木村 健秀 院長の独自取材記事
祇園ふたばこどもクリニック
(広島市安佐南区/下祇園駅)
最終更新日:2025/10/21
JR可部線の下祇園駅から徒歩約15分、公園や商業施設が多く、子育て世帯にも人気のエリアに「祇園ふたばこどもクリニック」はある。人気キャラクターのぬいぐるみやおもちゃ、動物のイラストが至る所にあり、院内は楽しげな雰囲気だ。院長を務める木村健秀(たけひで)先生は、3人の子どもを持つ父親としての視点を生かし、患者である子どもだけでなく保護者も安心して通うことができる環境をめざす。ベビーカーを押して入りやすいようスロープつきの玄関を備え、待合室はスペースを広く取り、計19台分もの駐車場を備えている。さらに時間帯によって診療内容を分け、感染症予防や予約の取りやすさにも配慮している。「お父さん、お母さんの子育ての不安を取り除きたい」と語る木村院長に、クリニックの特徴や注力している診療について話を聞いた。
(取材日2025年10月8日)
子どもも親も安心できる環境づくり
初めに、先生のご経歴について教えてください。

大学の医学部を卒業すると、岡山県や愛媛県、広島県、香川県の病院で経験を積み、開業前には岡山医療センターに勤めていました。私が最も影響を受けた師匠といえる医師が広島県の方で、近くで働きたいと考えていたところ、ご縁があって祇園で開業することになり、2014年に「祇園ふたばこどもクリニック」を開業し、院長となりました。
昨年クリニックをリニューアルされたそうですが、どう変わったのでしょうか?
リニューアルまでは私が1人で診療を担っていましたが、すべての患者さんを診ることができず、お断りしてしまうこともあったんです。そこで、2人体制を取るために増改築を行いました。リニューアル後は診察室が2部屋に増え、金曜日以外は非常勤医師と2人体制で診療を行っています。また、駐車場も拡大し、現在は3つの駐車場を完備。合計19台の駐車が可能です。さらに、院内感染を防ぐため、隔離室も3つ設けました。感染症が疑われる場合の他、点滴やエコー検査、新生児の待機部屋としても活用しています。
院内にはさまざまな工夫がされていますね。

患者さんと親御さんが安心して過ごせるよう環境を整えています。お手洗いもベビーカーと一緒に入ることができるようスペースを広く取ってあります。待合室では、モニターで正しい手洗いの方法や感染予防対策などの医療情報を流しています。他にも自作の冊子も待合室に置いていて、例えば、夜尿症に悩んでいるお子さんと親御さんが来られたら、診察室で改善方法をお話ししますが、すべてを覚えておくことはできないですよね。そういったときに夜尿症に関する冊子を持ち帰っていただく。そうすることで、自宅で診察内容を思い返していただけるようにし、一方的にお伝えして終わりにはならないようにしています。
不安でいっぱいの予防接種デビューをサポート
力を入れている診療について教えてください。

当院が特に力を入れているのは、予防接種。赤ちゃんの予防接種は生後2ヵ月から始まります。赤ちゃんにとって人生で初めての予防接種を安心して受けていただけるよう、当院では、初めてのお注射の外来を設けています。今は核家族が増え、特に当院の近隣には転勤のあるお仕事をされている方も多いので、お父さんとお母さんだけで子育てをしている方も少なくありません。また、予防接種の種類や回数、頻度も複雑になってきています。そこで、予防接種の説明はもちろん、親御さんのご事情に応じてスケジュールの立案なども実施しています。
予防接種に不安を感じる親子にはどのような対応をされていますか?
親御さんの中には、予防接種に懐疑的な方もいらっしゃいます。副反応を不安視していたり、インターネットから得た情報などによって良くないものだと思われていたり、ご事情はさまざまです。納得いただいた上で行うことが大切なので、無理に勧めることはなく、「接種せずに病気にかかることのほうが危険」だという事実のみをご説明します。また、お子さんの中には注射が苦手な子も当然いるので、お話ができる年齢の場合、例えば「今日は宿題あるの?」「給食は何が出た?」といったふうに、話しかけながら注射を打つようにしています。打たれることがわかっていると怖くなってしまいますからね。
他にも赤ちゃんを対象としたさまざまな外来がありますね。

「赤ちゃんの◯◯の外来」という多種多様な専門の外来を行っています。例えば、「赤ちゃんのうんちの色の外来」。赤ちゃんのうんちの色は病気のサインである場合もありますが、栄養によっても変化します。それは、長年小児科の医師をしてきた私にとっては、自然なこと。ですが、子育て中の親御さんの目線に立つと、「色が変わったけれど大丈夫なのかな?」と不安になってしまいます。そういった心配事を抱えている方が多いと気づき、専門の外来を開設しました。当院で原因と対策を知っていただくことで、安心していただけたらうれしいです。
エビデンスに基づいた診療で子育ての心配事を取り除く
診療において心がけていることを教えてください。

私が大切にしているのは、エビデンスに基づいた診療を行うことです。例えば、以前は発熱すると当たり前のように抗生物質が使われていました。ところが研究が進み、今では風邪のウイルスには抗生物質が効かないといわれ、抗生物質を使わないことが常識的と考えられています。不必要な薬は処方しないので、当院は薬がとても少ないんですよ。お子さんを思うあまり、不確かな情報に惑わされてしまう親御さんもいるかと思います。今後もエビデンスに基づいた医療を提供し、親御さんにも正しい情報を知っていただければと思っています。
先生は医師であると同時に、父親としての視点もお持ちですね。
高校生から大学生までの3人の子どもがいます。私が子どもを持つ父であることが、患者さんのご家族にとっての安心感につながっているならありがたいですね。子育ては予想できないことばかり。急に体調を崩したり、いつもとは違う変化があったりもします。そのたびに心配になる親御さんの気持ちはよくわかるので、その心配事を当院で解消していただけるよう努めています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今後もお子さんと親御さんの不安を少しでも取り除けるクリニックでありたいです。病気の診断がつくと、「通常の経過をたどった場合、どんな症状がどれだけの期間続く」といったように、おおよその見通しが立ちます。それをまずはしっかりご説明します。ただ、熱が何日も続くなど、見通しどおりにはいかないことももちろんありますよね。そういった場合も考え、「こういう症状が続くならもう一度来てくださいね」ともお伝えするようにしています。病気を治療するだけではなく、病気の予防や病気以外の心配事にも力になれたらと思っています。微熱やちょっとした不調など、「こんなことでクリニックに行っても大丈夫かな?」と迷われるかもしれませんが、安心して気軽に来ていただきたいですね。

