会田 光一 理事長の独自取材記事
高輪和合クリニック
(港区/品川駅)
最終更新日:2021/10/12

西洋医療と東洋医療、先進医療と伝承療法、歯科と医科など個別の視点で提供される医療を、一人ひとりの悩みを解決する観点から「和合医療」として総合的に診断。その上で個々の最適解を追求し、オーダーメイド医療として提供するのが高輪クリニックグループだ。同グループの「高輪和合クリニック」では、歯科医師の会田光一先生が理事長を務め、口腔内だけでなく全身状態を見据えた歯科治療や予防医療を行う。今回は、和合医療の具体的な内容やそのメリット、注力する歯科治療などについて話を聞いた。
(取材日2021年4月7日)
一人ひとりに最善の治療法を探すための「和合医療」
先進医療と伝承療法の2つの視点からの歯科治療とのことですが、各医療の特徴を教えてください。

先進医療を含む西洋医療は、特定の臓器の変化に手術・投薬などで対応する、「一つの症状に一つの治療」という医療です。検査という共通の指標があり、根拠に基づき画一的な治療を行う特徴もあります。特に先進医療の領域では、症状の原因を特定して治療する研究が分子レベルまで進み、原因を掘り下げれば多くのことがわかるようになってきました。一方で、東洋医療を含む伝承療法は、一つの不調を体全体の連動性から捉え、自然治癒力を最大限引き出すことで改善をめざします。「一つだけでなく多岐にわたる症状の改善を図るための治療」を行うともいえるでしょう。自然に根差した考えで副作用が少ないとされますが、詳しい医療者は限られます。当院では先端の分子生物学の知見を生かし、先進医療と伝承療法を組み合わせた「和合医療」で、全身まで意識した歯科診療を心がけています。
患者さんが「和合医療」を受けるメリットとは何ですか?
和合医療は多様な医療を横断的に取り入れ、対症療法では対応が難しい難病や悩みの改善をめざしたオーダーメイドの治療が受けられることがメリットです。和合医療のキーワードは「安全・安心・自然」。薬物に頼り過ぎず副作用が少ない医療でありつつ、先進的な知見も踏まえ高い改善率を追求します。例えば、皮膚疾患である掌蹠膿疱症は、かぶせ物による金属アレルギーや、虫歯・歯周病が原因の一つともいわれます。金属アレルギーによる皮膚症状は適切な歯科治療で改善が期待できます。また、過敏性腸症候群も口腔内フローラ(口腔内細菌叢)との関連が指摘されています。われわれは体の多様な細菌についての研究も進めてきました。皮膚と口やおなかと口など、ばらばらに見える事柄が分子生物学の発展で「和合」し始めているのは、興味深いことですね。
初診では詳細な問診を行うそうですが、何を聞かれるのですか?

どんな主訴でも初診では歯科医師と医師が問診を行い、立体的なアプローチで結果につなげていくのが当院の強みです。事前に質問シートに答えてもらい、問題点を問診で深掘りします。全身状態を把握するため、血圧や持病など基本的なことに加え、下痢や便秘をしやすいかといったおなかの悩みやいびきの有無など不調のサインもお伺いします。高度医療機器も備え、口の中を診る他、自律神経をはじめ、さまざまな指標で総合的に評価。検査とご説明に1時間以上かけます。まずは包括的に調べ、根本の原因から解決する治療に移っていく流れです。
体の症状を突き詰めると口腔内に問題がある場合も
体の不調につながる口腔内の問題にはどんなものがありますか?

