新海 正碁 院長の独自取材記事
アイル歯科クリニック
(横浜市青葉区/青葉台駅)
最終更新日:2025/09/26
青葉台駅から徒歩2分の場所にある「アイル歯科クリニック」。白を基調とした院内には、洗練された雰囲気が漂う。院長の新海正碁先生は、マイクロスコープを用いた精密治療のスペシャリスト。根管治療はもちろん、補綴治療や外科的治療、予防歯科、審美歯科など、あらゆる分野の診療にマイクロスコープを活用しているのが同院の特徴だ。しかし「マイクロスコープはあくまでも手段にすぎません」と力を込める新海院長。追い求めているのは、痛みを取るだけのその場限りの治療ではなく、病気の根本原因から取り除き歯本来の機能を可能な限り長持ちさせる治療だという。向学心あふれるスタッフたちで活気づく院内で、新海院長がめざす歯科医療とはどのようなものなのか、クリニック名に込めた未来への思いなども含め詳しく聞いた。
(取材日2025年6月19日)
マイクロスコープを駆使した精密治療を提供
まず、クリニックについてご紹介ください。

当院は2010年に青葉台の住宅街で誕生しました。2023年に青葉台駅から徒歩2分のこの場所に移転し、患者さんにとってより通いやすくなったのではないでしょうか。さまざまな患者さんがいらっしゃるので、一般歯科を中心に予防歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科、インプラント治療、審美歯科など幅広くカバーしています。誰もが気持ち良く過ごせるように、内装は白を基調とした清潔感あるデザインにしました。また、オペ室を設け、専門的な治療にも対応しています。さらに、オペ室を含め5台のユニットがあるのに対し、マイクロスコープは4台導入しており、うち1つは歯科衛生士によるメンテナンス専用としているのも当院の特徴といえると思います。
幅広い治療や検査にマイクロスコープを活用しているそうですね。
マイクロスコープとは拡大画像をモニターに表示して確認できる歯科用顕微鏡です。当院の強みでもある精密治療には不可欠なアイテムです。患者さんにご自身のお口の中を映像でお見せできるので、治療への理解を深めることにも役立てています。一般的に根管治療で使われることが多く、当院のようにあらゆる診療において当たり前のように活用しているクリニックはまだ少ないかもしれません。しかし、歯科治療は外科処置の一種。「肉眼で行う歯科治療は、『外科医師が目隠しをしながら手術している状態』に近く、視界を保つためのマイクロスコープは欠かせないものである」というのが私の考えです。早くからその重要性に気づいたからこそ、これまで研鑽を積んできました。
なぜマイクロスコープを極めようと思ったのでしょうか。

もともと口腔内をしっかり見たい気持ちが強く、スタッフにも「先生、すごい姿勢になっています。口の中に入ってしまいそうです」と言われるほど患者さんの口腔内を覗き込んでいました(笑)。拡大鏡も使っていましたが、私には物足りないレベルだったんです。治療にどこか手応えを感じられずにいた頃、根管治療の勉強会に参加してマイクロスコープと出会いました。肉眼では見えない世界を約20倍に拡大して可視化しながらの治療は、これまでにない衝撃的な経験でしたね。当時やっとマイクロスコープが普及し始めた頃で勉強には苦労しましたが、2012年には念願の1台目を院内に設置しました。以来今日まで使い続けてきましたが、これほど助けてもらった機器はありません。しかし、マイクロスコープを使うことは目的ではなく、あくまでも「手段」。歯を長持ちさせるために精密な治療をする。そのためにマイクロスコープという道具が必要なんです。
全身からのアプローチも視野に入れ、口腔内を守る
日々の診療では何を重要視していますか?

