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森田 幸介 院長の独自取材記事

森田歯科クリニック

(富田林市/川西駅)

最終更新日:2025/06/06

森田幸介院長 森田歯科クリニック main

2015年、近鉄長野線・川西駅から徒歩8分の場所に開業した「森田歯科クリニック」は、小児歯科と障害者歯科に注力し、地域に根差した診療を提供している。院長を務める森田幸介先生は、障害者歯科の分野で数多く診療にあたってきた経験を生かし、院内環境から治療に至るまで、こまやかな配慮を行き渡らせている。日々誠実に患者に向き合い診療に取り組む様子も、インタビュー中、やわらかい語り口で丁寧に言葉を選ぶ様子からも伝わってきた。そんな森田院長に、歯科医師をめざしたきっかけや障害者歯科への思い、患者との接し方などについて尋ねた。

(取材日2025年5月19日)

経験を重ねて地元に戻り、地域の力になりたいと開業

クリニックのある富田林市は先生の地元でもあるそうですね。

森田幸介院長 森田歯科クリニック1

そうなんです。大学に入学した当初から、いずれは地元で開業したいという思いがありました。臨床研修の後、数軒の歯科医院で勤務し、トータルで8年間研鑽を積みました。開業の準備をしながら働き、いろいろな意味で「今だ」と思えるタイミングに恵まれた2015年に、開業に至りました。一般歯科からインプラント治療などの専門に特化した歯科クリニックまで、歯科医院はたくさんあると思います。でも、私が長年多く診てきた障害者の方は、なかなかかかりつけのクリニックを見つけづらいというのが現実です。開業を決意したのは、長年生まれ育った場所で歯科医院探しに困っている方の受け皿になりたいという思いが根底にあったからです。

クリニックづくりでこだわった点はありますか?

お子さんの来院が多いことを想定して、安全面には特に配慮しました。例えば玄関は、子どもがいきなり外へ飛び出さないよう二重扉にしましたし、駐車場への通路も自転車などの飛び出しを防ぐため、意図的に狭く設計しました。また、キッズスペースは受付から見える位置に設け、お子さんの様子をスタッフが見守れるよう小窓を設けました。また、何か起こったときにもすぐに対応できるよう、動線も工夫しています。診療台の横には患者さんのご家族が側で見守れるスペースもありますし、人目が気になる方には個室での診療も行っています。院内づくりの面からも、「患者さんが安心して診療を受けられる環境」を意識しています。

地元には、開業を機に戻られたそうですが、地域の印象はいかがですか?

森田幸介院長 森田歯科クリニック2

開業前は15年以上地元を離れていたので、当時の記憶だけが頼りでしたが、実際に戻って来てみると、地元の方々は温かく優しい雰囲気の方が多いなと感じました。患者さんの年齢層も幅広く、小さなお子さんからご高齢の方まで幅広く通っていただいています。また、当院では障害のある方や、他院での治療が難しかった方も多く来院されるのが特徴です。中には、なかなか通える歯科クリニックが見つからないからと、少し遠方から通われている方もいらっしゃいますね。障害者歯科に力を入れていることで、施設の方だけでなく、「家族をどの歯科クリニックに連れて行けば良いのかわからない」と悩んだことのある方々の間でご紹介いただくことも増えました。

患者と家族の望みを丁寧にくみ取る障害者歯科

診療方針について教えてください。

森田幸介院長 森田歯科クリニック3

患者さんが「どんな方で、何を望んでおられるのか」を見極めることを重視しています。特に障害がある方だと、ご自身でうまくお悩みや希望を訴えられないことも多く、表情や動作、話している時の雰囲気やご家族の様子からその方に合った対応を探っています。他院に通うのが難しかったという方には、この機械の音が嫌いなど、「何が苦手で当院にお越しになったのか」をくみ取って、刺激の弱い接し方から慣らして診療自体のハードルを下げていくところから始めます。やはり、それぞれの患者さんから感じ取れるものやご家族のご希望をどれだけ引き出せるのかが治療にも大きく影響しますので、小さなステップでも「今日は泣かずに椅子に座れた」など一緒に喜び、次につなげていきます。