かぶせ物の金属によるアレルギー症状、噛み合わせが原因の頭痛・肩凝り・口呼吸、口腔内の細菌との関連が原因で皮膚や腸の病気の悪化が疑われるケースは多いですね。ですが患者さんは口の中に問題があるとは思いません、そこで体に不調を抱える方でも歯科領域に問題がある可能性も考えて問診し、実際に拝見しながら、「この部分にこのような症状はないですか?」とお聞きします。すると患者さんは、受診した理由と別の問題を突然指摘されて驚き、私の言葉に耳を傾けてくださいます。そうして信頼関係を築くことで、全身と歯科の関係についても伝えていけるのです。丁寧に説明すれば理解してくださる方が多く、年配の方でも「不調の原因が噛み合わせなら、矯正して治していきたい」となることも少なくありません。
アレルギーの患者さんにはどんな治療を行うのですか?
金属アレルギーを考慮したノンメタル治療や、医師と連携して体内から重金属を排出するための漢方処方を行います。ノンメタル治療は現在アレルギーではない方にもお勧めです。なぜなら、金属は体内に入ってすぐ問題を起こすわけではないからです。かぶせ物の金属は徐々に唾液中に溶け出し、タンパク質と結合して体内に入ります。そのうち体が「これは敵だ」と認識し、ある日急に症状が出ます。つまりそれまでは気づきませんし、実は気づかないまま過ごす時期のほうが長いことがほとんどなのです。今は金属に変わる素材がありますし、金属が体内にあること自体自然ではありません。将来的なリスクを考えればわざわざ使う必要はないでしょう。またその他の取り組みとして体質改善のためのアドバイスも行っています。
根管治療にも力を入れているそうですね。

歯の根の細菌感染が続くと、全身に細菌が巡ったり炎症反応が起きたりして、さまざまな臓器に障害を起こす可能性が論文でも指摘されてきました。根管治療は再発に悩む人も多く、当院は精密な治療に注力しています。そもそも治療の目的は根管内の細菌を取り除くことなのに、多くはその過程で唾液が入り、いわば掃除をしながら細菌が入り込む状態です。そこで感染対策を徹底しています。また、当院は歯科用マイクロスコープという20倍程度に拡大できる顕微鏡を使います。以前は直径0.1~0.2ミリの細い神経の通り道を手探りで治療するのが一般的でしたが、そうした細かい治療を肉眼で行うのは難しく、再発につながりやすいのです。現在は適切な治療法があるので、最初からそうした方法で取り残しを防ぐのが一番の再発予防です。
和合医療を広め、より多くの人を救いたい
会田理事長が和合医療に基づき、全人的な歯科医療を行おうと思ったのはなぜですか?

臨床を行う中で、患者さんのことを考えていたら自然とそのような医療へ導かれました。歯学部では1本1本の歯を治すところから始まりますが、そもそもなぜ問題が起きるのかという根本から学びたいと考え、顎口腔系分野を深めてきました。口は顎の関節、筋肉、歯といった要素が協調して機能し、その調和をコントールするのが噛み合わせです。噛み合わせを考えず表面の症状だけ診ても問題は再発します。歯科医師になって感じたのは、症状を追う治療と原因から治す治療は全然視点が違うということ。俯瞰的にヒトの体を診ることが当たり前となったことで、噛み合わせに加えアレルギーや口腔内細菌が及ぼす全身への影響など、より口と体のつながりの重要性に気づきました。多様な生活習慣病がまん延する現代だからこそ、歯だけでなく全身まで考えた歯科治療で健康寿命を延ばすお手伝いをしたいと思っています。
診療時に心がけていることは何ですか?
「木も診て、森も診る医療」です。1本の歯を治すにも、問題の根本原因や、その歯が置かれた環境全体まで考えることを重視しています。必ず歯科医師と医師とで患者さんを担当し、口の中にとどまらず、疾患の改善・予防のために何が必要かを総合的にアプローチしますので、これは森よりももっと広い視野での話になるかもしれませんね。問診では一見、歯科と関係なさそうなことまで伺いますが、症状が出ているところとは別の箇所に問題があることも多く、そうしたつながりをきちんとご説明していきます。
読者へのメッセージや今後の展望を教えてください。

医学分野ではミクロの世界の探求が進み、ゲノム(遺伝子体系)の解明もめざましい発展を遂げています。ゲノム解析はヒトの遺伝子だけでなく、体に住み着く細菌のバランスも解き明かす段階に入りました。当院の礎を構築した陰山康成総院長の研究テーマもゲノムのため、われわれはこの世界の可能性を実感しています。ゲノム分野はまだ臨床では黎明期のため、道なき道を行く姿勢で先進医療の道を切り開きたいですね。口腔領域では歯肉を使った再生医療にも着目し、健康増進の可能性を追求していきたいです。また今後は、提携してくださる医院と当院をオンラインでつなぎ、歯科・医科が連携した診療をどこでも受診できるようにしたいと思っています。自分が直接助けられる人は限られるので、「安全・安心・自然」がコンセプトの和合医療を誰もが受診できる仕組みをつくりたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはノンメタル治療/7万円~、矯正治療/80万円~、根管治療/10万円~