本杉 裕一郎 院長の独自取材記事
すぎ内科・糖尿病クリニック
(町田市/町田駅)
最終更新日:2025/03/10

町田駅ターミナル口より徒歩約4分の場所にある「すぎ内科・糖尿病クリニック」は、糖尿病を中心に高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病を専門的に診療するクリニックだ。院内は落ち着きがあり、リラックスできるようなやわらかな雰囲気のインテリアでまとめられている。また、待合室の椅子は疲れにくい構造のこだわりのものが採用されている。予約制で待たせない診療をめざしているが、やむを得ず待ち時間が長くなった場合でもくつろげるようにとの心配りが本杉裕一郎院長の人柄を表している。インタビューでは、診療の際に心がけていることや糖尿病治療で大切なこと、今後の展望まで、日本糖尿病学会糖尿病専門医である本杉院長に幅広く話を聞いた。
(取材日2018年3月2日/再取材日2025年2月14日)
生活習慣病専門クリニックならではの専門的な診療
近隣エリアで生活習慣病専門のクリニックは珍しい存在ですね。

当クリニックは糖尿病、高血圧症、脂質異常症をはじめとした生活習慣病を抱える患者さんに対して、適切な治療を提供することをコンセプトにしています。そのため、血糖値やヘモグロビンA1cの測定機器、動脈硬化の検査機器や超音波検査機器など、生活習慣病診療に必要な機器を一通りそろえています。生活習慣病以外では甲状腺疾患も専門的に診療していますのでご相談ください。糖尿病は一般内科でも診断や治療はできますが、日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を持つ医師がいる医療機関であれば治療内容がより患者さんに適切なものになると思いますし、一般内科では取り扱いがないこともあるインスリンの注射製剤の処方や服薬指導も可能です。専門とする領域に関しては、大学病院に引けを取らないレベルの診療をめざしています。
生活習慣病といえば継続した治療が必要になりますが、そのために工夫をされていることはありますか?
やはり一番は通いやすさでしょう。そのために予約制にして、診療後に次回の予約をお取りいただいています。また、予約制でも待ち時間が長ければ意味がありませんので、できる限り時間どおりに診察できるように工夫しています。生活習慣病の専門クリニックにしているのもその一環です。当クリニックの専門的な診療・治療を必要としている患者さんにスムーズに受診いただけるよう発熱や風邪の患者さんはお受けしていません。また、感染症対策上もメリットがあると思っています。
糖尿病治療で大切なことは何でしょうか?

やはり早期発見・早期治療が大切です。糖尿病はしっかり検査をしないと見つかりづらい病気ですから、年に1度の健康診断が重要です。そして、結果をしっかり見て、何かあればすぐにご相談ください。症状が出ないうちに治療に取りかかりたいのです。特に糖尿病の家族がいる人、20代と比べ著しく体重が増えた人、食生活が乱れている人などはご注意を。予防には、バランスの良い食生活や適正体重の維持をする、暴飲暴食をしない、適度な運動をするなど、普通の健康的な生活を続けることが重要です。もし喉の渇きや疲れ、頻尿などの症状があったらできるだけ早くお越しください。糖尿病や高血圧症、脂質異常症は、薬で治療することもありますが、軽い場合には食事療法と運動療法で改善をめざします。薬に頼るのではなく、状態に応じて生活のアドバイスをしつつ、きめ細かく診ていくのは、専門的な知識が備わっているからこそできる対応だと思います。
近年大きく変わった糖尿病治療にも対応
生活習慣病の具体的な治療内容はどのようなものですか?

