松元 一生 院長の独自取材記事
ハーミィ小児矯正歯科
(都城市/西都城駅)
最終更新日:2021/10/12

赤い三角屋根が目印の「ハーミィ小児矯正歯科」は、予防を軸に虫歯治療や矯正治療に幅広く対応する小児専門の歯科医院。院内には大人も子どもも楽しめるような要素が盛りだくさん。法人全体で大切にするのは、訪れる人全員の幸せ。松元一生院長もまた、周囲の幸せに貢献したいと考える子どもが好きな歯科医師だ。診療でめざすのは、定期検診を通じた口腔の問題の早期発見。必要な指導や治療によって健全な成長を促し、子ども自身の歯の健康に対する意識向上にも取り組む。最近は虫歯治療を機に矯正に関心を持つ人が増えているという。そこで、同院の診療スタンスや小児歯科医療にかける思いを院長に聞いた。
(取材日2021年7月29日)
地域の子どもに受診の機会と予防重視の診療を提供
初めに貴院の成り立ちについて伺います。

法人の創業者であり理事長の宮川尚之先生が、まず霧島市で歯科医院を開業し、その後「都城市に予防歯科を普及させたい」との思いで分院として当院を設立。彼は勤務医時代、30分の診療のために数時間かけて通院する地方の子どもが気がかりだったといいます。この現状を改善できれば、幼少期の貴重な時間をもっと別のことに使えるはず。そう考え、県庁所在地ではなく、第2都市である霧島市・都城市に小児専門の歯科医院を開きました。クリニック名の「ハーミィ」は、法人オリジナルキャラクターの猫の名前です。内装は、われわれが注力する予防歯科の先進国であるフィンランドをイメージして北欧風にまとめました。楽しく通えるクリニックづくりに取り組んでおり、親御さんにはカフェで日頃の疲れを癒やしてもらっています。一方お子さんに対しては、お口の中を自ら管理する意識を持てるよう、丁寧にサポートしています。
地域のお子さんに傾向はありますか?
都城市は子どもの数が多く、ほとんどの子にきょうだいがいます。そのため親御さんが1人の子にかけられる時間が短く、お口の中の細部まで気を配るのが難しいようです。加えて、もともとこの地域には小児専門の歯科医院がなかったため、通院の習慣があまり根づいていないように感じました。近年は小児の虫歯が減少傾向にありますが、当院に虫歯の患者さんが多いことからも、地方都市はその傾向から少々外れている印象を受けます。こうした背景もあって予防に注力しており、歯磨きや通院の習慣を身につけてもらえるよう、妊娠中またはお子さんが生まれた時から必要な指導を行っています。また、虫歯治療や小児矯正にも対応し、お口の健康を一括管理しているのが特徴です。かかりつけを複数持つ必要がありませんので、受診の負担は少ないと思います。
小児矯正の目的や重要性を教えてください。

小児矯正の主な目的は、噛み合わせのずれを整え、その子に適した成長へ促していくことです。親御さんには「今は見た目を良くすることが第一ではなく、噛む機能を高め、正しい成長を助けるために矯正をしていきます」と事前にご説明しています。口呼吸や舌の使い方といった幼少期のお口周りの習癖は、永久歯の歯並びに影響を及ぼす可能性があります。しかし、そうした兆候や口腔内の些細な変化に親御さんが気づけないことも多いです。だからこそ、私たちが定期検診を通じて介入し、矯正の適切な開始時期をお伝えしています。今後は国際社会に出て活躍する子も増えるでしょう。矯正が当たり前となっている海外で活躍できるような、お子さんの将来を見据えたお口の環境づくりも、お手伝いできればと考えています。
子どもの自主性を育てるコミュニケーションに注力
治療説明の際に大切にしていることは何ですか?