1本の歯を徹底的に治療しながらも、全体を見渡す診断力や治療計画、そしてそれを実行する技術力も重要だと考えています。例えば、大きな虫歯があり、再治療のリスクもない完璧な根管治療をして、審美的にも素晴らしいかぶせ物をしたとしましょう。しかし、噛み合わせの相手となる歯がなくては、そもそも歯として機能しません。噛み合わせも考慮して治療を進めることが不可欠だと考えます。また、前歯をセラミックできれいにしたいという方には、歯肉ラインの再建まで審美面にこだわって治療をするようにしています。その場しのぎで悪い部分を治すだけではなく、将来的に患者さんが仕上がりに満足し続け、さらに生活の質も保てるようにするためにはどうするべきか、常に熟考するようにしています。
口腔内全体の未来を見据えた治療をしているのですね。
それは、開業当初から追求し続けているテーマです。口腔内の未来を守るためには、全身の問題も無視できないと考えています。近年の研究で、虫歯や歯周病などの口腔内の慢性疾患は、幼少期からの呼吸や姿勢の問題が一因であることが明らかになりつつあります。虫歯を繰り返さないようにするためには、口呼吸を改善し、姿勢を正すといったアプローチが有用だろうといわれているんですね。できれば幼少期からの取り組みが望ましいので、姿勢や離乳食の与え方などについて、妊婦健診の段階からお話しするようにしています。また、全身からのアプローチの一環で、理学療法士の方と連携し、姿勢チェックや改善に向けたアドバイスを受けられる日も設けています。理学療法士の中でも歯学に興味を持ってくれる方たちがいて、歯の健康、体の健康のために連携できるのは心強いですね。
院長のほかに2人の歯科医師がいらっしゃると伺いました。

はい。田中達啓先生と相馬歩先生もまた、マイクロスコープを駆使した精密治療の研鑽を積んでいて、当院では一般歯科や審美歯科から、歯周外科治療やインプラント治療などの高度な治療まで幅広い診療を行っています。2人とも成長が著しく、とても頼もしく感じますね。また、そのほかにも多様なメンバーがそろい、力を合わせてチーム医療に取り組んでいるのも当院の特色です。例えば、歯科衛生士はマイクロスコープの専門的な知識・技術を習得していて、予防歯科の中心となるメンテナンスやケアを担ってくれています。歯科助手もトリートメントコーディネーターなどの役割を持ちながら、診療をサポートしてくれています。「患者さんのためにより良い治療を追求したい」という同じ思いで結ばれた、大切な仲間たちです。
患者のより良い未来のため医科とも連携していきたい
患者さんと接するとき、何を大切にしていますか?

患者さんとは症状の話をするだけではなく、どのような価値観をお持ちなのか耳を傾けることも大切にしています。ライフスタイル、仕事、趣味、経済状況、健康に対する意識など、一人として同じ方はいません。患者さんが何を優先するかで、治療をする・しない、保険診療・自由診療などの選択も変わってくるでしょう。「この治療がいいですよ」などと押しつけるのではなく、いくつかの選択肢を提示して、患者さんが納得する治療法を選択できるようにしたいと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。
口腔内は全身の疾患とも密接な関係があります。例えば、歯周病は糖尿病のリスクファクターとされる一方で、歯周病は動脈硬化を進行させ、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞を誘発するといわれています。ですから今後は医科と歯科が連携を進め、協力して患者さんの健康を守っていく必要があると思います。そのためにも、歯科医師側も内科的な知識を身につけていくことが必須だと考えています。また、後進の教育にも注力したいですね。精密治療はマイクロスコープを備えているだけでは成り立ちません。ミラーなどの医療器具はすべて専用のものが必要で、歯科医師はそれらすべてを使いこなせなければならないのです。さらに、総合的な診断力や治療のスキルを高める重要性も訴えていけたらと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

どのような理由であれ患者さんがクリニックに来たときは、最も基本となる生命を維持するための欲求が多少なりとも脅かされていると思うんです。基盤がぐらついていては、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求の実現どころではありませんよね。より人間らしく豊かな人生を歩むためにも、まずは自分の歯で食事や会話を楽しめる状態を維持していきましょう。当院のクリニック名「アイル」の由来は、英語の「I Will」=「I’ll」。未来を視野に入れたワードです。患者さん自身が「こうなりたい」と思い描く未来を実現できるよう、生涯にわたりお口の健康を守るお手伝いをさせていただければと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは精密根管治療:11万円~、ダイレクトボンディング:8万8000円~、セラミックアンレー:16万5000円~、インプラント治療/インプラント埋入:13万2000円、インプラント上部構造(クラウン):22万円~、成人矯正:88万円、歯肉ラインの再建/歯槽堤増大術:17万6000円~
※詳細はクリニックへお問い合わせください
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

