小泉 和也 院長の独自取材記事
小泉胃腸肛門乳腺クリニック
(葛飾区/金町駅)
最終更新日:2025/01/30

JR常磐線の金町駅南口から徒歩4分。金町メディカルモールの1階にある「小泉胃腸肛門乳腺クリニック」。2015年の開業以来、小泉和也院長の得意分野である消化器内科や乳腺外科、血管外科、肛門外科などの診療に力を注いでいる。2024年1月からは、乳腺外科や消化器内視鏡検査などの医療体制を拡充したほか、クリニック名に「乳腺」という文言を入れ込んだ。より多くの女性に乳がんの検査を受けてもらいたいとの思いからだという。さらに内視鏡を専門とする医師も増員し、消化器がんの早期発見に努めている。小泉院長は下肢静脈瘤や痔に関しても専門性を生かして日帰り手術などを行っている。そんな小泉院長に診療への思いやクリニックの特徴などについて聞いた。
(取材日2024年3月13日)
検査体制を拡充し消化器がんや乳がんの早期発見に注力
こちらは専門性に特徴があるクリニックですね。

私は大学卒業後、病院で15年ほど、消化器外科をはじめ外科全般に携わりました。胃、食道、大腸などのがんの手術のほか、乳がん、下肢静脈瘤、痔の手術など幅広く行ってきました。開業する際は、それまでの経験に基づいて自身が責任を持って診察、診断できるクリニックにしたいと思いました。糖尿病や心疾患などは各専門の医師に任せて、私は消化器を中心に外科領域に特化することで、地域の方々のお役に立ちたいと思ったのです。特に、病院時代には、胃、大腸、肝臓、膵臓のがんや乳がんなど、がんの発見から化学療法、手術、そして終末期の緩和ケアまでがん治療全般に向き合ってきました。当院でもそれらの経験を生かして過不足ない適切な検査と診断で患者さんの心配を減らし、迅速に治療の道筋をつけていきたいと考えています。そしてがんで亡くなる方を少しでも減らしたいと思っています。
クリニック名に「乳腺」と入れたのもそうした思いからなのですね。
これまでも乳腺外科の診療は行ってきておりました。年々乳がんの罹患者は増えておりますので、より女性が受診しやすいようクリニック名に乳腺を入れました。乳がんが気になる場合、女性の疾患だからと婦人科を受診する方がいますが、それは誤解です。本来、乳がんを診査診断するのは乳腺外科もしくは外科です。その点をよく知って受診いただきたいですね。当院では乳腺外科を専門とする医師が視診、触診、超音波検査を行い、さらに疑いのある場合は細胞診まで行っています。マンモグラフィが必要な場合は連携の医療機関で受けてもらって、当院で診断しています。予約制の乳腺専門の外来の日も土曜日から火曜日に移動させました。土曜日はご家族との予定がある方が多いようで、平日なら受診しやすいと思います。
内視鏡検査の体制も拡充したと聞きました。

内視鏡のエキスパートである消化器内科の医師にも来ていただいて、医師4人体制で内視鏡検査を行っています。胃がんや大腸がんの発見には、内視鏡検査が極めて重要で、特に大腸の内視鏡はぜひ受けてほしいですね。胃の検査を受ける方は多いと思いますが、お尻から内視鏡を入れる大腸検査には皆さん抵抗感があるようです。症状が出る前に早期発見できていたらと、これまで何度も悔しい思いをしてきました。ですので、50歳になったら症状がなくても大腸の内視鏡検査を受けてほしい。その際、何もなければ5年に1度、家族に大腸がんになった方がいる人はもう少しまめに受けたほうがいいでしょう。当院では希望があれば鎮静剤を使いますし、検査自体も15分程度。怖がらずに安心して受けに来てほしいですね。また、もし、大腸がんの治療が必要な場合は、東京大学医科学研究所附属病院や東京の地域病院など、専門施設と連携を取っています。
専門性を生かして肛門疾患や下肢静脈瘤にも対応
最近は膵臓がんが話題になっていますね。

