本多 孝史 院長の独自取材記事
大本歯科医院
(鴻巣市/行田駅)
最終更新日:2024/07/24
「あたたかく、やさしく、広く、大きなこころで良質な歯科医療を施していく」を診療理念に掲げる「大本(だいほん)歯科医院」は、埼玉県鴻巣市で2014年に開業。JR高崎線の行田駅から徒歩8分の住宅街に位置するクリニックだ。一般的な歯科診療から義歯治療、継続的な歯周病治療まで幅広い患者のニーズに対応している。院長の本多孝史先生は、言葉の端々に周囲への思いやりを感じる、謙虚で温厚な人柄。朗らかな笑顔と感謝の気持ちを忘れない姿勢で、クリニックの明るい雰囲気を築いている。有床義歯学会で役員を務める義歯治療のスペシャリストでもある。また、訪問診療にも注力しており、口腔ケアを通して地域の高齢者の口内健康を守っている。笑顔・あいさつ・感謝をモットーに診療を行う本多院長に、診療への思いを聞いた。
(取材日2023年8月24日)
「大きなこころ」という理念を忘れないために
先生が歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。
実家がある秩父の山間部で、高祖父の父が明治時代に医師をしていたそうで、小さい頃から父にその話をよく聞かせてもらっていました。当時の医院や薬局の名残が残っていて、そこで昔の薬などを眺めているうちに、歯科医師という職業に興味を持ちました。私自身、小さい頃はあまり体が丈夫でなく、小児科や小児歯科にたくさんお世話になっていたんです。どの医院でも優しくすてきな先生に診てもらえたことも、医師に憧れた理由の一つです。困っている人を助けられるような歯科医師になりたいという目標ができ、高校卒業後は新潟大学の歯学部に進学しました。
大学卒業後は、どのようなご経歴を歩まれてきたのですか?
埼玉県熊谷市にある中村歯科医院に就職し、16年ほど勤務しました。患者さんに寄り添った診療を大切にする、とても心の温かい歯科医院で、私が開業するにあたっての診療理念を築いた場所でもあります。中村歯科医院は大型の歯科医院で、たくさんの先生が勤務されており、多岐にわたる歯科診療を行っていました。さまざまな診療を学ぶ中、興味を持ったのが義歯治療と訪問診療だったんです。当時の院長で、現在は理事長を務めておられる中村克美先生のもとで義歯治療について学ばせていただき、以来、自分の専門として注力するようになりました。訪問診療も中村先生に声をかけていただいたことをきっかけに、一緒に行かせてもらうようになりました。診療室とは違う患者さんとの距離感やご家族とのコミュニケーション、診療内容にやりがいを感じ、開業後も続けさせてもらっています。
どのような思いで開業に至ったのでしょうか。
勤務医として働く中で自分のカラーを出したクリニックをやってみたいという気持ちが芽生えて、開業を決意しました。中村歯科医院で経験してきたような患者さんに寄り添った気持ちを持つこと、そして知識と技術を研鑽して良い医療を提供していきたいという思いで「あたたかく、やさしく、広く、大きなこころで良質な歯科医療を施していく」という診療理念を掲げました。「大きなこころ」という理念を忘れないために「大」という文字を先頭に置き、本多という私の名前の「本」を取ってつけたクリニック名が、大本(だいほん)歯科医院です。開業から9年ほどたちましたが、患者さんからの「ありがとう」という言葉が励みになり毎日やりがいを感じています。スタッフにも恵まれ、何人かは開業当初からずっと勤めてくれているんですよ。毎日の掃除や機械のメンテナンスを丁寧に行ってくれることで、今もきれいに保てていると思います。とてもありがたいことですね。
クリニックにはどのような患者さんが多く来られていますか?
