金田 庄市 理事長の独自取材記事
西大寺こじか歯科診療所
(奈良市/大和西大寺駅)
最終更新日:2024/12/26
大和西大寺駅から徒歩8分に位置する「西大寺こじか歯科診療所」は歯科・口腔外科・矯正歯科・小児歯科を標榜するクリニックだ。理事長の金田庄市先生は大阪歯科大学歯学部を卒業後、同大学の口腔診断学講座へ入局。大学病院では受診の入り口となる「診断科」部門の歯科医師として数々の症例に対応してきた。2000年に大学を離れ、三重県名張市のクリニックにて分院長として診療に従事。2005年に地元でもある現在の場所に開業した。開業後は一般的な歯科診療はもちろんのこと、インプラント治療をはじめとした自由診療にも対応している。また、現在は2025年1月の院内リニューアルに向けた改装を行っており、近隣の仮診療スぺースで診療を行っている。今回は、金田先生に開業までの歩みや診療ポリシーなどについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年12月25日)
幅広い年齢層の患者に通ってもらえるように
この地に開業したきっかけや、めざしていたクリニック像について教えてください。
私は奈良市の出身で、勤務医時代から「いずれは地元で開業したいな」と考えていました。父親が不動産業をしており、開業するのに適した土地を用意してくれたことも大きいですね。私の望む条件と合った場所を見つけてくれたので、父の厚意をありがたく受け取って、この地に開業することを決めました。当院は、開業当初から幅広い年齢層の患者さんに通っていただけるクリニックをめざしていました。お子さんも多くいらっしゃる地域なので、クリニック名は「お子さんにも安心して通っていただきたい」という思いから、親しみやすさを意識してつけました。そのほか、クリニック内にキッズスペースや待ち時間にご覧いただけるような絵本なども用意しています。
歯科医師になられた経緯についてお聞かせください。
もともとは「人の役に立ちたい」という思いから医学部への進学を志していたのですが、なかなかハードルが高く、同じ医学系の学部である歯学部も視野に入れて進路を考えるようになりました。結果的に歯科医師の仕事は楽しいと感じていますので、「あの時、歯学部も受けておいて良かったな」と思っています。大学卒業後は、当時お世話になっていた教授の「歯科診療では、診断が一番大切である」という言葉に感銘を受けて口腔診断学講座へ入局し、「診断科」といって、大学病院に初めてお越しになる患者さんの窓口となるような部門で経験を積んできました。そこでは、患者さんの症状などを診て適切な診療科へ振り分けるという役割と、けがなど緊急の症例に速やかに対応する役割があり、どちらの側面でも非常に鍛えられましたね。今でも救急対応をすることはありますが、その知識は当時培ったものが大きいと感じています。
こちらにはどのような患者さんがいらっしゃいますか。
この地域は、古くから暮らしていらっしゃる高齢の方から最近越してきた若い方までさまざまな年齢層の方がいらっしゃいますので、お越しになる患者さんの年齢層も幅広いです。お子さんからその保護者の方、高齢の方まで幅広く通ってくださっていると思います。主訴としては、痛みなど一般的な歯のトラブルでいらっしゃる方が多いのですが、歯科口腔外科も標榜しているため、「親知らずを抜いてほしい」などのご要望もありますね。最近は自由診療を希望される患者さんも増えてきました。基本的には予約制で、ご予約をいただいた方には受診日前にリマインドのメッセージを送るなど、患者さんの受診機会を逃さない工夫をしています。ただ、急な痛みやけがなどがあれば予約がなくても診療しますので、まずはお気軽にご相談いただきたいですね。
口腔内を総合的に診て診療方針を決定
診療方針についてお聞かせください。
開院して20年、知識と技術を重ねてきて、悔いの残らない治療をしたいと思うようになりました。幅広い治療をご提供するためにそれぞれの分野で専門性を高められるよう、常に勉強を続けるようにしています。そして、初診の際には患者さんに自由診療を含めたさまざまな治療の選択肢をご案内します。予後を考え、長い目で見て患者さんが長く健康な口腔内環境を保っていただけるように、きちんとした知識を持ち、ちゃんと理解した上で治療に進んでほしいからです。われわれが知っているアイデアルプラン(理想プラン)と患者さんの要望が合う治療法を選択していただけるよう、誠意をもってご対応したいと思っています。
