吉兼 透 院長の独自取材記事
よしかね歯科クリニック
(福岡市南区/大橋駅)
最終更新日:2022/03/23

大橋駅から徒歩で約3分と利便性の良いエリアにある「よしかね歯科クリニック」。福岡市歯科医師会の専務理事も務めるなど、地域に対する愛情が深い吉兼透院長は、生まれ育ったここ福岡市南区の地で、幅広い層の患者の健康を見守る。白とインディゴブルーの清潔感漂う外観が一際目を引く同院。明るく開放的な待合室は太陽の光がたっぷりと差し込み、訪れる患者を前向きな気持ちにさせるに違いないだろう。「安全で安心して通える歯科医院」をめざし、衛生面の管理やスタッフとの連携にも力を入れる。「僕自身、幼い頃苦手だった歯科医院。どうしたら患者さんが通いやすくなるかを常に考えてきました」と優しく語る吉兼院長に、同院のこだわりや診療への思いを聞いた。
(取材日2022年3月3日)
困っている人を助ける。家族から学んだ基本姿勢
先生が歯科医師をめざされたきっかけや、こちらに開院された経緯を教えてください。

祖父が内科医で父が小児科医だったので、幼少期から医療というカテゴリーは身近なものでした。幼い頃から将来は医療系以外の選択肢は考えていませんでしたね。兄も同じ市内で内科を開院していて、みんなで集まるとやはり仕事の話が多いです。処置のことを聞いたり診療のことを話し合ったり、また兄の医院から患者さんを紹介されることもあるんですよ。少し距離があるのですが、かかりつけ医からの紹介という安心感や、情報をより密に共有できるメリットがあるので、患者さんも信頼を寄せてくれるのかもしれません。生まれ育った大好きな福岡を離れたくなく、幼稚園から大学、研修医時代もずっとこちらで過ごしてきました。母校の福岡歯科大学総合歯科で助教を経験し、南区の歯科医院の分院長を経たのち、なじみのあるこのエリアでの開院に至りました。
どういった患者さんが来院されますか?
天神や博多からもアクセスできるので、仕事帰りに間に合うような時間まで診療しています。利便性を踏まえて閉院時間を遅めにしていますが、意外と午前中の来院数も多く、小さいお子さんから高齢者の方まで幅広く通院いただいています。当院は義歯にも力を入れており、高齢者のコミュニティーで話を聞いてという新規の患者さんも。そういった意味ではクチコミなどで来院いただく患者さんは多いですね。
さまざまな年代、症状の患者さんを分け隔てなくオープンに受け入れていらっしゃる印象ですね。

家族の影響で小さい頃より多忙な医師の世界を目の当たりにし、仕事イコール人助けという精神は根底にあると思います。常に忙しく、祖父の時代などは、患者さんから電話がかかると夜中でも自転車で往診に向かっていました。それを踏襲した父も同様の働き方で。急患の呼び出し対応のために、家族で泊まりの旅行をした記憶もないんです。そういった2人の姿から、困っている人がいれば当然助けるし、人助けをするのが仕事だという考えはしみついていますね。「歯が痛い人を助け、噛めずに困っている人を救う」これを念頭に置きながら、日々患者さんと向き合っています。
無理強いせず、患者が窮屈にならない診療をめざす
実際の診療にあたって心がけていらっしゃるのはどういったことでしょう?

