全国のドクター9,134人の想いを取材
クリニック・病院 161,254件の情報を掲載(2020年7月09日現在)

  1. TOP
  2. 埼玉県
  3. さいたま市浦和区
  4. 北浦和駅
  5. 医療法人 K.MEDICS かせ心のクリニック
  6. 加瀬 裕之 院長

加瀬 裕之 院長の独自取材記事

かせ心のクリニック

(さいたま市浦和区/北浦和駅)

最終更新日:2020/04/01

173597

北浦和駅に近い「かせ心のクリニック」への入口は少しわかりにくいが、これは加瀬裕之院長が熟考の末に選んだ駅に近く目立たない立地。この夏には診療フロアを増床し、臨床心理士などのスタッフも増員。より質の高い医療の提供をめざす。またクリニック内は院長自ら患者がくつろげるようにと考え選んだ家具などが並ぶ穏やかな空間。毎日の晩酌を楽しみにし、休日はお気に入りのカメラ片手に近所で被写体を探す加瀬院長は、人懐っこい笑顔と明るい人柄がトレードマーク。この先生ならば、と思わせてくれる人物だ。会っただけでほっとさせてくれるような加瀬院長に、日々の診察に対する思いなどさまざまな話を聞いた。
(取材日2018年10月10日)

考え抜かれた立地、プライバシーにも細心の配慮

熟考の上、この地で開院されたそうですね。

1

生まれは東京ですが、小学生から高校生まで過ごした京浜東北線沿線に愛着があり、このエリアでの開業を考えました。クリニックの性質上、入る姿を見られたくない患者さまもいらっしゃいますので1階で入口が道路に面した場所ではなく、駅に近い雑居ビルの2階というのが理想的でしたので、まさに今の立地です。北浦和は乗降客も多く駅前もにぎわっています。また埼玉県は人口10万人当たりの医師数が少ない県でもありますので、この地で開業すれば地域医療に少しでも貢献できるかとも考えました。ありがたいことに患者さまの数も多くなってきましたので、さらに質の高い医療を提供するべくフロアを増床。臨床心理士によるカウンセリングも導入し、この秋からは看護師も勤務を開始、医師の増員も考えています。チーム医療でさまざまな角度からアプローチできるようになります。

プライバシーにも配慮されています。

通っていることを秘密にしたい方もおられます。自宅や職場から離れた場所での通院を希望されて、わざわざ遠方からお見えの方もいらっしゃるくらいです。ですので、プライバシーには細心の注意を払っています。予約制にさせていただいているのもその一環で、待合スペースで多くの患者さまと一緒になることはありません。またお待ちいただく場合でも、窓に向かった仕切りのあるブースタイプの場所でお待ちいただくので他の方と顔を合わせることもほとんどありません。お呼びするときも名前ではなく番号でお呼びします。

以前は精神科専門病院の副院長を務めていらっしゃいました。病院とクリニックの違いはありますか?

%ef%bc%92

20年近く精神科の専門病院の副院長として勤め、そろそろ自分らしい医療というものを実現しようと思い開業しました。病院というものは大きな組織ですからスケールメリットがある分、医師個人の独自の味というか個性は出しにくくなります。病院では統合失調症やうつの方、認知症の方も多く診察してきました。こちらで開業してからは、さまざまな症状の方々がいらっしゃいます。北浦和周辺は東京などへお勤めの方のベッドタウンのような位置づけのエリアですから、お勤めの方やそのご家族も多くお見えになります。お仕事の関係か地縁がある方なのでしょうか、千葉や長野などからの患者さまもいらっしゃいました。

患者の状況や思いを考慮した「オーダーメイド」の医療

どうして医師に、それも精神科の医師になろうと考えたのですか?

3

技術職の父の影響で最初理工学部に入学しましたが、夏頃にこの学問を突き詰めたらどうなるのか、などと考えまして。当時はとてもまじめだったんですね。どんな学問でも突き詰めれば人間に行きつく。人というものをもっと学びたいと思いました。そこからまた受験勉強を再開。再受験勉強中はあまりの大変さに何度も進路変更を後悔しました。精神科を選んだのも、今の診療科は細分化され過ぎていて私からは木を見て森を見ずというような印象があり、人間というものを総合的に診たいとの思いからです。医師になり研修で救命救急部に在籍していた時期、救急車で搬送されてくる腹痛の患者さまの6割以上の方の原因がメンタルなものでした。これには非常に驚きましたし、同時に精神科の重要性を実感しました。

診療に際して心がけていることはありますか?