先生が診療の上で大切にしていることについて教えてください。
私は「一口腔単位で診る」という意識を持って歯科診療に臨んでいます。つまり、虫歯など局所的に悪い部分だけを治すのではなく、その原因を探り、口腔内全体を総合的に診て治療方針を決めていくというスタンスですね。今ではさほど珍しい考え方ではなくなったかもしれませんが、私が歯科医師になった当時は、歯科医師の中でもこのような考え方はまだ浸透していなかった印象ですね。以前は痛くなったらクリニックに行き、歯を削って詰める治療を繰り返すことが当たり前でした。しかし、それを繰り返していたらいずれは歯を失って義歯になってしまうことも少なくありません。いまだに患者さんの中には「悪いところだけ治してほしい」とおっしゃる方もいますが、できる限り詳しく説明して、口腔内全体の質を高める治療をお勧めするようにしています。
患者さんに対する啓発にも力を入れているのですね。
そうですね。日本ではまだ、口腔内の健康に対する興味や関心が低い方も少なくありません。そのため、セルフケアやメンテナンスの重要性、保険診療と自由診療の違いなど、歯科診療の実態をできる限り患者さんにも説明し、ご理解いただいた上で治療を進めていくことを大切にしています。例えば、安くて早くて良い治療というものはなかなかありませんし、仮にインプラント治療など高額の治療を行っても、その後のメンテナンスを怠ってはトラブルの原因になります。勤務医時代はとにかく患者さんを多く診る必要があり、こういった説明にあまり時間を取れなかったのですが、開業後はしっかり説明を行い、信頼関係を築いた上で質も重視した診療を大事にしています。
口腔内の健康を保つサポートをしたい
先進の機材も積極的に取り入れていると伺いました。
はい。患者さんが必要な治療を受けるために都心に出向く必要がないよう、当院でできることは最大限やりたいという思いで、積極的に先進の機材なども導入しています。例えば、当院では比較的早い時期から歯科用CTを導入していましたし、マウスピース型装置を用いた矯正のための機器、詰め物の設計を行う「歯科用コンピューター支援設計・製造ユニット」なども取り入れています。また、マイクロスコープも導入しており、根管治療などの精密な治療にも対応しています。歯科用画像取得システムの導入により、患者さんにご自身の口腔内への意識を高めてもらえるようにもなりました。昨今はデジタル技術を用いた治療も盛んに行われていますので、選択肢の一つとして取り入れながら診療を行っていきたいです。
今後の展望についてお聞かせください。
開業から20年近く経過した今、自身のキャリアにとって最後の改装に取り掛かっています。ユニットも数台増やし、天井から壁、床すべて一新します。そのため、今は仮の診療所で診察しています。歯科衛生士さんの人数も増やして、予防歯科にもより力を入れられるような環境にしていきたいですね。あとは、私自身一つ一つの診療にしっかり時間をかけたいという気持ちもありますし、後進の育成という意味も込めて当院で働いてくれる方がいらっしゃれば幸いです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
前述のとおり、日本では口腔内の健康に対する意識がまだまだ低い方も少なくありません。治療はもちろんのこと、適切なセルフケア、メンテナンスを知り、ご自身の口腔内をきちんと管理できるよう、私たち歯科医師を頼っていただけると幸いです。私も患者さんがいつまでも歯を見せて笑えるように、できる限りお手伝いしていきたいですね。また私は歯科医師という職業を非常に魅力的な仕事だと思っているので、この職業について若い方に興味を持っていただけるとうれしく思います。実は私の息子も歯科医師をめざし、歯学部の2回生として勉学に励んでいます。今回の大幅改装も息子が後を継ぎたいと思ってもらえるような施設にしたい、という願いもあってのことです。若い方にとって、歯科医師が憧れの職業になったらいいなと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/44万円~、インプラント治療/44万円~、根管治療/前歯 3万8500円・小臼歯 4万9500円・大臼歯 11万円