岩井 啓一郎 院長の独自取材記事
いわい内科クリニック
(春日市/井尻駅)
最終更新日:2021/10/12

福岡都市高速の下を走る国道202号線沿い、須玖北クリニックモール内にある「いわい内科クリニック」は2013年に開院。一般内科に加え、消化器内科や、糖尿病の診療、全身の超音波エコー検査、リハビリテーション、健康診断など幅広く対応する。岩井啓一郎院長は、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持ち、開院までの約20年間、大学病院などの基幹病院で内視鏡を用いた検査や診断、治療を行ってきた消化器疾患のスペシャリスト。何でも気軽に相談できるホームドクターをめざし、「来て良かったと思っていただけるようなクリニックでありたい」と語る岩井院長に、診療におけるポリシーや検査内容について詳しく聞いた。
(取材日2021年2月26日)
より広くより深く、患者ファーストの診療を提供
まず、開院に至るまでの経歴から教えてください。

私は福岡市の出身で、幼い頃は小児喘息で病院通いをしていました。その時の主治医の先生への憧れ、開業医だった祖父の影響もあり、自然と医師をめざすように。久留米大学医学部を卒業後、九州大学の病態機能内科に入局しました。高血圧、脳卒中、糖尿病など幅広い疾患について学び、中でも消化器疾患について研鑽。約20年間、九州大学病院や各地の基幹病院に勤務し、急性期から慢性期の患者さんまで、内視鏡を用いた診断や治療に取り組んできました。そんな中、もっと患者さんの立場に立った「患者ファースト」の医療を提供したいとの思いが高まり、縁あって、この地に開院しました。患者さんの年齢層は幼児から高齢の方までと幅広く、週末は土曜か日曜どちらかの午前中も診療と内視鏡検査を行っていますので、土日しか来院できない方や遠方からわざわざ来られる方も多いです。
診療にはどのような特徴がありますか?
風邪、腹痛といった急性疾患から、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、アレルギー性疾患など慢性疾患まで広く診る内科診療に加え、胃や大腸の内視鏡検査や診断と治療、糖尿病専門の外来、超音波エコー検査、禁煙治療、睡眠時無呼吸専門の外来、健康診断、慢性期のリハビリテーションにも対応しています。まさに患者さんファーストの精神で、私が専門とする消化器以外の分野ではもちろんのこと、特に高い専門性が必要だと考える糖尿病の診療と超音波エコー検査に関しては、糖尿病専門の医師やエコー技師の協力を得て、患者さんにとってベストな診療を提供できるよう心がけています。低周波治療器やマッサージ器などのリハビリテーション機器をそろえているのも、腰痛などのお悩みにもう一歩踏み込んだ対応ができればという思いから。患者さんのさまざまな症状に、より広く、より深く応え、トータルで満足していただけるような診療をめざします。
院内の設備や検査についてご紹介いただけますか?

診察室が2部屋、他にエックス線検査や胃透視などを行う透視室、機器やベッドが並ぶリハビリテーション室、エコー室、内視鏡室、そして大腸内視鏡検査を受ける人のための前処置室などがあります。内視鏡は、粘膜の表面構造や毛細血管を鮮明に映し出し、これまで発見困難だった早期がんなどを拾い上げていくために高画質のシステムを導入しています。炎症の程度を調べる迅速検査、動脈硬化検査、骨密度の測定も可能です。今は無症状でも、放っておくと、動脈硬化からの脳梗塞や心筋梗塞、骨粗しょう症からの骨折などにつながる可能性があります。特に女性は、閉経とともに骨密度がすとんと落ちるので要注意。定期的に検診を受け、必要があれば治療をしていきましょう。春日市の健康診断や各種ワクチン接種にも対応しています。
週末も内視鏡検査を可能にし、忙しい人にも対応
こちらでの胃や大腸の内視鏡検査について、詳しく教えてください。

