高橋 史朗 理事長の独自取材記事
ライズ歯科クリニック
(札幌市手稲区/宮の沢駅)
最終更新日:2025/07/01

札幌市手稲区の「ライズ歯科クリニック」は、保育士が常在する託児ルームを持つ歯科医院だ。2012年の開業以来、地域に根差しながら、ファミリー層を中心に口腔内の健康づくりをサポートしてきた。診療内容は一般歯科の他、小児歯科、予防歯科にも注力。現在では企業主導型保育園の運営とその保育園の隣に分院としてほしがおかライズ歯科クリニックを開院している。複数の歯科医師と数多くのスタッフを抱える高橋史朗理事長は、「自分のクリニックを開業することで、スタッフが働きやすい環境をつくりたかった」と話し、患者目線に立ったわかりやすい診療と同時に、スタッフにとっても働きやすい職場環境をめざしている。クリニックの特徴や診療内容、地域の患者への思いを詳しく聞いた。
(取材日2020年10月28日/情報更新日2025年6月25日)
地域に根差し、家族みんなの口腔内をサポート
開業なさった時の思いをお聞かせください。

2012年にこの場所に開業したのですが、僕は保育士がいる託児ルームのある歯科医院をつくりたいと考えていました。きっかけは、自分に子どもができて、妻が買い物や美容室に行くのが大変な様子を見て、小さいお子さんがいる主婦の方が安心して通える歯科医院が必要だと思ったことです。また、勤務医をしていた時から、優秀な歯科衛生士さんが出産後に辞めてしまうケースも見てきました。開業までにいろいろ調べてみると、キッズスペースや一時預かりのある歯科医院はあるのですが、保育士がいる所は珍しいようですね。それなら自分がそのような環境をつくって、子育て中の患者さんも働くスタッフも安心してお子さんを預けられるようにとの思いで、このクリニックを開業しました。
患者さんの反応はいかがでしたか?
最初は驚かれましたよ。ただ、この地域は若い世代が多く、僕らと同じくらいの年代の方で子育て中の方がたくさん来てくださるようになりました。想定外に患者さんが増えて、開業当時は診察室と同じ階に託児ルームを設けていたので、赤ちゃんの泣き声が診察室に聞こえてきたり、おむつを替えている時に少し臭いがしたり……。トイレも患者さん用と託児用と分けていなかったためなんですが(笑)。増築を機に、託児ルームを拡張することにしました。落ち着いて診察を受けていただけるように、2階に小さいお子さんのための託児ルームを、1階には小学生など1人で遊べるくらいのお子さんのキッズスペースをつくりました。
では、ファミリー層の患者さんが多いのですか?

若い人が多いですが、車で来られる方が多いので、僕らの親世代の少し高齢の方も来られていますよ。乳児から高齢者まで、幅広い年齢層の方が通院なさっています。特に家族ぐるみの患者さんが多く、開業当初はちらしを作ったり、ホームページの制作に力を入れたりしたのですが、最近は家族の中での紹介が一番多いです。開業してから日数がたちましたが、1歳の時から診ていた子が小学校に行くようになったり、小学生だった子が高校生になっていたりして、子どもが大きくなるのはあっという間ですね。子どもたちの成長していく姿を見ることができて、地域のかかりつけ医であることに喜びを感じます。
子どもの治療の際に工夫されていることはありますか?
お子さんの年齢や状況に合わせて、まず椅子に座るだけ・エックス線写真を撮るだけ・口を大きく開けてみる、など細かく段階を分けて対応しています。自分の子育てを経験して、子どもは我慢できる時間が短いだけで、信頼関係を築いてしっかり話をすれば治療を理解してくれることがわかりました。治療を頑張った後はカプセルトイで遊べるようにするなど、楽しく受診してもらうようにしています。
患者ごとに適切なメンテナンスを提供
診療にあたって心がけているのはどんなことですか?

