仁井田 卓 院長の独自取材記事
すざく歯科
(奈良市／高の原駅)
最終更新日：2022/04/14
近鉄京都線・高の原駅から南東に徒歩約15分。閑静な住宅街が広がる朱雀エリアの一角に、開業10年目を迎える「すざく歯科」はある。木をふんだんに使った院内は温かみがあり、治療前の緊張を和らげてくれるような居心地の良さを感じる空間となっている。院長を務めるのは、社会人から歯科医師の道をめざしたという仁井田卓（にいだ・たかし）先生。「とにかく歯科に対する垣根を低くしたい」という強い思いを持ち、一人ひとりの患者に丁寧に寄り添いながら心のこもった診療を提供している。明るい笑顔と気さくな人柄が魅力の仁井田院長に、クリニックの名前に込めた思いや、歯科医師となるまでの経緯、診療に対する思いなど、たっぷりと話を聞いた。
（取材日2021年5月7日）
患者に寄り添う診療で、垣根の低い歯科医院をめざす
この地で開業したきっかけについて教えてください。
私はもともと橿原市の出身なのですが、大学を卒業後に京都大学医学部附属病院で研修することが決まっていて、研修が終了した後のことを考えた時に、大阪方面にも京都方面にも近い場所に住みたいなと思ったんです。ちょうどその頃に、長田と学研奈良登美ヶ丘を結ぶけいはんな線が開通したので、それならその辺りにしようということになって住み始めました。その後、大阪での勤務医時代を経て開業をすることになった時に、どうせだったら住んでいる近くがいいと思って、朱雀での開業を決めました。もともと静かな場所が好きだったんですが、この町は利便性が高いけれど静かで落ち着いていてとても気に入っています。
どのような患者さんが来院されますか？
当院はすぐ隣にスーパーがあるので、開業当初はそこに買い物に来る主婦層がメインの患者さんでした。その方々がご自分のお子さんを連れて来てくれるようになって、そのうちお父さんも来てくださるようになって、今では小さなお子さんから高齢の方まで幅広い年齢の方が通ってくださっています。当院は「垣根の低い歯医者さん」をキャッチフレーズに掲げていて、誰もが心理的な障壁を感じずにお越しいただける、地域のかかりつけ歯科医院をめざしています。院内はバリアフリーですので車いすの方でもそのまま診察室まで入ることができますし、高齢で足腰が弱くなって通院が難しくなった場合には、訪問診療も行っています。訪問診療については勤務医時代から取り組んでいて、当院では開業当初からずっと行っているんですよ。ここに来ることができない方に対しては、こちらから出向いていくというスタイルを大切にしています。
先生が診療の際に心がけていることは何ですか？
「丁寧な説明と丁寧な治療」ということを大切にしています。何をされているのかわからないというのでは、患者さんは苦痛ですし不安だと思います。ですから当院では、どこが悪くてどのような治療が必要なのかを丁寧に説明し、納得した上で治療を始めます。その際には、必ず口腔カメラを用いて口の中の状況を患者さんに見ていただき、治療のビフォー・アフターを患者さん自身にも確認していただいているんですよ。また、できるだけ痛みに配慮した治療を提供することはもちろん、「治療を押しつけない」ということも心がけています。治療方針をいくつか提示した上で、患者さん自身が納得のいくものを選んでいただくのです。患者さんの中には「治療をしない」という選択をされる方もいますが、その場合にも、今できる得る限りのことは行い、様子を見ていくようにしています。
歯科治療の可能性に気づき、社会人から歯科医師の道へ
先生は社会人を経験してから歯科医師の道をめざしたという、異色の経歴をお持ちだと伺いました。
実は、高校時代は医学部をめざしていたんです。父が小児科の医師だったので憧れていたんですが、現実では医学部合格には届きませんでした。それで、医学部のすべり止めとして受験していた国立大学の歯学部に進学をしたんですが、当時は歯科医師になりたかったわけでもなく、職業としてもあまり理解していなかったんです。結局その大学を中退して、社会人として働き始めたのですが、仕事をしていく中で「人は生まれてから死ぬまで、食べるということが幸福につながっていて、歯科医師というのはその幸福を支えることができる職業だ」ということに気づいたんです。それでまた別の国立大学の歯学部に入り直して、本格的に歯科医師の道をめざしました。両親は呆れていましたが、今となれば歯科医師というのは本当にやりがいのある職業だと思っていますし、一度やめたのにまた歯科の道に戻れたということは幸運なことだったと思っています。