この業界で診療に関してよく聞く課題が、歯科医師と患者さんの治療スタンスの食い違い。例えば患者さんは銀歯が外れて来院したのに、歯科医師は歯石取りをして、銀歯の処置は後回しにされた、などのケースです。まずは口内環境を整えた上で歯を治していくという、決して間違った診療ではないのですが、歯科医師の意図が患者さんには伝わっていない。このようなことは実際によく起こることです。そういったミスマッチを防ぐために、困り事のヒアリングは欠かせません。当院では、その上で治療のオプションをいくつか提示して、基本は患者さんに選択してもらうスタイルにしているんです。どの方法で、またどこまでの治療をめざすか認識をすり合わせ、決して無理強いをしない、患者さんが窮屈にならない診療を心がけています。
「無理強いしない、窮屈でない」とは具体的にどういった診療でしょうか。
問診票に、「口内の全体的な治療」「今気になっている箇所のみ治療」、といった希望を聞く欄を設けています。しっかりと幅広い治療を求められている方、忙しくて何度も通院できない方、まずは説明を聞いてから考えたい方、と患者さんは千差万別なのです。お一人お一人のニーズをくみ取って、適した治療プランを提案。それに納得してもらった上で治療を始めていきます。治療中も都度写真を撮って、患者さんとモニターで確認しながら進めることは意識していますね。治療前と治療後を比較することで、進捗状況を把握して成果を実感してもらうためです。お忙しい患者さんにも、本来であれば治療すべき箇所をお伝えしておくと、時間ができた時に再来院いただきやすいでしょう。細かいフォローで「どこの治療をしているのかわからない」「歯科医院は治療が長くかかる」といったネガティブなイメージの払拭を図りたいと思っています。
院長自身、幼少期は歯科医院が苦手だったとお聞きしました。

はい、実は大の苦手だったんですよ。小学生の時、親に連れられて行った歯科医院での治療中に、こっそり抜け出して自宅に逃げ帰ったこともあります。やはり漠然と「怖い」「痛い」といった印象があったのでしょうね。当院にも年齢関係なく歯科恐怖症の方はいらっしゃり、大人でも子ども時代の恐怖心がいまだに拭えない方もいます。これは心身症の一種なので、仕方がないことなのです。対処法として、痛みの軽減を目的に麻酔は細い針を使い、圧をかけないようゆっくり注射をする工夫をしています。またまずは痛みの出ていない小さな虫歯を治療してみて、少しずつ恐怖心をほぐしていくことも。歯科医院が怖いという理由で足が遠のく方の気持ちも理解できます。しかし一度虫歯になると、自然に治ることはありません。痛みがピークを過ぎて大丈夫なように感じても同様です。自身の経験も踏まえ、誰もがストレスなく安心して来ていただけるように尽力しています。
すべてはコンセプトである安全安心を実現するため
衛生面や過ごしやすい院内づくりにもこだわっていらっしゃいますよね。

開院時より滅菌器にはかなりこだわっています。当院はヨーロッパの厳しい基準をクリアした、クラスB、S、Nの3種類を導入しています。それぞれ滅菌できる範囲が違うので、細かい精密機器などはより高クラスのものを使用するといったように使い分けます。もちろん滅菌後は必ず器具をパッキングして清潔さを保っていますよ。他にもワークテーブルの上に余計なものを一切置かない、ピンセットの使い回しはしない、など当然のことですが厳密にルールを設けています。ユニットも本来であれば5台入る広さなのですが、あえて4台に。ゆったりとリラックスできるスペースを確保しています。車いすやベビーカーも入れる広さになっているので、赤ちゃんを見ながら治療もできますよ。すべては安全に安心して通院できる環境をつくるため。これに尽きます。
院内づくりの観点でスタッフとの連携した取り組みを教えていただけますか?
サブカルテを導入して、患者さんの治療計画から経過まできっちり記録しています。大学時代に自分で作成したオリジナルのものを今も使っていて。カルテは僕だけでなく受付や歯科衛生士、関わりのあるすべてのスタッフが記入していつでも閲覧できるようにしています。「トマトくらいの硬さの物しか噛めない」「ナッツ類が歯に挟まると嫌な感じがする」といった細かい情報共有や、全身を見て、歩くのが大変そうな患者さんには手前のチェアーへ案内する。なども記録するんですよ。こういった、会話の中で出た本音や隠れた症状も見逃さないように気をつけています。カルテは次回の診察前に見直して「噛めるようになりましたか」「嫌な感じはないですか」と話題にあげるようにしています。こういった心配りが、当院の一番の強みだと言えるのではないでしょうか。
最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。

虫歯になれば削ればいい、ということではなく、患者さんの歯に対する関心度を上げ、予防への意識も高めてもらうことが大切です。自分自身も歯科医院が苦手だったので、どうしたら患者さんが通いやすい歯科医院をつくれるかを常に考えて実践してきました。当院は安全安心をモットーとして、誰でも通える地域のかかりつけ医をめざしています。どうぞ気兼ねなく来院いただけるとうれしいです。