松山 香代 院長の独自取材記事
上水本町デンタルクリニックプラスキッズ
(小平市/恋ヶ窪駅)
最終更新日:2025/10/10

恋ヶ窪駅から徒歩10分の住宅街の中にある「上水本町デンタルクリニックプラスキッズ」。松山香代院長は昭和大学歯学部を卒業後、2014年に同院を開業した。「私も子どもの頃から虫歯が多く、矯正もしていたけれど、すごく歯科医院嫌いだったんです」と打ち明ける松山院長。その経験から、患者の不安や恐怖心を少しでも和らげようと、待合室まで自ら迎えに行き、治療器具を見せないなどこまやかな配慮を実践している。小児から高齢者まで3世代で通うファミリーも多く、近年増加する食いしばりや歯ぎしりへの対応にも注力。「何かお口の中で困ったことがあったら、あの先生に相談してみようと思っていただけるクリニックでいたい」と語る松山院長に、患者目線での診療への思いを聞いた。
(取材日2025年9月9日)
歯科医院嫌いの経験が生んだ患者目線の診療
先生が歯科医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

実は私、子どもの頃から虫歯が多く、矯正もしていましたが、すごく歯科医院嫌いだったんです。父は内科の開業医でしたが、中学生の時に亡くなりました。本来なら内科の道が筋だったのかもしれません。でも学生時代、家庭教師をしてくださった歯学部の学生さんがとても伸び伸びと楽しそうだったこと、そして自分が通っていた歯科医院のホスピタリティーが印象的でした。医療人として働くなら、自分が経験した怖い思い、不安な思いを軽減できるような仕事がしたい。歯科医院嫌いだったからこそ、患者さんの気持ちがわかる歯科医師になれるのではないか。そう考えて歯科医師の道を選びました。
患者さんの不安を軽減するために、どのような工夫をされていますか?
診察室で患者さんを迎えるのではなく、自ら待合室まで患者さんを迎えに行くようにしています。歯科医院に足を運んでとても緊張されている方が多く、待合室のほうが診察室よりもリラックスされているように思うからです。お子さんがどんなふうに遊んでいるか、大人がどんな様子かを目で見て、「こんにちは、今日は学校どうだった?」などと声をかけてから診療室へご案内します。特にお子さんの治療では、麻酔の注射器は見せません。「ちょっとお爪がとがっているのかな」くらいに思ってもらえるよう、さっとやってしまいます。でもうそはつけないので、「虫歯が大きくなっちゃっているから、ちょっと頑張ろうね」と、どんな治療をするかはしっかりと伝えます。そして、治療が終わった後は「頑張ったね」と褒めるようにしています。
こちらにはどんな患者さんが多く来院されているのですか?

この地域は3世代でお住まいの方が多いので、ファミリーで来てくださる方が多いんです。おじいちゃま、おばあちゃまも一緒にいらっしゃいます。近くに津田塾大学や武蔵野美術大学があるので学生さんも多いですし、週末祝日も診療しているので会社勤めの方もたくさんいらっしゃいます。お子さんには3ヵ月ごと、大人には6ヵ月ごとにおはがきやメッセージアプリケーションで定期検診のご案内をしていますが、皆さんきちんと来てくださいます。お子さんの成長は著しくて、しばらく会わないうちに、小学校高学年だった男の子が立派な大学生になっていることも。それだけ期間が空いても思い出して顔を見せてくれるのは、本当にうれしく感じます。
現代人に多い食いしばりと子どもの口腔ケア
患者さんの症状で、最近増えていると感じることはありますか?