問診票も工夫されていると伺いました。

診療を続けるうちに、問診票にも工夫が必要だなと思い、数年前に今のものに変更したんです。障害と一口に言っても、お一人お一人の個性はさまざまで、型にはまった対応では患者さんに寄り添うことは難しいです。ですから、障害のある方や、配慮が必要な方にも安心して通っていただけるよう、通常の病歴に加えて以下のような項目を記載しています。例えば、知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、脳性まひ、認知症、視覚・聴覚の障害、パニック障害など。他にも自由記述欄を設けており、項目にあてはまらない場合やご家族が不安に感じている点、過去のトラブル、配慮してほしいことなどを記載できるようにしています。こうした事前情報をもとに、診療時の対応や雰囲気づくりにも生かすことで、安心して通院できる体制づくりに取り組んでいます。

障害者歯科の診療では、ご家族とのコミュニケーションも大事だそうですね。

森田幸介院長 森田歯科クリニック4

お子さんや障害のある方の場合、ご家族の理解と協力が大切です。治療中も安全に配慮した上で、患者さんやそばにいらっしゃるご家族、保護者の方の表情や様子にも気を配るようにしていますね。もし不安そうであれば声をかけたり、逆にリラックスしていれば「信頼してくださっている」と受け止めたり。その時々の空気を感じ取りながら小さなやりとりを積み重ねて、診療のペースや関わり方を微調整しています。また、治療後は必ず数分でも時間を取り、どのような処置を行ったかや今後の見通しなどをご家族の方にもしっかり説明しています。治療中に席を外されていた場合でもきちんと治療内容を伝えることで、「ここなら任せられる」と感じていただけるのではないかと思います。患者さんとご家族の両方が安心して通えることが、患者さんの治療への前向きな姿勢につながると考えて、日々の診療に向き合っています。

スタッフさんの体制づくりも工夫されているそうですね。

経験年数や勤務形態に関係なく、スタッフには個々の患者さんへ配慮してほしいと伝えています。希望があれば、障害者歯科の勉強会などへの参加も推奨しています。障害について知っていても、本に書かれているとおりの方ばかりではないですし、ある患者さんに向いていた対応が別の患者さんにも必ず向いているとは限りません。当院のスタッフには、実際に患者さんと接して経験を重ねてもらいながら、患者対応の手数を広げていってもらえるよう適宜指導をしているところです。長く働いてくれる人も多く、信頼できるスタッフがいてくれることが、患者さんの安心にもつながっていると感じています。

困っている患者が安心して頼れる地域の受け皿として

休日はどのように過ごされていますか?

森田幸介院長 森田歯科クリニック5

施設を訪問したり、行政の障害者歯科協力に出かけたりする日もありますが、完全に休める日は家族との時間を大切にしています。上の子が中学3年生、下の子が小学6年生で、少しずつ手が離れてきたからこそ、休みの日には多少無理してでもどこかに連れて行って、家族との思い出を増やしたいと思っているんです。

今後の展望についてお聞かせください。

開業から10年がたち、当院が地域に根差していくと同時に見えてきたニーズがあるんです。例えば、最近はお子さんの矯正歯科のご相談が増えていて、当院でも対応できる領域を広げたいと考えています。また、より重度の障害がある方にも対応できるよう、安全に配慮した設備や体制の整備も視野に入れています。次の10年に向けた準備を一つ一つ進めていきながら、地域に必要とされていることに応えられる歯科クリニックでありたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

森田幸介院長 森田歯科クリニック6

私は小さな頃、祖父母と一緒に暮らしていて、手足が自由に動かなくなった祖父や大病を患って食事に苦労していた祖母が身近な存在でした。障害者歯科に取り組んでいるのも、祖父母のように困っている方への助けになりたいという思いがきっかけなんです。ですので、他院で治療が難しくお困りの方や、一度歯科治療を諦めてしまったという方にも、ぜひご相談いただけたらと思います。すべての方に対応できると言いきることはできないのですが、「ここなら治療できるかもしれない」という可能性を探るお手伝いはできると考えています。まずはお電話でも構いませんので、お気軽にご連絡ください。お一人お一人に合った診療を、一緒に考えていけたらと思っています。

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