0歳から100歳になる方まで、幅広い年齢層の患者さんに来ていただいています。症状はさまざまですが、SPT(歯周病安定期治療)を中心とした継続的なメンテナンスを求めて来ていただいている方が多いです。当院では一人の患者さんに1時間かけてSPTをしており、サロンのようにリラックスして、気持ち良さを感じていただけているのではないかと思います。もう一つの特徴として、義歯治療に来られる方も多くいます。インプラントやブリッジ治療をしたくない方で、義歯を選択される方が多いです。最近は、ここ数年の新型コロナウイルス感染症流行の影響で歯科医院に通うことができなかった患者さんが、徐々に戻ってきている印象を受けます。通院できなかった期間に、虫歯や歯周病などの症状が急速に進行しているケースも多く、あらためてSPTの重要性や必要性を実感しました。
訪問診療では口腔ケアに注力
先生は義歯治療の研鑽を積まれていらっしゃいますよね。
中村歯科医院で義歯に興味を持ってから、さまざまな勉強会に参加してきました。最終的にたどり着いたのが有床義歯学会で、現在は役員も務めさせていただいています。現在、上顎の義歯だけでなく、下顎の義歯もしっかり吸着させて、うまく使えるようにする「下顎吸着義歯」の知識と技術があり、私もその方法での義歯を手がけております。これは本当に良い義歯だと考えており、おいしく食事をいただいたり、会話が弾んだりするのにつながることも望めるそうです。また、歯科材料の産業が盛んで研究にも力を入れているリヒテンシュタインやアメリカなど、海外で開かれている症例研究会にも参加し、国内外の義歯について常に勉強しています。
地域の訪問診療も積極的に取り組まれています。
はい。私をはじめとする歯科医師と訪問診療に特化した歯科衛生士が近隣の介護施設に伺っています。訪問診療では、通常の治療や義歯への対応はもちろん、口腔ケアに注力しています。歯石や歯垢は細菌の塊なので、口の中にたまってしまうと誤嚥性肺炎などさまざまな病気のきっかけになることがあります。そういった感染リスクを下げるためにも、きれいにお掃除することが大切なんですね。また、ブラシ等を使ったケアは、マッサージや口腔トレーニングも兼ねており、唾液の分泌を促したりすることも目的の一つとなっています。
訪問診療で心がけていることはありますか?
施設の方とコミュニケーションを図ることも大切にしています。全身状態が悪い方や認知症の方だと、ご自身でのケアには限界がありますよね。そこで、スタッフさんに向けた勉強会を定期的に開催させてもらっているんです。ケアを行う意味やコツをお伝えすることで、日々のケアの質が向上すれば、その先のプロフェッショナルなケアがとてもやりやすくなります。「この患者さんの入れ歯が少し痛そうなので、見てもらえますか?」などと情報をいただけることもあり、話しやすい状況をつくることが、円滑な医療連携につながると思っています。
学んだ技術や接遇を患者に還元し続けたい
患者さんと接する上で、大切にされていることは何でしょうか?
まずは、理念の「あたたかく、やさしく、広く、大きなこころで良質な歯科医療を施していく」ことを大切にしています。そして知識や技術を常にアップデートして、困っている患者さんに還元していきたいです。患者さんがおいしく食べられて、お友達と会った時は会話をしながら楽しい時間が過ごせるようなお手伝いが、少しでもできたらいいなと思っています。
お忙しい毎日かと思いますが、どのようにリフレッシュされていますか?
以前はよくボランティア活動に参加していました。最近はなかなか時間が取れませんが、可能な限り参加させていただいております。新型コロナウイルス感染症流行下で家にいる時間が長くなったことで、家族と一緒に過ごす時間が好きなことにあらためて気づきました。ソファーに座ってビールを飲みながら、家族と話している時間が、一番リラックスできて息抜きになります。
最後に今後の展望と、読者や地域の皆さんにメッセージをいただけますか?
いつもたくさんの患者さんに来ていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。現状維持だと成長はありませんので、技術や知識の向上や、接遇についても勉強を重ねて、常に患者さんに還元できるような歯科医院を続けていきたいです。今より性能にこだわった入れ歯を使ってみたい方や、義歯のことで何かお悩みがある方、そして歯や口の中のことで何かお困りのことがあれば、なんでもいいのでお気軽にご相談くださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とは義歯治療/チタン床義歯:49万5000円程度、ノンクラスプ義歯:8万8000円程度