川崎 正明 院長の独自取材記事
長浜市場歯科
(福岡市中央区/西鉄福岡(天神)駅)
最終更新日:2022/11/21

福岡市営地下鉄空港線の赤坂駅から徒歩10分。福岡市中央卸売市場に隣接する市場会館2階に「長浜市場歯科」がある。市場で働く人たちを中心に、突発的な歯の痛みに対して「その日から食事ができること」に重点を置いて治療にあたっているのが、川崎正明院長だ。入れ歯や歯をブリッジでつなげるクロスアーチスプリントを得意とし、噛む機能を守るための治療に注力している。またクリニックは朝8時から診療をスタートするなど、周辺で働く人たちの通いやすさにも配慮。穏やかな笑顔が印象的な川崎院長に、クリニックの特徴や入れ歯治療などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2020年11月25日)
モットーは「その日から食事ができる」歯科治療
先生は一般歯科をメインに経験を積まれてきたそうですね。

大学卒業後は病院に併設されている歯科に勤めました。入院されている方や近隣に住まわれている患者さんが多かったのですが、主訴としては虫歯や歯周病が多かったですね。その後、天神のクリニックでは、歯列のアーチをつなぐ広範囲な固定性ブリッジのクロスアーチスプリントなど補綴領域を中心に学びました。それからもさまざまなクリニックで手技を磨きながら、2005年に開業しました。この場所に以前からあった歯科医院の院長がちょうど後任を探していたので、そこを引き継ぐことにしたのです。以来、20年近く福岡市中央卸売場市場で働く方たちを中心に歯科治療に携わっています。
クリニックにはどういった方がいらっしゃるのでしょうか?
やはり市場の隣ですし、市場の関係施設の中にあるクリニックなので、一般の方というよりは関係者の来院が多いですね。午前3時に競りが始まるので、朝早くから診療ができるように午前8時から開院しています。世代的には高齢者が大半で、歯周病の治療や入れ歯の治療で通院されている方がメインです。40代でも若手と言われる世界ですから、開業当時は大正生まれの現役の仲買人もいらっしゃったほど。そのほか近隣で働いている方、そのお子さんなども来院されることがあるので、一般歯科だけではなく小児歯科にも対応しています。
診療方針について教えてください。

基本的には保険診療にて治療するように心がけています。自費診療に関しては患者さんから要望があれば応えるようにしていますが、患者さんの多くは「とりあえず痛いのを治してほしい」と希望されますし、中には来週から漁に出るため3ヵ月間は来院できない、という方もおられますから、まずは痛みを取り除き噛めるようにするための治療を重視しています。歯にトラブルがあってクリニックに来ていただいているのに、治療したけれどごはんが食べられないでは駄目だと思っています。そういう面では長浜という地域色が大きく出ているのかもしれませんね。
自分の口に合う入れ歯を使うことで痛みの緩和をめざす
先生は入れ歯治療が得意だとお聞きしたのですが、入れ歯にはどういう種類のものがあるのでしょうか?

大きく分けると、全顎をカバーする総入れ歯と一部を補う部分入れ歯があります。総入れ歯でも保険が適用されるのはレジンの床のものなのですが、これは熱い物を食べた時に温度がわからず喉をやけどしてしまうことがあります。そのため金属床の入れ歯にすると熱伝導率が高く、温度も敏感に感じ取れるのですが自費診療になってしまいます。また部分入れ歯に関しては、健康な歯にクラスプと呼ばれる金属のバネを掛けて入れ歯を安定させるタイプがポピュラーですが、審美的な面を気にされる方にはノンクラスプのものなども自費診療にて作ることが可能なので、しっかりとご要望を伺って提案するようにしています。
部分入れ歯とブリッジのメリットデメリットを教えてください。
やはりブリッジのほうが噛み心地の面で優れているでしょう。入れ歯はどうしても歯茎の粘膜の上に載せているので噛む力は弱くなってしまいます。清掃性に関しては取り外して磨くことができる部分入れ歯のほうが良いのですが、どうしてもクラスプの部分に汚れがたまりやすいので、お茶碗と同様に食事をしたら洗うというのが基本。装着したまま磨いていると、クラスプを取りつけている歯の虫歯リスクが高まります。これらを総合的に考えると、条件によって保険外診療となるケースがあったとしても、ブリッジのほうがお勧めです。
入れ歯が合わずに悩んでいる方もいらっしゃると思うのですが。

きちんと自分の口に合った入れ歯を使っていれば良いのですが、サイズが合っていないと噛むたびに入れ歯が動いてしまい痛みを感じるでしょう。さらにそのまま合わない入れ歯を使っていると不必要な刺激が加わり、顎の骨にも影響が出てしまうことも。まずはしっかりと型を採って、自分の口に合ったものを作りましょう。他のクリニックで作られた入れ歯でも調整は可能なので、悩んでいる方は一度ご相談ください。歯を欠損する理由としては、歯周病が最も多い原因として挙げられるのですが、何年もかけて進んでしまった歯周病はそう簡単には治りません。定期的に通院して治療を続けていくことも、入れ歯にならないためには大切です。
ブリッジ、CAD/CAM冠システムなど幅広く対応
入れ歯以外にも力を入れているものはありますか?

クロスアーチスプリント法といって、残っている歯をブリッジでつなげていく方法に取り組んでいます。例えば全体的に歯周病が広がってしまい、多くの歯がぐらついている場合、抜歯してしまえば選択肢は入れ歯しかありません。しかし、しっかりと歯周病を治療した上ですべての歯をブリッジで固めれば、歯を抜くことなく噛む機能の回復が見込める可能性もあります。総入れ歯になると噛む力は健康な状態に比べて3分の1ほどまでに低下するともいわれていますので、状態によってはクロスアーチスプリントという手法があることも覚えておいていただければと思います。
CAD/CAM冠システムにも対応されているとお聞きしました。
補綴領域では、銀歯よりも審美性にも特徴のあるCAD/CAM冠システムを使ったセラミック治療に対応しています。場合によって保険診療も可能ですが、セラミックは金属より強度が劣るため、梅干しの種など硬いものを噛んでしまうと割れることがあります。それでも普通に生活する分には問題ありませんので、銀歯を白い歯に替えたいといった希望があれば検討しても良いかもしれませんね。以前はCAD/CAM冠システムと接着剤の相性が良くなくて外れてしまったということもあったようですが、今は品質も向上し、多くの方にお勧めできるようになりました。
最後に歯の健康をために大切なことは何か、読者へのアドバイスをお願いします。

まずは入れ歯やブリッジなどの治療をしなくて済むように、セルフケアを頑張ることが重要です。セルフケアができていないと歯周病も進行し、重症化してしまうと歯茎を切開して歯石を取るなど大がかりな治療も必要になってしまいます。そうならないためにも自己管理が必要ですが、万が一歯を失った場合は、しっかり物を噛むために入れ歯やブリッジなどの補綴物で欠損を補うことが重要です。型採りから模型や咬合床の作製など、通常は約1ヵ月かかっていた入れ歯作りも、当院では最短2週間で対応していくことも可能ですので、気軽にご相談ください。また、すでに入れ歯を持っている方へのアドバイスとしては、合わないからといって捨てたり、乱雑に扱ったりしないようにしてください。保険診療では6ヵ月に1個しか入れ歯が作れないため、まずはかかりつけ医に相談して調整すること。物を噛めない状態はつらいですから、できるだけ早く対応してもらいましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは金属床の入れ歯(片顎)/20万円~、ノンクラスプデンチャー(片顎)/20万円~、セラミックを使った補綴治療/8万円~(ブリッジの場合は歯数分による)