口と体
健康のつながりについて
ひらおかデンタルクリニック
(東大阪市/瓢箪山駅)
最終更新日:2025/09/10


- 保険診療
歯周病菌が糖尿病や肺炎、認知症などと関連していることが指摘され、全身の健康を保つためには口腔環境を整えることが欠かせないという認識が広まりつつある。東大阪市にある「ひらおかデンタルクリニック」の松谷英子院長も、かつて口腔トラブルをきっかけに数多くの不調を抱えた経験から、口腔と心身の健康の相関性に強く着目。現在は、歯科医師としてだけでなく、心理カウンセラーとしての知見も生かしながら患者と真っすぐに向き合い、健康的な未来を見据えた治療の提供に努めている。「心と体が切り離せないように、体の一部である口腔も切り離せないもの。そのすべてを整えることが、自分自身と周囲の人々の幸せにつながる近道だと思っています」そう語る松谷院長に、口腔と全身の健康のつながりについて話を聞いた。
(取材日2025年7月17日)
目次
口腔の健康は全身の健康の入り口。不調を諦めず、まずは相談を
- Qなぜ「口腔の健康」が全身の健康の入り口だと考えるのですか?
-
A
▲口腔内の環境と全身の健康のつながりについて話す松谷院長
口腔の健康は、「食べる」「話す」「呼吸する」といった人が生きる上で欠かせない基本的な機能を支えています。これらの機能が正しく働くことで、体に必要な栄養を取り込み、円滑なコミュニケーションができ、質の高い睡眠も得られるようになります。逆に、噛み合わせのずれや口呼吸、舌の位置の異常などがあると、食事や睡眠の質が下がり、姿勢の崩れや免疫力の低下につながり、ひいては集中力の低下や精神面へ悪影響を与えることも考えられます。口は体の入り口であると同時に、心と体の健康をつなぐ大切な場所です。だからこそ、口だけを切り離して考えるのではなく、全身とのつながりを意識してケアしていくことが大事だと思います。
- Q口腔の問題が全身に影響を与える例にはどんなものがありますか?
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A
▲特に歯周病に関しては、糖尿病や心疾患などのリスク要因にもなる
例えば噛み合わせがずれていると、顎の位置が崩れ、首や肩の筋肉に負担がかかりやすくなり慢性的な肩凝りや頭痛、姿勢の悪化に関与することも。お子さんの場合は成長にも影響を及ぼしかねません。また、口呼吸だと喉や肺に菌が入りやすいので、風邪をひきやすくなるだけでなく、アレルギーや免疫力の低下にも関係するといわれます。口の中も乾燥しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも高まります。舌の位置が悪いと、飲み込みにくさや発音の不明瞭さにもつながります。そして見逃せないのが、歯周病と全身疾患との関係です。歯周病菌が血管を通じて全身に回ると、糖尿病や心疾患、誤嚥性肺炎、認知症などのリスク要因となることもあるんですよ。
- Q口の中の金属が原因で、アレルギー症状が出ることもありますか?
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A
▲なるべく患者に負担のかからない材料での治療を提案している同院
「まさか」と思うかもしれませんが、歯の詰め物やかぶせ物に使われている金属が、唾液によって少しずつ溶け出し、体内に取り込まれることでアレルギー反応を引き起こすケースはあります。症状としては、口の中の違和感や粘膜のただれだけでなく、手足や頭皮の湿疹やかゆみ、皮膚炎、慢性的な頭痛やめまいといった不調など、口とは関係のなさそうな部位にも症状が現れることがあります。原因がわからず皮膚科で治療を続けていたというケースも多くあります。実際に私も歯科金属で輪郭が変わるほど顔が腫れた経験がありますので、金属ではなくなるべく体に影響を与えにくい材料への置き換えを提案しています。
- Q無意識の食いしばりや歯ぎしりも不調の原因になるのでしょうか?
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A
▲食いしばりや歯ぎしりの心身への影響について話す松谷院長
無意識の食いしばりや歯ぎしりは、単に歯がすり減るだけの問題ではなく、心と体のバランスにも深く関わっているんです。日中のストレスや緊張が、夜間の歯ぎしりとして現れることもあり、これは脳や体がうまくリラックスできていないサインともいえると考えます。こうした状態が続くと、顎の筋肉がこわばって血流が悪くなり、朝起きた時に頭痛や肩凝りを感じたり、睡眠の質が下がったりすることにつながり、やる気が出ず気分が沈みがちになることもあります。人は睡眠中に心身の回復を図りますから、睡眠がうまく取れなければ脳も休まらず、自律神経のバランスにも悪影響を及ぼします。その結果、心にもじわじわと影響が出てくることがあります。
- Qこれらの話を踏まえて、患者さんに一番伝えたいことは何ですか?
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A
▲健康な状態を長く保つためにも、口腔内の環境にも着目を
一番伝えたいのは、「口の健康は全身の健康と心の安定に深くつながっている」ということです。歯や噛み合わせ、口腔の状態が良ければ、毎日の食事や会話が快適なだけでなく、体の姿勢や免疫力、睡眠の質にまで良い影響を与えるでしょう。逆に、口の不調を放置すると、知らず知らずのうちに体や心にも負担がかかり、生活の質が下がってしまいます。だからこそ、歯や口のケアを単なる「見た目」や「痛みの対処」だけで終わらせず、全身の健康を守る大切な入り口として考えてほしいと思っています。年齢や性格のせいにせず、自分の体と向き合うことをやめなければ、一生自分の歯で食べる喜びを感じながら、ピンピンコロリの生き方がきっとできます。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。