生活習慣病は食事療法と運動療法が基本です。特に糖尿病治療では8~9割は食生活の改善が鍵を握っています。当クリニックでは、食事に関しては週に2日、管理栄養士による栄養相談を実施し、生活習慣病を治療していくためにどんな食事を取れば良いか、例えば栄養素の配合やごはんの量、野菜の摂取量などをフードモデルという食べ物や野菜の模型を使い、わかりやすく説明しています。この時気をつけているのは、いきなり理想の食事を押しつけるようなことはせず、まずは患者さんの現在の食事の内容をノートに記録してもらい、改善すべきところから徐々にアプローチしていくことです。これまで長年続けてきた食事のスタイルを変えるのですから、時間をかけてじっくり取り組む姿勢が大切です。日頃調理を担当される方にも一緒に栄養指導を受けていただくなど、家族ぐるみで治療をしていくことも良いと思います。
近年、糖尿病治療は素晴らしい進歩があったそうですね。
これまで、糖尿病治療の大きな課題といえば体重のコントロールでした。どうしても体重のコントロールができず、治療が大きなストレスとなったり、治療がうまく続けられなかったりした方もいたほどです。しかし、ここ数年でとても良い薬が発売され、これまで以上に体重のコントロールが望めるようになりました。血糖値の改善につなげられると期待されています。それが患者さんの治療へのモチベーションにもなり、相乗効果でより良い治療ができるようになればと希望していますね。ただ、中には吐き気などの副作用が出ることもありますので糖尿病を専門とする医師のもとで適切にお薬を選び、使うことが必要です。
甲状腺のお悩みにも応えていらっしゃいます。

甲状腺疾患で圧倒的に多いのは甲状腺機能亢進症の一つであるバセドウ病と甲状腺機能低下症の一つである橋本病の2つです。バセドウ病は、動悸や発汗、手の震え、食欲減退の伴わない体重の減少、甲状腺の腫れなどが主な症状です。一方で、橋本病はだるさ、食欲不振、むくみや体重の増加といった症状があります。甲状腺疾患は一般内科の医師も見つけることはできますが、治療に関しては専門の医師のほうが得意といえます。気になることがあればぜひご相談ください。
治療のモチベーションを上げる言葉がけをしたい
日々の診療で心がけていることはありますか?

駄目なことは駄目と言いますが、とがめるのではなく優しくアドバイスするように気をつけています。生活習慣病の治療は長期戦なので、患者さんのモチベーションを上げるよう努めています。患者さんの中に努力しているけれどできない人、あるいは、努力すらできない人がいたとしたら、何をすれば良い方向に進むかを考え、患者さんの行いを否定する以外の方法で導くように心がけています。例えば、なかなか食事の改善が進まない方がジュースをお茶に替えられたなど、小さいことでも進歩があれば褒め、少し後退しても大きく騒がない。そんなスタンスでやっています。
先生が糖尿病を専門にしようと思われたのはなぜですか?
私は人の役に立つ仕事に就きたくて医師をめざしました。進路を考えた高校時代、自分が何になれば社会に貢献できるか、どうすれば多くの人を喜ばせることができるかと考えたのがきっかけです。医師になり専門に糖尿病などを扱う内分泌分野を選んだ理由は、糖尿病の患者さんがこれほど多いのにもかかわらず、糖尿病を専門とする医師が少ないという現状があったから。自分がその道に進むことで社会貢献できるのではないかと思ったんです。糖尿病を診る医師はあまり多くはないこともあり、どこの病院で勤務しても喜んでいただけますし、人から求められる存在であることはうれしさや生きがいにつながります。これまで「いつもありがとうございます」とお礼を言っていただいたり、転勤する際に「先生、辞めないで。近くならついていくのに」などとおっしゃっていただいた時は申し訳なさとともに非常に喜ばしく思いました。ここでもそんな人間関係を築きたいですね。
今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。

医療の世界も日進月歩で、次々と新しい薬や治療法が開発されています。専門的な治療を受けることを目的に来られた患者さんに対して、より専門性を発揮して応えたいですね。また、中にはメディアの刺激的な情報をうのみにして、科学的根拠の乏しい民間療法に一生懸命取り組まれている方もいらっしゃるかと思います。間違っていることはきちんと医師としてお話ししなければ、と思っていますが、なかなか受け入れていただけないことがあり、課題だと思っています。しかし、テレビや発信者不明のSNSよりも、目の前の糖尿病専門医を信頼していただければありがたいです。当クリニックには面倒見の良い親切なスタッフがそろっています。相談もしやすい環境が整っていると思いますから、何かあれば早めにご相談ください。