モットーは患者さまに「寄り添う」ことです。患者さまを取り巻く状況は、患者さまごとに家庭環境や職場環境などすべてが違います。それを画一的に、うつ症状の場合はこの薬などと治療できるはずもありません。お薬やカウンセリング、休養のお勧めなど、多種多様なアプローチ方法をその方に応じて組み合わせ、ライフスタイルや考えにあわせた「オーダーメイドの医療」の必要があるのです。そういった診療体制をさらに充実させるための今回の増床・増員です。精神科は内科や外科と違い、画像や血液データを見て診断を下すことはできません。患者さまの話す内容や表情、ご家族からのちょっとした情報などから総合的に判断することが求められます。診断に決まった方程式がないところが難しいところです。しかしその分、自分の判断が的確で患者さんのご様子に成果が見られると喜びもひとしおです。患者さまから学ばせていただくことは多いですね。

どのような患者さんが多く来院されていますか?

4

一番患者数の多い疾患はうつ症状です。うつは比較的なりやすいお人柄があります。責任感が強い、几帳面、人の目が気になる、まじめといったタイプです。どれも人として良いことばかり。逆にいいかげんな人間になればいいかというと、そういうことではありませんよね。程よいところに持っていくと、再発防止にもなりますし気分も楽になるでしょう。また一般論としてだいたい3ヵ月程度で回復に向かう方が多い、ということをお伝えしています。先が見えない治療というのはとても不安になりますから。また高齢化に伴い、認知症の患者さまも多いですね。認知症の場合は早めに治療を開始すれば症状の進行を遅らせることも可能です。脳の活性化のためには人との会話など外部からの刺激がたいへん重要です。

心のかかりつけ医として更に地域医療への貢献をめざす

精神科の医師として日々の診察の中での想いをお聞かせください。

5

企業等でストレスチェックが行われるようになり、それと呼応するようにメンタルの健康にも世間の関心が向いたからか、来院される患者さまも増えています。厚生労働省の統計によるとストレスチェックで高ストレス状態にあると判断されるのは全体の約1割の方。その方々には産業医との面談が勧められますが、実際に面談を受ける方はさらにそのうちの約1割程度に留まっているのが現状です。かなり多くの方が高いストレス状態にありながらも辛抱している。当院にも我慢に我慢を重ね深刻な状態になってようやく来られる方もいらっしゃいます。ストレスチェックなど何らかのサインがあれば、ぜひ早めにお越しください。

患者との印象的なエピソードはありますか?

以前、お子さんを抱え日々の生活にも困窮されていたシングルマザーの方がおられました。その時ふと思い出したのがある人気小説家の話。その方もお子さんを抱えて仕事もなく大変な時期に一念発起されて世界的ベストセラーを生み出しました。シングルマザーで生活にも困っているという状況が似ていたので、同じような状況の方でもこんなに成功する方もいるのでこれからですよ、という話をしました。それからその患者さまは治療しつつ会社を興されました。治療終了後も年に数回お子さんと一緒に顔を見せに来てくださいます。日本では精神の病というと根性論になってしまいがちですが、内科などの病気と同じく治療により治るものだ、と多くの人に知ってほしいですね。

今後医師として、またクリニックとしてめざす姿は?

%ef%bc%96

企業におけるストレスチェックや高齢化など、今後、精神科の医師に求められる役割はさらに大きくなるでしょう。幅広い症状に対応する必要性が高まると思いますのでオールマイティな存在として、精神科や心療内科の家庭のかかりつけ医といった役割を果たせる医師になりたいです。開業してからさらに意識を高めたのですが、医療機関はある意味社会インフラです。困っている方があればすぐにお助けできる存在でなくてはならない。必要な方はどなたでも少しでもいいから治療の場にいつでも来ていただけるような状態にしておく義務があります。当クリニックを地域の皆さまの身近なよろず相談所のようなところと思っていただいて、何かお悩みがあったら気軽にお越しください。

Access