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続 多香子 院長の独自取材記事

札幌円山腎・泌尿器科クリニック

(札幌市中央区/円山公園駅)

最終更新日:2025/06/13

続多香子院長 札幌円山腎・泌尿器科クリニック main

円山公園駅からすぐのメディカルビル。駅とビルが地下でつながっているため、悪天候でも影響なく移動ができる利便性の高いビルだ。その2階に「札幌円山腎・泌尿器科クリニック」はある。2009年当時、まだ女性医師の泌尿器科クリニックは少なく、続多香子(つづき・たかこ)院長は家族の反対を押しきって開業したという。そんな時期から活動してきた続院長は、腎移植や人工透析、尿失禁といった幅広い腎・泌尿器科領域を経験。現在では透析を受ける前段階の状態を長期間維持するため、生活や食事の指導に注力。女性の尿失禁や頻尿へのアプローチにも熱心で、日常生活でできる運動訓練の提案を続けている。医師という忙しい仕事をしているからこそ、自身も健康を意識し、姿勢や血流改善に気をつけているという続院長に、話を聞いた。

(取材日2025年4月17日)

勤務医時代は尿失禁の外来を開始、女性医師の礎へ

まずは、医師を志したきっかけについて教えてください。

続多香子院長 札幌円山腎・泌尿器科クリニック1

何か大きな転機があったというわけではなく、父の影響が大きいですね。父は内科の開業医をしていて、子どもの頃から医師としての父を見てきました。親身になって患者さんの相談事に乗り、患者さんに感謝される父の姿は、今でもふとした時に思い出します。田舎の開業医だったので、子どもから大人まで、来院されれば取りあえず何でも診ていました。尊敬する父でしたね。

数ある分野の中で、なぜ泌尿器科を選ばれたのですか?

父の影響もあって、医学部に入って数年は漠然と内科を考えていました。転機が訪れたのは、大学6年生の時の臨床実習です。臨床実習ではいろいろな科を経験するんですが、腎臓を扱う泌尿器科に出合い、これだと感じました。腎臓は体の老廃物を排出して、体の水分バランスを取ってくれたり、それ以外にも赤血球を作ったり、骨を作ったりする臓器です。貧血を予防するホルモンや骨粗しょう症を予防するビタミンDをつくっているのも腎臓です。腎臓機能が正常であれば多少の不摂生は腎臓が後始末をしてくれるんですが、腎臓は一度悪くなると回復しません。人工透析で老廃物は排出されても、体の水分バランスは取れないんです。当時は岩手医科大学で腎移植が始まった頃で、私も腎移植をやってみたいと思い、泌尿器科に進みました。

当時の泌尿器科領域は、医師も患者さんもほとんどが男性と伺いました。

続多香子院長 札幌円山腎・泌尿器科クリニック2

そうなんです。泌尿器科は、医師はもちろん患者さんも男性が多い分野でした。今でこそ女性の頻尿や尿漏れでの受診は当たり前ですが、当時は「年齢のせいで病気じゃない」と言われて女性は治療を受けられなかったんです。そこで私は教授の助言を受けて、県内の女性看護師2000人に、尿漏れについてのアンケートを取りました。すると回答者の20%ぐらいが尿漏れの経験者という結果が出たんです。働いている世代で20%ですから、年齢が上がれば割合はもっと増えるはずですよね。アンケートの論文を国内外で発表したところ、多くの反応がありました。岩手医科大学で尿失禁の外来を始めたのは、海外に論文発表したのと同じ年ですね。頻尿や尿漏れのための薬が開発されて、メディアでも過活動膀胱が取り上げられ始めると、受診率は向上しました。

透析を受ける前段階の状態を、長期間維持できるように

開業を決意した経緯についてお聞かせください。

続多香子院長 札幌円山腎・泌尿器科クリニック3

腎移植や人工透析を受ける患者さんと多く接するうちに、手術の前段階で食い止めることはできないかと思うようになりました。腎移植や透析を受ける患者さんの中には、健診で血尿を指摘されたものの放置しており、その結果腎不全になった方もいらっしゃいます。健診で血尿を指摘されたら受診してほしいところですが、それに取り組めるのは地域のクリニック。クリニックであれば日常生活や食事の指導もできますし、腎移植や透析になる前段階での介入も可能です。腎移植や透析の患者さんを多く診てきた経験があるからこそ、私がすべき仕事だと思いました。当時は女性医師の泌尿器科クリニックの前例がほとんどなく、家族からも反対され、税理士さんからも「前例がないためお金の流れは予想できません」とも言われました。でも私自身がやると決めたらとことんやる性格なので、とりあえずやってしまおうと思って開業したんです。