私がここのところ強く感じるのは、食いしばっている方が非常に多いということ。歯ぎしりには3つ種類があって、ギリギリ音がするものは皆さんご存じですが、音がしない食いしばりは意外と気づかないんです。お食事の時はだいたい30kgくらいの力が歯に加わりますが、食いしばりがあるときは50kg以上といわれています。その力がかかると、歯の周りを支えている部分にダメージを受けて歯周病になりやすくなったり、詰め物が外れやすくなったりするリスクがあります。お口の中を見れば一目でわかるので、必要な方にはナイトガードというマウスピースを保険診療で作っています。良い感想をいただけるときは、やりがいを感じる瞬間です。
小児歯科ではどのような取り組みをされていますか?
小学生までは子ども専用の診療室で、天井のテレビモニターを見ながら治療を受けることができます。親御さんも一緒に入っていただいて、場合によってはおじいちゃま、おばあちゃまもお子さんの治療の様子をご覧いただけますよ。最近はお子さんの虫歯が二極化しています。赤ちゃんの頃からフッ素を塗って高校生になっても虫歯ゼロという子もいれば、お菓子のデビューが早くて虫歯になる子もいます。虫歯を防ぐにはおやつの食べ方が大切で、「10分で食べて、その後必ずうがいをしてください」と伝えています。お口の中は普通は中性ですが、物が入ると酸性になって、元に戻るのに40分かかるという説明もしています。
その他にはどのような診療に対応されていますか?

一般歯科では虫歯治療のほか、皆さんが意外と気にされている歯周病の治療に力を入れています。矯正歯科は昭和大学に今でも籍を置いている女性の専門の先生が月3回来ていて、ワイヤーを使用した歯列矯正を行っています。最近はお母さん世代や社会人男性の矯正も増えています。当院はデジタルエックス線検査装置を採用しているので放射線量は少ないのですが、マタニティー歯科では撮影は控え、お薬もなるべく出さないようにしています。今のお口の状態をお伝えし、治療が必要な場合は出産後に改めて行うようにしています。妊娠中はマイナートラブルが多く、妊婦さんは神経質になられていることも少なくないので、安心していただけるような言葉がけに努めています。
家族全員が安心して通える環境づくり
ファミリーカード制度について教えてください。

ご家族で来てくださる方が多いので、その関係性がすぐにわかるようファミリーカードを作りました。診察券と一緒に出していただいてカルテに挟んでおくと、私がすぐに把握できるようになっています。例えばパパが一人でいらしたときに「××くんパパですか」と声をかけると、皆さんにっこりしてくださるんです。一つの時間帯でご家族での予約を取りやすくする、ファミリーカード特典も用意しています。当院には子育て経験のあるスタッフが多く、歯科衛生士や受付スタッフにも小学生から社会人までさまざまな年代の子どもを持つママがいます。親御さんの気持ちがよくわかるからこその温かい対応も、当院の大きな特徴です。
予防歯科についてはどのようにお考えですか?
私はあえて「メンテナンス」という言葉を使っています。お口の中は変化しているので、必ずお手入れが必要だと思うんです。お手入れは面倒だな、うっとうしいなと思われるかもしれません。でも、何歳になっても自分の歯で食べられる喜び、おしゃべりできる喜びには変えられません。「ちょっとチェックしてもらおうかな」と気楽に思ってもらえるよう、メンテナンスをご自分の生活のサイクルの一つにしていただけたらうれしいです。歯磨き指導は歯科衛生士さんにバトンタッチして、お子さんの場合はごきょうだい一緒に練習することもあります。洗面台には大きな鏡があり、自分の姿がよく見えるので、つい真剣になるのではないでしょうか。
今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

何かお口の中で困ったことがあったら、「あそこのあの先生にちょっと相談に行ってみようかな」と思っていただけるようなクリニックでいたいと思っています。なるべく患者さんのご要望にお応えしたい。歯科医師の目線だけで治療内容を押しつけるようなことはいたしません。男性でも「すごく歯科治療が苦手なんです」と教えてくださる方が意外と多くて、そう言っていただくとこちらも助かります。何かあったらすぐおっしゃってくださいと常に伝え、治療途中でやめることもできます。大人のほうが子どもよりもナイーブでセンシティブな場合もありますから、緊張感を与えないよう気をつけています。これからも、皆さんが安心して通えるクリニックであり続けたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/35万円~、成人矯正/85万円~