上野 博史 理事長、上野 千尋 副院長の独自取材記事
うえの内科・循環器内科クリニック
(鹿児島市/朝日通駅)
最終更新日:2024/11/07

鹿児島市電1系統・朝日通駅から徒歩5分。上野博史理事長が開業した「うえの内科・循環器内科クリニック」は、外来診療と訪問診療の2本柱で地域を支えるクリニックだ。副院長の上野千尋先生は五反田内科クリニックなどで積んだ研鑽を生かし、訪問診療をメインで担当。専門分野が異なる7人の医師と協力しながら、患者と信頼関係を築き健康面での幅広いアプローチに努めている。一方、生活習慣病の患者が多い外来では、博史理事長が患者の病識を高め健康寿命を延ばすことをめざした診療を行っている。患者の刺激になればと、訪問診療時には患者の希望にも合わせ、犬を連れていくこともあるそうだ。犬とともに診療にまい進する2人の医師に、外来と訪問診療それぞれの特徴と重視していることなどを語ってもらった。
(取材日2024年7月30日)
外来診療と訪問診療の2本柱で最期まで寄り添う
クリニックがあるのはどんなエリアですか?

【博史理事長】当院は鹿児島市のいわゆる中心部で、繁華街にあります。交通の便が良く、南は谷山方面、北は吉野辺り、桜島からフェリーで海を越えて来てくれる患者さんもいるので、良い所に開業することができたと思っています。ご高齢の方はバスや路面電車を利用する方が多いですね。
【千尋副院長】私は鹿児島の出身で、高校生まではこの辺りで過ごしました。近くの図書館にも通っていたので、なじみのある場所ですね。近くの百貨店にお買い物や食事に来たついでに寄っていただけることも多いので、ここで開業して良かったと感じています。
クリニックの強みや特徴を教えてください。
【博史理事長】当院は、近くに複数ある三次救急対応をしている総合病院と連携しているため、必要に応じてスムーズにご紹介ができます。狭心症や心筋梗塞などは早期発見・早期治療が肝心なので、強みといえるのではないでしょうか。また当院は訪問診療にも注力しているので、患者さんと長いお付き合いができるのも強みです。加齢や病気の進行とともに通えなくなったといった場合には、訪問診療に移行して看取りまでさせていただきます。外来で来られた方と最後まで関係性を築けるのは、当院ならではだと思います。
なぜ外来と訪問診療の両方に注力しているのでしょうか?

【博史理事長】以前から千尋副院長が訪問診療に従事しており、その重要性やニーズ、面白みも感じていました。ですので、開業当初から訪問診療をすることを決めていました。そして開業してからずっと訪問診療と外来を継続して行ってきた結果、どちらも需要が大きいと気づき、両方に注力するようになったという経緯です。今もバランスを取りながら、外来と訪問診療の2本柱として続けてきています。患者さんの側に立っても、通院できなくなった時に訪問診療で継続して診てもらえるのはメリットではないでしょうか。当院にいらっしゃる方の中には「最期まで診てほしい」とおっしゃる方がいるのですが、訪問診療があればそれが実現できますからね。
外出できない患者に犬から癒やしと刺激を
外来診療において大切にしていることはありますか?

【博史理事長】患者さんに病識を持っていただき、信頼関係を築きながら健康寿命を延ばせるようにサポートすることを大切にしています。外来の患者さんは、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の方が多いのですが、これらの疾患は自覚症状が出てからでは遅いこともある病気です。そのため、病気の意識づけと治療の必要性を自覚していただき、しっかり病気と向き合い治療してもらうことが大切です。健康寿命を少しでも長くする、高齢になっても自立した生活を続けていただくことを重視して患者さんと向き合うようにしています。生活習慣病で来院した方には、病気の概要を説明する時に予防の重要性、放置した場合のリスクも説明します。生活習慣病は自覚症状がないことが多く、放置すると突然脳卒中や心筋梗塞を発症するだけでなく、寝たきりになるリスクもありますからね。
訪問診療は千尋副院長がメインで担当しているそうですね。
【千尋副院長】はい。訪問診療に関しては五反田内科クリニックで常勤医師として研鑽を積みました。その経験を生かして医学的な正しい知識を持って、患者さん一人ひとりの生活にマッチした治療方針を選択したいと思っています。訪問診療はご自宅で行うので、難しい面もありますが、患者さんの希望を伺いながら折り合いをつけて、どのように良い方向へ持っていくかが重要であり腕の見せどころです。訪問診療は24時間365日、生活に密着しているので、ご家族の関係性や自宅の環境を含めて治療方針を考えなければなりません。
訪問診療では、実際にどのような症例に対応されているのですか?

