滝澤 裕志 院長の独自取材記事
タキ歯科クリニック
(小田原市/小田原駅)
最終更新日:2025/10/24
小田原駅から徒歩約12分のところに「タキ歯科クリニック」はある。2010年の開業から15年にわたり、地域に根差した診療を続けてきた歯科医院の院長を務めるのは、滝澤裕志先生。「地域の皆さんの歯の健康を、トップレベルに」というコンセプトを掲げている。「天然歯に勝る治療はない」との考えから、定期検診を中心に、唾液検査やむし歯チェック、歯科衛生士による専用機器を用いたクリーニングなど、予防歯科に特化した診療を提供。さらに子どもの患者には、自宅で楽しく歯磨きができる工夫や、良い歯を育てるためのポイントを伝えるなど、自宅でも継続的に予防に取り組める習慣づくりも大事にしている。「すべてはご自身の歯を守るためにご提案しています」と語る滝澤院長に、予防歯科への想いや、クリニックのコンセプトを聞いた。
(取材日2025年9月19日)
小さい子も楽しく通えるよう、雰囲気を重視
これまでの経緯を教えてください。

歯科医師をめざしたきっかけは、中学・高校生の頃に、身内が歯の問題で苦しんでいる姿を見たことでした。幸いにも信頼できる先生に出会いしっかり治療を受けることができました。歯の健康が人生を大きく変える場面を目の当たりにして「自分もそんな仕事がしたい」と強く思ったんです。大学卒業後は医療法人にて9年間勤務し、一般診療からインプラント、入れ歯治療まで幅広く経験を積みました。ゆくゆくは地元である小田原で開業したいと思っていたので、長女が幼稚園に入るのを機に、こちらで開業しました。それが約15年前です。
クリニックのコンセプトをお聞かせいただけますか?
「予防に特化した歯科診療」をコンセプトに掲げています。予防歯科の先進国である北欧のイメージから、クリニックのシンボルもトナカイにしました。むし歯になる前から、定期的にお口の中をしっかり確認し、細菌やむし歯の検査を行いながら、健康な状態を維持していただけるようサポートしています。大人の方はすでに治療経験があるケースが多く、どうしても再治療が中心になりがちです。だからこそ「子どもの頃からむし歯を作らないこと」が何より重要だと考えるようになりました。小さい子どもも楽しく通える歯科医院をつくりたいという想いから、子どもにも優しい内装や雰囲気づくり、声かけを大切にしています。
予防歯科に力を入れたのはどういった思いからですか?

歯は削れば削るほど弱くなり、治療を繰り返すことで寿命が短くなってしまいます。そのため、悪くなってから治すのではなく、悪くならないように守ることこそが大事です。治療に頼るのではなく、定期的なメンテナンスで健康な状態を長く保つことができれば、患者さんの負担も大幅に減りますし、何かあったときも早期に気づくことができ、最低限の治療で済ませることが望めます。実際に、当院に通う患者さんの約8割は予防やクリーニングを目的に来院され、残りの2割が痛みや詰め物が取れたなど治療を必要とするケースです。繰り返しになりますが、子どもの頃から予防の習慣を身につけることが非常に重要だと感じています。子どもの頃から通ってくだされば、多くの方がむし歯0(ゼロ)もめざせますよ。
大切なのは「自分でケアする意識」
子どもの頃からの習慣づけが大事なのですね。

