方にもよりますが、永久歯が生えそろった時点でも、週1回ぐらいは見てあげてほしいと思います。歯磨きは毎食後が理想ですが、それは無理だとしても、寝る前には必ずしてほしいですね。寝ている間は唾液の分泌がほとんどありませんから、虫歯になりやすいんです。また、何かを食べた後30分から1時間ぐらいは虫歯になりやすい状態が続きます。だからダラダラと間食をするのも良くないんです。欲しがる度におやつをあげるのではなく、時間を決めて与えるようにしたいですね。あと「おしゃぶり」も歯並びに影響しますから、できればやめたほうがいい。そういった情報も、幅広く伝えていけたらいいなと思っています。
口腔の健康維持と向上に、歯科医院を活用してほしい
子どもの歯の矯正は、早い時期から始めたほうがいいんですか?

ケースバイケースですが、小さい頃から噛み合わせなどを継続的に診ていることで、矯正のタイミングは判断しやすいですね。「交叉咬合(こうさこうごう)」といって噛み合わせが横にずれているような場合は、放っておくと顎の骨格がゆがんできます。そうなってからでは手遅れなので、早めの治療をお勧めしています。子どもは骨格が成長しますから、それに合わせて例えば上顎と下顎のバランスが原因で歯並びが悪くなっているような場合は、バランスを良くするために骨の成長を促す治療をすることもあります。また、子どもは矯正装置に対する慣れが早く、大人のほうがいつまでも違和感が残ることが多いようです。子どものほうが順応性が高いんですね。
今後の展望について教えてください。
大学で28年間研鑽してきた自分の知識と技術が、地域のお子さんたちのお役に立てばうれしいです。大学病院に行かなくても当院ですべて治療できるのが理想ですが、さすがに時間や設備などが足りない面もあるので、少しでもそれに近づけられたらいいですね。具体的な治療内容に関しては、虫歯とその予防から矯正まで、基本的な診療は何でもいたします。ただ矯正治療や外科的手術に関しては専門家ではありませんから、特に難しいケースは専門の先生を紹介し、連携を図ったりすることはあります。あとはすでにお話ししましたが、「歯医者は怖い」というイメージを取り除き、歯科嫌いのお子さんを一人でも減らしていきたいですね。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

歯科医師の仕事は、単に虫歯を治して終わりではありません。虫歯になる前の予防と、口腔内を良い状態に保ち健康な状態に導くことこそが重要な使命だと考えています。痛くなってから来るのではなく、そうなる前に来てくれれば、痛い思いもしないで済んだかもしれないのです。自分では何ともないと思っていても、来ていただければその時の状態に応じて適切なアドバイスができます。一生涯自分の歯で過ごしていただくためには、やはり小さい頃から歯科に慣れておくことが大切です。そのため、対応に慣れている日本小児歯科学会小児歯科専門医がいる歯科医院を選択肢として持っていただけると安心感も得られると思います。わが子の今後を口腔の健康を維持し向上するための手段の一つとして、歯科医院を上手に活用してほしいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正基本料金 70万円
※前歯のみ 30万円~40万円
※部分治療 10万円~