今でも、予防や悪化防止に重点を置いた診療を続けてらっしゃるんですね。

はい。腎移植や透析を防ぐための診療を続けています。腎臓病は透析レベルになっても自覚症状が少ないため、救急車で運ばれるまで病気に気づかない人も珍しくありません。健診で尿潜血を指摘されて受診される方がほとんどなので、受診の段階で腎臓の数値は悪いです。ただ、その数値を悪化させないための治療や指導を行っています。腎臓病の治療で大事なのは、生活と食事を改善していくことです。患者さんの努力が必要ですが、いずれ透析になるとしても、透析までの期間を延ばすためには必要な方法です。透析の標準的な頻度は週3回で、透析1回につき4時間かかります。透析治療はこれが一生続くんです。日常生活の質が低下してしまうのは容易に想像できますよね。透析しなくても大丈夫な状態を長期間維持することが、私の目標です。

尿漏れや頻尿について、自宅でもできる体操を提案されているとか。

続多香子院長 札幌円山腎・泌尿器科クリニック4

腎臓病同様に尿漏れや頻尿の治療も、患者さんの頑張りが必要だと考えています。日常生活で実践しやすい運動や訓練を、患者さんに合わせて提案させていただいています。横になったり道具を使ったりする運動だと、どうしても場所や時間に制限が出てしまいますので、病院の待合室でもできる運動を継続して、尿漏れの改善を図っていただきます。当院には90代の患者さんもいらっしゃいます。年齢は関係ないので、お気軽にご相談ください。

日常生活の質を上げるため、日常生活でできる運動を

印象的な患者さんはいらっしゃいますか?

続多香子院長 札幌円山腎・泌尿器科クリニック5

患者さんというか、腎臓病の友人ですね。友人は小児の慢性腎臓病で、高校生になる前から透析を受けていました。数年前に亡くなったので、50年近く透析を受けていたことになりますね。食事療法も行っていて、本人は大変だったと思います。昔は透析技術も今ほど発達していなかったので、50年近く生きてきたのは友人自身の努力の賜物だったに違いありません。以前、友人につらくないか尋ねたことがあるんですが、友人は「やりたいことがたくさんあるから、生きなきゃいけない。明日にでも死ぬかもしれないけど、生きる道があるなら食事療法でも透析でも何でもやる。今やれることをやるだけ」と答えてくれました。腎臓病は、つらい努力が必要になる病気です。友人はとてつもない努力をしていたんだと、今でも尊敬しています。

患者さんと接する上で、気をつけていることについてお聞かせください。

患者さんのお顔や目を見ながらお話しするように気をつけています。情報を忘れないために、ついつい患者さんと話をしながらパソコンに向かいがちになってしまうんですが、患者さんは私に話してくださっているわけですから。それに泌尿器科領域の病気は生活習慣由来のことが多いため、改善につなげるにはまず生活を正さないといけません。お話を聞いて、どこを改善すべきか、どう改善していけば良いのかを、わかりやすく伝えるようにしているつもりです。そのため診察時間が長くなってしまうんですが、省略できないところなので、ご理解いただけたらうれしいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

続多香子院長 札幌円山腎・泌尿器科クリニック6

泌尿器科領域の疾患は、日常生活の質が低下してしまう病気が多いです。尿漏れがあるから旅行に行けない、頻尿だから映画館に行けないなど、楽しいはずのイベントが楽しめない、そもそも参加できないということが増えてしまいます。もし泌尿器科への受診をためらっている方がいらっしゃれば、遠慮なく相談していただきたいです。自宅でできることをご紹介しますし、病気を治療して明るく生活していただきたいです。当院は老若男女さまざまな患者さんが通っていますし、頻尿や尿失禁、腎臓病をはじめ、泌尿器科のさまざまな病気を診療しています。何かしらお力になれると思うので、ぜひ一度足を運んでいただければ幸いです。

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