治療によって最終的にどうなりたいかを、初めに親御さんにお聞きしています。矯正であれば、単に見た目を良くしたいのか、歯並びの問題を根本から解決したいのかどうかですね。お子さんのお口に対する親御さんの思いを伺った上で、ご要望に応えられるよう治療計画を考えています。あとは、定期的な通院の必要性をしっかりお伝えすることです。歯科治療には、悪いところを治したから、一時的に通院したから終わりというスポット的なものはありません。治療を中断した場合はもちろん、治療後に口腔環境がわずかに変化した場合でも、思いがけず症状が悪化することがあるのです。お子さんの成長を見届け、将来その子が満足できる口腔環境に導くまでが治療であると考えています。
お子さんと接する際の心がけも伺います。
大人と同様、一人の人間として個を尊重し、対等な立場で会話しています。診察では必ずお子さんの話も聞き、その上で治療の重要性をお伝えします。治療で一番モチベーションが必要なのはお子さん本人です。そのため「させられている」という感覚ではなく、「お口の中をきれいにしたくて自分の意思で来院している」と思えるよう意識づけを行っています。お子さんに「自分はできる」という自信があり、私たちはその気持ちに応えられるだけの治療を提供する。そんな信頼関係のもと、日々診療にあたっています。患者さんの中には親御さんのおなかにいる時から知っている子も多く、長くお付き合いしながら成長過程を見守れる楽しさがありますね。
同院ならではの治療の進め方を教えてください。

基本的に当院では4歳以上のお子さんに切削治療を実施しており、本人にお口の中の問題を解決したい意思があるかを確認した上で、まずは治療の練習をします。4歳未満のお子さんに対しては、進行抑制剤の塗布などを行っています。わからないことが恐怖心を生むため、歯科衛生士とコミュニケーションを取りながら、治療内容を段階的に理解してもらうのです。練習では治療に使う道具について説明し、実際にお口の中に入れることから始めます。そして上手に練習できたら、お子さんに「治療を頑張ります」と宣言してもらい、私と握手をします。本人が望むことを私たちがサポートするというスタンスだからこその関わり方ですね。すぐに治療してほしいという親御さんもいらっしゃいますが、お子さんの健康に対する意識向上のために必要な時間である旨をお伝えし、ご協力をお願いしています。
定期検診に優先的に時間を使ってほしい
小児歯科の道に進まれたのはなぜですか?

大学研修医期間中に本院を見学した際、子どもたちが楽しそうに来院する姿やスタッフが生き生きと働く様子を見たのがきっかけです。クリニック自体に魅力を感じて勤務を決意し、結果的に10年以上小児歯科に携わっています。小児歯科一本というキャリアに不安を感じた時もありました。しかし、ここでお子さんにお口についての教育を続ければ、いずれ歯科医院に通う大人の方の悩みはなくなるはずです。そこから「小児歯科は口腔トラブルの根本原因の除去をめざしていける場所」と思考を転換し、お子さんと向き合ってきました。私が良いと言って来てくれる子が増えたことはうれしいですし、最初は泣いていた子が治療を乗り越え、喜んでくれたときはこちらも満足感があります。以前の患者さんで、歯科衛生士の資格を取って当院に入社してくれた子もいるんですよ。
今後の展望をお聞かせください。
お子さんに歯科医療を提供するための土台を、より強固にしていきたいです。小児歯科は歯科医師1人では診療が成り立ちませんし、多くの人の目があったほうがいいでしょう。法人として多職種が活躍できる環境を整えながら、人員体制を強化していく予定です。また、私たちが行う治療によって、ほかの地域でも小児歯科に携わる人を増やしたいと考えています。実はこれまで、小児歯科を学びたいという他院の先生を受け入れて実習を行ってきました。今後は当院での研鑽を経て独り立ちする先生にも、気軽に受診できない環境にある子に対して、診療の場を提供してもらえたら良いですね。そうした取り組みが子どもたちの幸せをつくり、ひいては地域社会の幸せにつながると思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

当院は皆さんの「歯科」の優先順位を上げたいと考えています。ライバルは同業者ではなくお子さんの習い事や部活ですね。日頃から定期検診を受けていると、問題が起きたときに早めの対処ができます。放置して重症化すると余計に時間がかかることもありますので、空き時間があれば平日でもお越しいただきたいですね。また、小児歯科は受診するタイミングがわからないという声をよく聞きます。私としては、お子さんが生まれたら通っていただくのが一番です。事前に知っておくと良いことも多いので、現在のお口の状態をお伝えするとともに、その時に合った情報を提供します。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/基本料金:7万9860円~(検査診断料などは別途、詳しくはホームページを参照)