植田 淳子 院長の独自取材記事
ゆずり葉歯科
(中央区/水天宮前駅)
最終更新日:2026/03/30
東京・人形町にある「ゆずり葉歯科」は、保険診療を軸にしながら、患者一人ひとりの背景に寄り添う診療を大切にしてきた歯科クリニック。院長の植田淳子先生は、子育てを経験したことで女性や子どもの通いやすさに目を向け、自身の病気も経て、長く続けていける診療の在り方をより強く意識するようになったという。現在は口腔外科や矯正の専門家とも連携し、院内で相談できる診療の幅も広がっている。歯だけを見るのではなく、食事や生活習慣、家族との関わりまで含めて考える植田院長に、今の思いを聞いた。
(取材日2026年3月3日)
長く穏やかに続く「女性と子どもに優しい歯科医院」
開業の経緯をお聞かせください。

大学卒業後は都内の歯科クリニックに勤務し、分院長なども務めていましたが、長男の妊娠を機にいったん退職しました。歯科医師の仕事は好きでしたし、続けたい気持ちも強かったのですが、妊娠中はつわりがひどく、出産後もしばらくは体調が安定しなかったんです。その後は専業主婦として子育てに向き合っていましたが、子どもと過ごす時間を大切に思う一方で、「○○くんのママ」としてだけでなく「植田淳子」としての自分も大事にしたいという気持ちが少しずつ強くなっていきました。この場所は2010年に確保していたものの、体調面の不安や東日本大震災後の状況もあり、すぐに開業へ踏みきることはできませんでした。設計の見直しなども重ねながら準備を進め、家族の支えにも背中を押されて、2014年11月に開業することができました。
復帰の際、勤務医ではなく開業医を選んだのはなぜですか?
最近は診療時間の長い歯科医院も多く、勤務医として働きながら子育てと両立するのは難しいと感じていましたし、勤務先の方針の中で、自分が本当にしたい診療をそのまま届ける難しさもありました。私はできるだけ保険診療を軸に、患者さんの希望を丁寧に聞きながら治療を考えたいと思っていたので、それを実現するには自分で開業するのが一番自然だったんです。子育てを経験したことで、通院そのものが負担になりやすい方の気持ちにも、以前より目が向くようになりました。女性と子どもに優しい歯科診療を、自分の裁量でかたちにしていきたいという思いが、開業を後押ししてくれたと思います。
ご病気を経験されたそうですが、診療への向き合い方に変化はありましたか?

大きな病気を2度経験してからは、これまでのように無理をして働き続けることは難しいと実感しました。以前は、患者さんのご希望にできるだけ応えたいという思いから、時間外に対応したり、自分に負荷をかけてでも診療したりすることもありましたが、今はそれを続けることが必ずしも良いとは思っていません。長く診療を続けていくためには、自分自身が無理をしすぎないことも大切ですし、患者さんにも少しずつ歩み寄っていただきながら、お互いにとって無理のない通院のかたちを一緒に考えていく必要があると感じています。歯科医院としても無理なく続いていくことが大切ですし、患者さんとの関係も、一時的なものではなく、長く穏やかに続いていくものでありたい。そうした持続性を意識するようになったことも、病気を経験して得た大きな変化の一つです。
保険診療からインプラント治療・矯正まで幅広く対応
現在のクリニックの特色や、力を入れている診療について教えてください。