とても大事です。特に3歳や6歳、そして12歳といった3の倍数の年齢は、むし歯になりやすい大きな分岐点になります。ここでしっかり口腔内環境と生活習慣を整えておければ、その後、大人の歯になってもむし歯を削らずに済む可能性を高めることにつながります。当院では、プラークを採取して顕微鏡で確認した映像を、タブレットなどで患者さんにもシェアしています。子ども自身が生きている菌を目で見ることで、歯磨きの大切さを実感できるよう工夫しています。「こんなのがお口にいるんだ」と驚いているお子さんに「歯磨きでやっつけるんだよ」と伝えることで、歯磨きの大切さやお口の環境への意識が芽生えていくのでは、と思っています。こうした体験を通じ、歯磨きや定期的なケアが自発的に自然と身につくようサポートしています。
それは確かに、お子さんが前向きにお口のケアに取り組めるのではと思います。
私たちがめざしているのは、歯磨きだけでなく、手を洗ったりシャンプーをしたりといった日常の習慣を通じて、子どもが小さな頃から自分の体や健康に関心を持ち、自主的にケアできるようになることです。そのため、可能なお子さんは年齢に関わらず1人で診療室に入ってもらっています。早い子では2歳くらいから自分で入ってきてくれますね。また、先ほどの顕微鏡での映像も、歯磨きを頑張った子の菌は動きが弱くなっていたり、菌そのものの数が減っていたりするので、それも一緒に確認して声をかけることで、子どもたちはさらに自信を持ち、前向きにお口のケアに取り組めるようになると思っています。
保護者の方とのコミュニケーションも大事にしているとお聞きしました。

そうですね。当院ではお子さんが0歳の頃からお口のケアを進めていくことを大切にしています。同時に、ご家族皆さんで予防やメンテナンスに取り組んでいただくことも欠かせないと思っています。定期的な受診だけでなく、ご自宅でも継続的にケアを続けていただくことが重要です。さらに、開院当初から通ってくれていたお子さんの保護者の方から「あの時しっかり通院していて本当に良かった」と言っていただけることもあり、その言葉が大きな励みになっています。今後も地域の皆さんに、天然歯を守る大切さをお伝えしていきたいです。
0〜100歳代まで、地域の口腔の健康を守り続けたい
最近の小児歯科の現場で、特に気になっている課題はありますか?

子どものむし歯は全体としては減少傾向にありますが、むし歯がまったくない子と、多くのむし歯を抱える子の差が大きく、二極化しているのが現状です。また近年は、歯並びや噛み合わせの問題も増えており、顎が小さい子や反対咬合(受け口)の子が目立ちます。こういったお子さんに対し、当院では本格的な矯正に入る前にできるトレーニングを指導しており、そのための専用スペースも用意しています。噛み合わせが整うと歯磨きがしやすくなり、噛む力も分散され、歯の寿命を延ばすことにつながるんです。例えば反対咬合だと、前歯では噛めないため奥歯に負担が集中し、歯が割れたり失ったりするリスクが高まります。子どもの頃から正しい歯並びや噛み合わせを育てることが、健康な歯を長く残すために重要なポイントの一つです。
今後の展望をお聞かせください。
今後も変わらず、来院された方が快適に歯のメンテナンスを受けられる環境や雰囲気、そして文化を提供し、地域の皆さんの歯の健康を守り続けていきたいです。今は子ども専用の新しい診療室を造っていて、ワクワクするような内装をたくさん考えています。また地域の皆さんの健康を長く見守っていくためには、自分自身の健康管理も欠かせません。診療中は体を動かす機会が少ないため、意識的に運動を取り入れています。基本的に、診療後は毎日30分ほど散歩を続けていて、さらに昨年からは、東京でセミナーや講習会がある帰りに、一駅ずつ歩くことにしたんです。日本橋からスタートして、今は藤沢辺りまで来ました。普段は行かない場所でその土地のサウナに行くこともあり、体の健康維持だけでなく気持ちのリフレッシュにもつながっています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「まだ早いかな」と考えず、歯が生えたらまずは受診していただきたいと思っています。小さい頃から歯のケアに取り組むことで、ご家庭でも継続的にケアする習慣が身につきますし、お子さん自身も「自分の歯を守りたい」という意識が芽生えると思っています。一方で、当院は予防だけにとどまらず、幅広い世代の治療にも対応しています。例えば、高齢の方の入れ歯や、ホワイトニングなどにも対応しています。年齢を問わず、ご自身の歯に関心を持ち、意識を高めていくことこそが、長く健康を守るために欠かせないと考えています。「○歳だから遅すぎる」ということはありません。いつでも相談に来てくださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とは床矯正/43万5000円~、筋機能矯正/40円~、マウスピース型装置を用いた矯正/46万円~、CAD/CAMインレー/4万2900円、ホワイトニング/1万3500円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