内視鏡検査はすべて、私が担当しています。胃の内視鏡検査は、当日の朝食を抜いて来院されれば、予約なしでも対応が可能です。患者さんの8割以上が、点滴麻酔によって眠った状態で検査を受けられています。1~2時間程度休んでいただいた後、画像をお見せしながら検査結果と治療方針をご説明します。麻酔なしで検査を受けられる方もいらっしゃいますが、以前つらい思いをした患者さんなどは検査に対して躊躇してしまうこともありますので、不安の強い方には苦痛の少ない、楽に受けられる方法をお勧めしています。また大腸内視鏡検査では、なるべく快適に検査を受けていただけるように、トイレとテレビがついた個室の前処置室を設けています。大腸がんは食生活の欧米化に伴い増えていますので、健康診断で便潜血が指摘されたり下血があったりした方は、積極的に検査を受けてほしいですね。
内視鏡検査でポリープが見つかった場合、どのように処置されていますか?
事前に患者さんから同意をいただければ、検査の中で、高周波を使ったポリープ切除術を行っています。しかしポリープは、とにかくすべて取れば良いというものではありません。良性の中でも非腫瘍性のポリープは、今後何年たってもがんになる可能性がないと考えられます。取る必要のないものを取って胃や腸の粘膜を傷つけるのは、それこそリスクとなってしまいます。またポリープを取る時に視界が遮られてしまい、肝心の病変を見逃す可能性もあります。当院では基本的には先に組織検査をきちんと行い、診断をつけてから後日、日帰りでポリープを切除しています。検査前に丁寧にご説明しますので、どうぞご安心ください。
大腸内視鏡検査は予約制ですか?

基本的には予約制ですが、下血などで急きょ来院された場合はそのまま、浣腸の前処置のみで観察可能な範囲を検査していく場合もあります。以前、「昨日、便に血がついていた」と言って初診で来られた、60代後半の男性がいらっしゃいました。浣腸後に大腸内視鏡検査をしたところ、S字結腸に進行性のがんを発見。すぐに外科と連携し、その日のうちに手術日まで決まりました。最短で診断がついて治療に結びついた好例ですね。症状がなくてもがんは、早期発見早期治療がとても大切。当院では、紹介するにあたっては6つの基幹病院と密に連携しています。
糖尿病専門の医師による診療
消化器内科においては、どのような症状で来られる患者さんが多いですか?

胃痛や胸焼け、嘔吐、腹痛、下痢、下血などの症状を訴えられる方が多いです。生活習慣病とも言える逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、ヘリコバクターピロリ菌関連、感染性腸炎、そして難病の潰瘍性大腸炎などですね。時々、胸が痛い、慢性の咳が出る、喉がヒリヒリするなどの症状があって呼吸器や循環器、耳鼻科などを受診したけれど原因がわからず、当院で胃内視鏡検査を受けてやっと逆流性食道炎と診断がつく方も意外と多くいらっしゃいます。逆流性食道炎は胸焼けだけでなく、さまざまな症状が出ることがありますので注意が必要です。
糖尿病の診療とエコー検査に関しては、専門の先生が来られているとか。
次々に新薬が登場し、処方する薬のさじ加減一つで治療経過が左右される糖尿病に関しては、より専門性の高い診療が必要だと考え、2015年から毎週水曜と月1回土曜の午前中、九州大学から糖尿病専門の先生が来て診療を行う時間を設けています。大学病院で受けられるような水準の治療が受けていただけると思いますよ。エコーに関しても、症例を重ねてきた熟練の技師による検査を重視。当院に月3回木曜午前中に来てくれている技師は、腹部はもちろん、頸部血管、甲状腺、心臓、泌尿器、婦人科、乳腺など全身の検査まで対応が可能です。
最後に、今後の展望を聞かせてください。

私の両親や子どもが入院したり病院にかかったりしたときに患者側の立場から、いかに医師の一言一言やちょっとした言葉、態度で安心したり不安になったり、どれほど左右されるのかを実体験してきました。私は診療において、決して上から目線ではなく患者さんに不安を与えることがないよう、わかりやすい説明と寄り添うような対応で、患者さんにとってベストな治療を提供していきたいと考えています。経験豊富な看護師をはじめとするスタッフとも目標を共有し、今後も患者さんにプラスになる新しい検査や治療法などは積極的に取り入れながら、日々、真摯に誠実に、診療に臨みたいと思っています。