当院は、まずは保険診療を軸にしながら、患者さんのご希望や生活背景を踏まえて治療方針をご提案することを大切にしています。必要以上に大きな治療へ進むのではなく、その方にとって納得できる着地点を丁寧に探っていくのが基本です。ただ、診療の幅は少しずつ広がっており、現在は口腔外科を専門とする先生にも継続的に入っていただいているので、親知らずの抜歯やインプラント治療といった外科処置への対応も可能です。矯正についても学びを重ね、現在はお子さんの成長を見ながら進める矯正も含めてご相談を受けています。また、2階にはキッズルームがありますが、現在は人員体制の関係で必ずお預かりできるわけではありませんので、事前にご相談くださいませ。
インプラント治療については、どのような体制で取り組んでいますか?
インプラントや親知らずの抜歯など口腔外科が専門の佐藤道子先生に月1回入っていただき、対応しています。もともとは私の療養中に代診をお願いしたことがきっかけでしたが、今も継続的にご協力いただいています。骨の状態によっては骨造成も検討できるため、現時点でインプラント治療をご希望でなくても、将来の選択肢を残す意味で院内で相談できる意義は大きいと思っています。ただ、私は保険診療を軸に考えていますので、最初からインプラントを前提にお話しすることはありません。まずは歯を残せる余地がないか、ほかの方法では難しいのかを見極めた上で、必要な方にご提案しています。一方で、佐藤先生は口腔外科の専門家として、適応がある場合には明快に道筋を示してくださるんです。保存を重視する私の視点と、外科的判断に強い先生の視点、その両方があることで、患者さんにとって現実的で納得しやすい着地点を見いだしやすくなったと感じています。
矯正歯科についても力を入れておられるそうですね。

矯正は単に歯をきれいに並べるためのものではなく、将来のお口の健康を守るための治療だと考えています。特にお子さんは、噛み合わせが深いままだと歯ぎしりや噛みしめの力が歯に強くかかり、ひびが入って、そこから虫歯のリスクが高まることもあります。ですから、見た目はもちろん、噛み合わせや呼吸のしやすさまで見据えながら、成長期に顎や歯列をより良い方向へ導いていくことには大きな意味があるんです。当院では、一般的な矯正装置とは少し考え方の異なる装置も取り入れつつ、無理に力で動かすのではなく、成長誘導を生かして整えていく方法を大切にしています。矯正は、専門家である関根陽平先生に月1回お越しいただき、診療を行っています。
健康を守る「町のかかりつけ医」として誰かの助けに
栄養面からのアドバイスも大切にしていると伺いました。

長男の体調や発達をきっかけに栄養について学びを深め、食事や栄養の状態はお口の中にも現れると実感し、診療でも食べ方や栄養バランスを意識するようになりました。というのも、虫歯だけでなく、歯ぎしりや噛みしめにも食事や生活習慣が関わっていることがあるからです。例えば、お子さんで歯ぎしりが強い場合、噛み合わせだけでなく、日々の食事内容や補食の取り方も一つの要素として見ています。夕方の補食が甘い物や小麦中心に偏っているようなケースでは、食生活を振り返っていただくこともあります。そのため必要に応じて、タンパク質を意識した食事や、食べる順番、補食の選び方などについてお話ししています。歯だけを診るのではなく、その方の生活や体の状態も含めて考えていくことが重要です。
ご自身の経験を踏まえて、患者さんに伝えたいことはありますか?
自分自身が2度も大きな病気を経験したことで、検査を受けることと、元気なうちに備えておくことの大切さを強く感じました。実際、検査を受けたことがきっかけで気づけたこともありましたので、患者さんにも脳の検査やマンモグラフィなど、必要なことを先延ばしにしないでほしいとお伝えしています。特に女性は、家族や仕事を優先して自分のことを後回しにしがちですが、自分の体も大切にしてほしいんです。がん保険のような備えも、元気なうちに考えておく意味があると思います。診療室では歯のことだけでなく、検査や治療、子育ての話に加えて、病気に関する助成制度など公的な支援について情報交換をすることもあります。
最後に、読者や地域の方にメッセージをお願いします。

歯科医院は「痛くなってから行く場所」と思われがちですし、怖い、費用がかかりそう、といったイメージを持たれる方も少なくないと思います。でも本当は、困ったことが大きくなる前に気軽に相談できる場所でありたいんです。歯の治療はもちろんですが、噛み合わせや食事のこと、子育てのことまで含めて、日々の暮らしの中で気になっていることもぜひお話しください。当院は、患者さんと一度きりではなく、長くお付き合いしながら、その時々の状態や背景に合わせて支えていく「町の歯医者さん」でありたいと考えています。歯科医院にとっても患者さんにとっても無理のない、サステナブルな関係を築けていけたらうれしいですね。気になることがあれば、あまり構えずに相談にいらしていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/55万円~、骨造成/11万円~、成人矯正/110万円~、小児矯正/44万円~、エアフローによる歯面清掃/5500円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

