亀田 創平 院長の独自取材記事
かめだ歯科クリニック
(大洲市/伊予大洲駅)
最終更新日:2021/10/12

市内循環バス「ぐるりんおおず」の市立図書館停留所から3分ほど歩いた県道脇に、白い壁面にクリニック名が大きく書かれた「かめだ歯科クリニック」が見えてくる。自家用車の利用が多い地域なだけに、駐車スペースがゆったりと確保されている。複数の歯科医院で経験を積んだ亀田創平先生が2014年、出身地の大洲市で開業した歯科クリニックだ。さまざまな検査・治療機器を備え、それらを駆使しながら丁寧な歯科治療を提供。完全個室の診療室も備え、プライバシー保護を望む患者が市外からも足を運ぶという。カウンセリングを重視し、患者の希望を尊重して治療方針を決定する診療スタイルも、歯科医師と患者の信頼関係を深めている。明るく気さくな雰囲気で和ませてくれる亀田院長にじっくり話を聞いた。
(取材日2019年10月16日)
患者が望むことに耳を傾け、応えることを念頭に
先生が歯科医師をめざしたきっかけと、歯科医師になった今思うことを教えてください。

身内に歯科関係者が多く、子どもの頃から身近にあった仕事でした。父が歯科技工士で、中でも影響を受けたのは5歳年上のいとこです。幼少期から歯科医師をめざして努力する様子をずっと見ていて、有言実行で夢をかなえた姿に憧れを抱き、自分も歯科医師になろうと思うようになりました。この仕事は技術職でもあり、勉強や練習が欠かせません。その成果を自分で実感できるところに面白さがあります。できなかったことができるようになる手応えに喜びを感じます。そして何より、患者さんの機能回復を実現できることがやりがいになります。患者さん自身にも治療の結果に満足していただけるとうれしいです。
患者さんはこの地域にお住まいの方が多いですか?
遠くから来られる方も意外と多く、市外にお住まいの患者さんもいます。理由の一つに、診療室が完全個室だということもあるようです。プライバシーを守りたい、人目を気にしたくないという方に喜ばれています。実は開業前、完全個室にすることには反対意見もありました。閉塞感があるのではないか、狭い空間で歯科医師といることに抵抗を感じるのではないかなどという意見です。けれども実際に始めてみると、個室を探してここを選んでくださったり、遠くからも足を運んでいただけたりといううれしい結果になりました。室内は天井を高くし上部にガラス面を設け、診療チェアも幅の広いものを入れて、ゆったりできるように工夫しています。
診療室以外に個室のカウンセリングルームもあるそうですね。

カウンセリングは一番大切にし、力を入れていることでもあります。緊張しないでほかの人に聞かれる心配もなく話ができるように、椅子に座りリラックスして話せるカウンセリング専用の個室を用意しました。初診の際にはまず、「聞く」という作業を丁寧に行います。スタッフが患者さんの来院の理由や悩み、思いを聞き、その上で当院の方針や治療概要をお伝えします。そして検査結果や詳細な治療内容などを僕から説明し、患者さんご自身の希望や意見を聞いて治療に入ります。「聞く」ことから始まるという点、そして最終的に患者さんに選んでもらうという点が重要です。勝手に治療を進めたくないということもありますし、後悔もしたくない。患者さんにも後悔してほしくないので、自分で選べば後悔も少ないのではと思うのです。
人、機器、技術、すべては患者をトータルで支えるため
先生のめざす治療について、詳しく教えてください。

悪いところはすべて根本から治療することが大切だと思っています。「部分」ではなく、「全体」を見るように心がけています。例えば、今困っている部分だけを治すと、しばらくしてまた別の問題が起きてそこを治して、という治療を繰り返すことになりかねません。ですから今痛いところだけでなく、トータルで見て、治療が必要になる箇所がどれだけあり、どんな治療が必要かを患者さんにすべて説明します。そして理解してもらった上で、患者さんにどうしたいかを聞きます。忙しくて時間が取れない人もいれば、経済的に全部一度に治療するのは難しいという人もいますので、それぞれのタイミングと状況に応じて、自分が納得する治療内容を選んでもらえればと思います。
予防についてはどのような考えをお持ちですか?
予防も治療とトータルで考えています。治療が必要になる前の予防もありますが、治療を行った後に状態を維持するための予防もあります。僕はすべてトータルで行いたいです。人それぞれ、年齢や歯の状態によっても必要なことは変わりますし、どちらも大切です。また医療を行う側から見れば、歯科医師は治療がメインの仕事で、歯科衛生士は予防が中心という職種。それぞれの役割によって視点が変わってきます。口の一部分だけを見るのではなく全体を見ることと同じように、予防と治療もトータルで考えたいと思います。そしてそのように患者さんをトータルで見ることは、歯科医師一人ではできません。歯科医師とスタッフがそれぞれの役割を果たしてこそできることです。チームでの対応が必要なのだと思います。
さまざまな医療機器を備えておられるそうですね。

機器にこだわっている、ということではなく、自分としては必要なものを導入しているだけという感覚です。ただ機器に頼るのではなく、それらを効果的に活用することで、診断や治療の効率、質を向上させたいと考えています。例えば拡大鏡を使うと別世界と言ってもいいほど口の中の様子がよく見え、僕の治療もスタッフの作業も格段にしやすくなります。また位相差顕微鏡は、患者さんへの動機づけに使うことができます。歯垢を顕微鏡で見ると、生きた細菌がわーっと動いているのが見えるのです。患者さんに自分の口から取った歯垢を見てもらうと、驚いて「きれいにしなきゃ」と思ってもらえるようになります。でも機器を充実させることは枝葉にすぎません。幹はあくまでも医療です。良い医療を提供するために、機器があるのです。ですから歯科医師には、的確な機器を選択する目、使いこなす技術がなくてはならないと考えています。
クリニックの強みは歯科医師とスタッフのチーム力
とても居心地の良い雰囲気の院内ですね。

患者さんに快適に過ごしてもらえるように、スタッフみんなでいろいろ考えています。雑貨屋さんのような雰囲気をめざしていて、良い意味で歯科医院らしくない空間になればと思います。季節ごとに飾りつけを変えたり、アロマの香りを取り入れたり、スタッフたちも楽しんでいるようです。患者さんのためであると同時に、スタッフたちにとっても、ここで働く楽しみの一つになればいいですね。スタッフが生き生きと働くことができれば、良い表情で患者さんに接することができて患者さんのためにもなり、良い循環が生まれます。ここにいるみんなが笑顔になれるようにしたいです。
これからの展望を教えてください。
僕はやっぱり、治療が好きなんだと思います。患者さんが困っていることや悩んでいることを治療で解消してあげられれば一番うれしいですし、それをずっと継続していきたいです。やってみたいこともたくさんありますが、どれも自分一人ではできません。また一人でするべきではないとも思います。スタッフに相談して良いアイデアをもらえればどんどん取り入れ、僕だけではなく、みんなで良い状態をつくっていきたいのです。そのためにスタッフにも成長してもらいたいので、勉強会などに行って技術力をつける以外にも、やりがいを持つきっかけづくりや安心して働ける環境づくりに努めています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

医療機器や院内の設備などのハード面は、そろえようと思えば誰にでもそろえられるものかもしれません。けれども歯科医師とスタッフがチームとして力を合わせて患者さんのために尽くすことは、僕たちだからできることだと思うのです。患者さんが歯や口の中のことで悩んでいれば、きっと全員が一丸となり、知恵と技術を集結してなんとかしようと頑張ります。ぜひ僕たちを信じて頼ってください。チーム力では負けないつもりですし、それができる自分たちの力を信じています。