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あやめ診療所

伊藤憲祐 院長

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「在宅医療の魅力や価値についてもっと多くの患者さんや家族に知ってもらいたい」。そう話すのは台東区で往診専門診療所を運営する伊藤憲祐院長だ。都内でも高齢化率の高いこの地域で、住み慣れた家で最期まで生活できるように医療を提供するため、日々診療に走り回っている。病院での診療とは異なる在宅医療において大切にしている哲学や誰にでも訪れる死に対するとらえ方、社会全体が今後避けては通れない超長寿社会に必要とされる在宅医療とはどうあるべきかなど、伊藤院長の原動力となっている地域医療への思いも含めて、話を伺った。
(取材日2015年7月24日)

病院の医療とは異なる在宅医療の魅力や価値

―まずは病院と在宅医療の違いについて教えてください。

在宅医療は通院困難な患者さんの家庭で提供されます。よって、病院が医師中心であるのに対して、在宅医療は患者さん(その家族も含む)中心であり、住み慣れた自宅で最期まで生活することが目的です。私は、在宅医療に携わる総合診療医として、病を診るだけではありません。心(こころ)や身体(からだ)とともに、生活状態を把握します。また、家族や患者さんとともに生活する親族も含めた生き方や価値観、経済状況などを肌で感じ取っていきます。そして、患者さん自身だけではなく、支援者も含めてどんなサポートが必要なのかを見極めます。変化する状況に応じながら、総合診療医として、在宅支援チームを日々デザインしていくことが重要な役割の一つです。経済合理性や人間関係も含めた実現可能性、医療や介護の機能が効率よく発揮できるかまで検討課題となります。患者さんは、認知症があるなしに関わらずですが、慢性疾患から末期がんの方までさまざまです。どんな症状の方でも「住み慣れたわが家で大切な時間を有意義に過ごしたい」と考えています。その思いを実現するために協働する仲間、訪問看護師・薬剤師、ケアマネジャー、理学療法士、患者・支援者の意見を訊きながら、多様なチームワークによって患者さんがよりよく生きられるようにお手伝いをさせていただいています。

―在宅医療の魅力と、「在宅で看取る」とはどのようなことですか?

在宅医療の魅力から説明します。高齢の患者さんにとって環境の変化はストレスになります。特に高齢者の6人に1人は鬱(うつ)を発症する時代です。年齢を重ねるほど、パートナーを亡くし、友人など重要な関係の人との終焉、ペットとの離別、住み慣れた環境からの移動など、喪失や離別の経験が増加します。それらが引き金となり鬱になる可能性も高くなります。また認知症も65歳以上の高齢者に発症することが多い病気です。認知症患者は、住み慣れた環境にいるときに最も能力を発揮することができます。また、環境が変わると症状が悪化することがあるくらいです。そのため、高齢の患者さんにはできるだけ住み慣れた家で生活していただきたいと思っています。独居・がん末期の患者さんでも看取りが可能な時代になりました。われわれは、家族に負担をできるだけ感じさせないように工夫をし、在宅医療を提供します。在宅医療の魅力は、患者さん自身の自由度の高さにあります。食事制限も強要されることはありません。時間を気にせず、友達にも会えます。住み慣れた家なのでトイレや入浴など自分でできることがたくさんあります。自由度が高く、患者さん自身ができることがあり、役割やつながりもある状態を維持することが、生活の質を高めることにつながっています。また家族にとっても思い出の詰まったわが家での生活を患者さんとともに送ることで納得した最期を迎えることができます。私たちは、患者さんとご家族に寄り添った医療やサポートを提供します。

―この地に開院した理由をお聞かせください。

理由は3つあります。まずは開業当時この地域に、在宅医の循環器専門医がいなかったということ。次に、母校である日本医科大学付属病院(多摩永山、武蔵小杉、千葉北総)での経験(今でいう総合診療科のような内科・循環器科・集中治療室などでの修行経験)から、めまぐるしく進歩する医療の世界で、地域において相対的にあらゆる疾患を診ることができるだろうという考えがありました。そして、母校付属病院(千駄木)に通院可能な医療圏であり、同窓のネットワークを使いながら総合的な診療(あらゆる科との連携)ができることもあり、この地での開院を決意したのです。同期や部活動で一緒に汗を流した先輩や後輩が教授や講師、医局長になっており、気軽に相談しやすい環境があることは大変助かっています。また、あやめ診療所は予約外来だけを行っています。往診に重点をおいているため、患者さんを在宅で全人的に診ることができます。患者さんから、よもやま話や、終戦記念日に戦争体験を伺うこともあります。そのときには、ご家族にも驚かれることもしばしばです。丁寧な診療を継続して行い、多様な経験を積めていることが、診療の質を上げることにつながっていると考えています。

―診療の際に心がけていることは何ですか?

患者さんに誠実な関心を寄せて、対話することを心がけています。当院の全スタッフは、患者さんが自分の家族であったらどうするのかを常に意識し、考えることを診療所のポリシーとしています。例えば、段差などで自宅から車までの移動に手間がかかりサービスを受けられない患者さんに対して移動を手伝ってくれる事業者を紹介することもあります。また、精神科疾患を持った患者さんには精神科対応可能な看護ステーションを組み合わせるなど、適切な社会資源の組み合わせになるように、ケアマネジャーや看護師と相談し、支援チームをデザインします。さらに、既往歴から薬の整理をすることもあります。患者さんの主訴(慢性の頭痛や腹痛)は薬の副作用であることが珍しくなく、病名と薬の一致を必ず初診時に確認します。疑わしい薬は一時中止し、明らかに必要な薬だけにすることもあります。海外では5種類以上の内服をしていることをポリファーマシーとよび、副作用が出やすくなり、転倒のリスクを増やすために注意しているからです。高齢者が転倒すると骨折しやすく、寝たきりになり、寝たきりから衰弱し、廃用性の筋萎縮となる悪循環が起こります。そのため、できるだけシンプルな内服に変更するように心がけています。私たちは常に世界基準で「われわれにできることは何か」を考え、医療チームで時間をかけてその人にとって最適な状況ができるように取り組みます。



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