膵臓がんは消化器を専門にしていても発見診断が難しい疾患です。おなかが痛い、背中が痛いといった症状に対して、胃や背中の異常ではないかも、と思った際、膵臓がんを疑ったり、さらに精密検査をして診断まで行きついたりということが意外と少なく、それだけ早期発見が難しいのです。当院では、腹痛や背中の痛みが胃腸や整形外科の病気によるものでない、と判断したときには、膵臓がんの可能性も考えて、まず院内でエコー検査を行います。それでも疑わしい、わからない場合、同じモール内の連携クリニックでCTやMRIを受けていただきます。このように精密検査まで迅速に行える環境が整っている点も当院の特徴です。さらに膵臓がんの専門家がいる大学病院とも密な連携を取っています。
先生は肛門外科もご専門ですね。
肛門外科はお尻、特に肛門周りに関する悩みや疾患を持つ方が対象になります。中でも最も多いのが痔です。ひと口に痔と言ってもさまざまなタイプがあり、それぞれ適応する薬も異なります。その痔のタイプに合わない薬を使えば悪化することもあり、どの症状にどの薬が適しているか、それを判断できる点も専門ならではのことでしょう。当院では痔の日帰り手術も行っており、また、内痔核に対する痔核硬化療法も日帰りで可能です。ただ、男性の方で肛門周辺の筋肉の大きい方など入院手術が必要な場合は、大腸肛門病の専門病院に紹介します。
下肢静脈瘤の治療についても教えてください。

下肢静脈瘤とは、足の静脈に血がたまり血管が膨らむ病気で、当院では主にレーザーを用いた焼灼術による静脈瘤の手術を日帰りで行っています。この病気は自分の症状が静脈瘤だとわからずクリニックを転々とされている方がとても多いんですよ。静脈瘤というと、血管が浮き出た症状が思い浮かぶと思いますが、それ以外にもいろいろな症状があります。例えば、足がしびれる、むくむ、だるい、重い、夜につる、こうした症状がある方は一度、静脈瘤を疑って受診してみてください。またこのような足の症状は治療できる、ということも多くの方に知っていただきたいですね。
患者が何を心配しているのか、丁寧に耳を傾ける
診療の際、どんなことを心がけていますか。

何に悩んでいるのか、何を心配しているのか、まずは患者さんの話にじっくり耳を傾け、そして、リラックスしてもらうことです。中には、どこも悪くなくても、ストレスによって何かしらの症状が出るケースもあります。そんな場合は、「何でもないですよ」と説明するだけで気持ちが軽くなったりするものです。私は勤務医時代から多くのがんの患者さんと接してきましたが、残念ながら、亡くなる方もたくさんおられました。そんな中で、私に命を預けてくれた患者さんの治療を終え、「もう通院しなくて大丈夫ですよ」と言えた時は本当にうれしかったですね。さらに、患者さんから「先生のおかげ。ありがとう」と言われることは医者冥利に尽きます。患者さんの元気な姿を見るのは医師として最大の喜びです。
先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
一番のきっかけは外科医師が主人公の漫画です。私は小さい頃から手先が器用で図工も大好きでした。それもあって、指先から繰り出す見事な外科手術によって多くの人を治療する主人公の姿に憧れました。両親は医療関係者ではありませんが、私に対しては医師になってほしいと思っていたようでとても応援してくれました。外科を選んだのも、その漫画の影響が大きいですね。大学入学当初は整形外科をめざそうかと思っていたのですが、部活の消化器外科の先輩方が「手術で人の役に立ててとてもやりがいがあるよ」と、消化器外科を熱心に勧めてくれたんです。本当は人手が欲しくて勧めてくださったんですが(笑)。ただ、自分の手技で人の役に立てるというのは魅力的でしたね。また、消化器外科では実に幅広い手術を手がけるので、より幅広く人の役に立てます。それで最終的に消化器外科を専門に選びました。
今後の展望とメッセージをお願いいたします。

開業して9年たちましたが、地域の方々にかなり認知していただいたと感じています。これからもお一人お一人丁寧に適切な診断と治療を行っていきたいと思います。がんは、早期に発見できればそれだけ良い生命予後が期待できる疾患です。早期であれば胃がんや大腸がんは内視鏡下治療で済むことも多いですし、乳がんは乳房温存も期待できます。ですので、まずは検診を受けていただいて、ご自身の体の状態を確認していただきたいと思います。女性の方も乳がん検査を受けやすい環境を整えていますのでぜひご来院ください。