予約の時間をしっかり守り、患者さんの生活スタイルやお仕事に影響が出ないように配慮しています。中には時間がかかる治療もありますが、その場合は事前にお伝えしつつ、なるべく予約の枠内で収まるように調整します。例えば入れ歯を直す時は、いったんお預かりして半日か一日で修理してお返しします。技工室が院内にあるので計画的に行えば可能です。もう一つは、歯科医師であってもすべての症状を完全に治せるわけではないので、できるだけ歯を長く持たせるようにすることです。患者さんの将来を考えて、悪い歯でもその時に抜く必要があるのか、どこまで治療するのかを見極めることが大事です。虫歯を治療することで逆に歯の寿命が短くなることもありますから。エックス線検査の結果や口の中の状態、さらに歯磨きの仕方によって治療方針を決めたり、検診の期間を変えたり、患者さんごとにきめ細かな対応を心がけています。
メンテナンスに通われている患者さんが多いそうですね。
患者さんの約半数が検診なので、割合的にはかなり多いと思います。歯科医院が「怖い」「痛い」場所だというイメージは、日本の歯科医院が悪くなった歯を「治す」場所だからではないでしょうか。虫歯や歯周病など口腔内のトラブルが進んでから受診すると、時間の負担も心身の負担も大きくなります。歯科医療先進国のスウェーデンでは、歯科医院は定期的に通院し「虫歯にしないようにケアする場所」と考えられています。そのため歯の残存率が日本の倍近くになっています。だから当院では「治す場所」ではなく「歯を守る歯科医院」をめざしています。
先生ご自身が歯の健康のためになさっていることは何かありますか?

スタッフに歯石を取ってもらうことはよくありますよ。今はマウスピース型装置を使って矯正をしているのですが、歯並びを良くすることで歯周病や虫歯のリスクが減るかどうか、実際に自分で実験しているところです(笑)。僕は虫歯はないので、この実験で手入れの仕方にどんな変化があるかなど、歯並びのメンテナンスに与える影響をいろいろ試しています。
スタッフの方に注意されていることはありますか?
細かいことはあまり言いません。自分たち自身でルールを決めて自主的にやってくれていますよ。対応が悪かったり技術が足りなかったりする部分は伝え、学ぶべきところは学んでほしいということは常々言っていますが。人間ですから誰でも得意なことも苦手なこともあるし、良い部分を伸ばし悪い部分は努力して、お互いに協力しながらやってもらえればいいと思っています。
安心して受診できる環境づくりに徹する
設備面も充実していますね。

歯科医院は喜んで行く場所ではないので、少しでも楽しい雰囲気にしたかったんです。それで院内を明るい木目調にしたり、熱帯魚を入れた水槽を置いたり。リラックスして受診してもらえるように診察室は個室にしました。滅菌にも最大限の注意を払っています。感染予防対策は今でも徹底しています。歯科技工室も設けたので、滅菌や技工、予防、と、当院を参考にして若い歯科医師が学んでくれたらいいと思っています。
訪問診療もなさっているのですか?
開業時からずっと訪問診療も行っています。せっかくメンテナンスを続けていても、通院できなくなったことで口内の状態が急に悪くなってしまうのは残念ですから。仙台にいた時に経験があるのですが、当時はまだ訪問診療の質があまり良くなかったんです。もちろん、今は改善されていると思いますが、衛生面に問題のある施設も見てきましたし、職員の方たちの大変さも感じていました。その頃から、訪問診療でもクオリティーの高い効果的な治療をしたいと思っており、今その理想に近づけるように取り組んでいます。将来的には訪問診療の拠点となる施設をつくりたいと思っています。
他にも将来の展望は何かお持ちですか?

託児ルームのある歯科医院を運営してきて、保育園の運営もする、というのが実現できています。もともとの開業のコンセプトは「子どもがいても歯科衛生士が働き続けられる歯科医院に」ということでした。優秀な歯科衛生士がたくさんいるのに、ほとんどが出産で子どもが生まれると辞めてしまう、復帰したくてもお給料が安くて保育料のほうが高いという現状をなんとか変えたい。企業内保育所のように、若い優秀な歯科衛生士さんが子どもを預けて働けるような保育所をつくるのが夢です。夢を現実の目標に近づけて、すべてのスタッフが長く働き続けられるようにサポートも充実させていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児のマウスピース型装置を用いた矯正/45万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。