【千尋副院長】お一人での通院が難しい方で何らかの疾患をお持ちの方は、どなたでも訪問診療をご利用いただけます。高血圧症や糖尿病などの慢性疾患はもちろんのこと、重症の心不全や末期がんの治療にも対応させていただいています。基幹病院からのご紹介も多いため、重症の心不全や末期がん患者さんの疼痛コントロール、緩和治療といった、訪問診療では対応が難しいと思われている疾患に対してのアプローチを行えることも当院の特徴といえます。
訪問診療では、一緒に犬を連れているとお伺いしました。
【千尋副院長】訪問診療では患者さんと信頼関係を築くことと、コミュニケーションがとても大切です。動物の力が入ると、コミュニケーションも円滑になる上に、外に出たくても出られない患者さんの刺激になるのではないかと考えています。日本でも「セラピードッグ」の存在が広まりつつあるようですね。当院では、犬との訪問に関しては事前に興味があるかをお伺いしています。今のところ、一度連れて行くと、「また連れてきてほしい」という声があったり、犬との訪問を見かけた方から「うちにも連れてきてほしい」と言われたりと好評です。患者さんが犬と触れ合って笑顔になっていただけるとてもうれしいです。2匹とも毎日一緒に出勤しています(笑)。
チーム医療で訪問診療でも専門性の高い治療を提供
スタッフについても教えてください。

【千尋副院長】当院には医療事務、医療クラーク、看護師、あとは一般事務と総務がいます。訪問診療に関しては、医療クラーク、医療事務、看護師、医師の連携が重要ですので、区切りのないワンフロアに混在し、垣根なく診療の振り返りなどの話をしています。「餅は餅屋」という言葉があるように、分野ごとに専門のスタッフが力を発揮しつつ、お互い連携をして、非常に和気あいあいと働いています。スタッフ全員が「患者ファースト」を大切にして、一丸となって一人ひとりの患者さんと向き合っています。
こちらは医師も複数いらっしゃるそうですね。
【千尋副院長】当院には私と博史理事長の他に、糖尿病内科の医師が3人、神経内科の医師が1人、外科の医師が1人、腎臓内科の医師が1人、内科全般を診られる医師が1人います。複数の医師でチーム医療を実践しているのが当院の特徴です。さまざまな分野を専門とする医師がいるので、訪問診療でも総合的な診療が可能です。例えば高血圧症や糖尿病では、腎臓が悪くなったり神経症を合併することがあるので、そういった場合にも専門的な知識を持った医師が対応します。他にも、床ずれの治療では外科的な切除が必要になることもあり、当院なら外科の医師が訪問して処置にあたることが可能です。処置の方法などによって相談する医院を変えることなく、ワンストップで対応できることが、大きなメリットだと思います。
最後に読者の方へメッセージをお願いします。

【博史理事長】私たちは訪問診療も行っていますし、何でも相談しやすい環境を整えています。相談しやすいようにというのは私自身も心がけているつもりなので、ちょっとした不安や気になる症状なども気軽に相談しに来てほしいですね。当院はスタッフも優しい方がそろっていますので、ご安心ください。
【千尋副院長】私は訪問診療をメインに担当していますので、ご両親や祖父母の治療、通院でお困りのことがあれば気軽に相談してほしいです。これまでの経験から治療方法のアイデアやツールなど、引き出しもたくさん持っているので、お役に立てるのではないでしょうか。一人での通院が難しい。どうやって連れて行けば良いのかわからないなどのお悩みにも答えられることもあると思いますので、お気軽にご相談ください。