実際に、歯科医師になって良かったと思ったエピソードはありますか？
もうかなり前の話になりますが、高齢のご夫婦が診療を受けにいらっしゃったことがありました。おばあちゃんのほうは車いすに乗っていて、入れ歯を作ってほしいということでした。その時のおばあちゃんは表情も暗くて元気がなかったのですが、治療が進むにつれてだんだん表情が和らいで笑顔が戻り、入れ歯が完成した頃には明るく話をしてくれるようになっていました。入れ歯の作製もうまくいって、ぴったりの入れ歯を作ることができたと自分でも満足しています。コミュニケーションや診療を通して、患者さんの笑顔が見られる歯科医師の仕事にやりがいを強く感じましたね。
「すざく歯科」という名前に込めた思いを教えていただけますか？
歯科のクリニックは、一人ではできませんよね。受付のスタッフ、歯科助手、歯科衛生士など、自分以外の多くの人に支えてもらいながらやっています。ですから、当院の名前を考える時にも、「仁井田歯科」というように自分の名字を入れることはせず、この町の名前を使うことにしました。皆に支えてもらいながら「朱雀」も漢字ではなくて平仮名にすることで、小さな子どもから大人まで親しみを持っていただきたいと思ったのです。歯科に対する垣根をとにかく低くして、この町にしっかり根を張った地域のかかりつけ歯科をめざしたい、という思いが当院の名前には込められています。
患者の幸せにつながる、一人ひとりに合った治療を提供
先生が得意としている治療は何ですか？
これがずば抜けて得意というものもなければ、反対にこれが苦手というものもないんです。歯科クリニックとしては押しが弱いのかもしれませんが、虫歯の治療から歯列矯正、訪問診療までワンストップで一通り対応できることが、強みだと言えるでしょうか。また、患者さん一人ひとりに合った治療を提供するということも当院の特徴の一つだと思います。例えば、入れ歯一つ取ってみても、手先が器用な方であれば小さい入れ歯でも上手につけることができますが、手がうまく動かせなくなってしまった高齢の方にとっては難しいことです。治療の結果、その方が幸せであることが大切ですから、そのことを常々意識しながら、かかりつけ医として地域の一次医療を支えられる存在でありたいと思っています。
先生ご自身が、歯の健康維持のために行っていることはありますか？
特別なことは何もしていなくて、こまめな歯磨きを心がけているくらいですね。歯の健康維持の基本というのはやっぱり歯磨きなんです。丁寧な歯磨きこそが、歯に関する万病を防ぐことができると思っています。私の歯磨きの回数はかなり多いほうだと思います。朝起きてすぐに歯磨きをして、そこから1日に5回以上は歯を磨いています。私は本当に痛いことと怖いことが大嫌いなので、虫歯になって治療をしたくないんです。だから頑張って歯磨きをしているんですよ（笑）。もちろん、当院の患者さんにも歯磨きの必要性はしっかりと伝えています。せっかく虫歯を治療しても、根本の原因が解決しなかったら、何ヵ月か後にまた虫歯ができてしまうこともありますから、そうならないためにも歯石のお掃除などをお勧めしています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
何か大きな展望があるわけではないのですが、過去の10年と同じように、これからの10年も変わらずに地域の皆さんの口腔の健康を守っていきたい、というのが私の願いです。今は新型コロナウイルスの影響で訪問診療がなかなかできていないのですが、状況が落ち着いたら積極的に行っていきたいと思います。お口の中のことで、何か心配なことや気になることがありましたら、どんな些細なことでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはI期矯正費用（乳歯が残っている方対象）
精密検査（治療検査前必ず実施）：2万8000円
治療費：39万円
咬合誘導装置のみ：11万円
上記で本格的なI期治療に移行：＋28万円
咬合誘導装置を含めたI期治療：39万円
※咬合誘導装置：3歳以上のお子さまを対象とした受け口を矯正するための装置。
II期矯正費用（永久歯のみ）
精密検査（治療検査前必ず実施）：2万8000円
治療費：83万円
I期治療からの移行：＋39万円
インプラントアンカー：1万8000円 ／本
マウスピース型装置を用いた矯正／100万円
