坂田 圭史 院長の独自取材記事
abc dental
(大田区/田園調布駅)
最終更新日:2024/11/14

田園調布にある「abc dental」は、小児歯科・小児矯正を専門とする歯科医院だ。坂田圭史院長は、患者のみならず家族の期待も背負う「小児歯科」にやりがいを感じ、小児歯科・小児矯正の分野で研鑽を積んできた。治療の精度はもちろん、患者のモチベーションや家族の満足度向上にも努めている。説明の専門家であるトリートメントコーディネーターが在籍しているのも同院の特徴で、院内での検査に進む前に、トリートメントコーディネーターによる電話カウンセリングを行い、患者の疑問や不安の払拭を図る。メッセージアプリを通じて坂田院長に質問することも可能だ。「矯正のメリットもデメリットもお伝えして、一緒に考えていきたい」と話す坂田院長に、同院の特徴や診療方針について聞いた。
(取材日2024年10月21日)
子どもの成長力を利用した、将来のための口腔づくり
こちらは、小児歯科専門のクリニックだと伺いました。

はい。当院ではお子さんを対象に歯科診療を行い、中でも歯並びを主軸としています。私が2012年に「子ども専門」での開業を決めたのは、一口に「歯科治療」といっても、子どもと大人とではアプローチが異なるから。成長に伴い日々変化するお子さんの状態に合わせて、一人ひとりに十分な時間と注意を払い、適切な診療を提供していきたかったからです。そのためには、小児に特化する必要があると考えました。「患者さんだけでなく、ご家族にも向き合う」という点も、大人の診療との大きな違いです。治療の精度はもちろん、ご本人のモチベーションやご家族の満足度向上にも努め、小児歯科専門のクリニックとして良質な歯科医療の提供をめざしています。
子どもの歯科医院の受診は、何歳頃から始めるのが良いのでしょうか?
2歳半から3歳の乳歯が生えそろう頃に一度お口のチェックにいらしてください。実は小児と成人の歯並びのアプローチは、その目的が異なります。小児は専用の器具を使ったり、お口や舌の使い方のトレーニングをしたりしながら、骨格や筋肉の適切な成長を促していきます。子どもの成長力を利用して、しっかりとしたお口や歯の土台を作るということです。「成長力を利用する」という特性上、スタート時期を逃してはいけません。実際のスタートが数年後になるとしても、2歳半から3歳頃に一度検査を受けておくことが大切なんですね。成人矯正を受けた方からよく聞くお悩みに「後戻り」がありますが、理由の一つは土台がしっかりとできていないから。いくら歯列を整えるよう図ったとしても、骨格や筋肉に問題があるならば、良い状態を維持することは難しいでしょう。つまり成長力を利用して行うこのアプローチは、お子さんの将来のために行うものともいえるのです。
長い矯正期間中、子どものモチベーションを維持するために、工夫していることはありますか?

当院は「1階は楽しく、2階は診察を頑張る場所」をコンセプトに、1階にはカプセルトイを何台も並べて、見た目にもワクワクするような空間づくりを心がけています。好きなおもちゃのアンケートを取ったり、当院オリジナルの絵本や動画も制作したりしたんですよ。ご自宅での器具の装着もモチベーションに関わる部分。毎日のチェックはご家族にもご協力いただき、毎月「頑張ったお友達」をピックアップして表彰しています。それをめざして器具の装着やトレーニングに励んだり、矯正前後の写真を見てやる気が出たりするお子さんもいらっしゃるでしょう。個人差はありますが何年もかかることが多いものですから、最後までお子さんに楽しく取り組んでもらえるよう工夫を凝らしています。
患者と家族に寄り添うトリートメントコーディネーター
患者さんやご家族の不安や疑問には、どのように対応されていますか?

お子さんの歯並びへのアプローチを考える際、多くのご家族が「どのような処置をしてもらえるのか」「通院の際、小さなきょうだいも連れていけるのか」など、さまざまな疑問をお持ちかと思います。また「初診で決めなくてはいけないのか」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。当院ではまず初めに、アンケートと電話カウンセリングを設けています。対応する「トリートメントコーディネーター」は、いわば歯科医師と患者さんとのパイプ役。歯科に関する知識を持ちながら、患者さんやご家族により近い目線で、さまざまなご質問にお答えします。そこで疑問が解消され、「こちらにお任せしようかな」と思われたら、ご来院いただき検査に進み、電話カウンセリング時と同じトリートメントコーディネーターがより具体的な説明をいたします。
トリートメントコーディネーターさんが、先生と患者さんとの間に立ってくださるのですね。
そのとおりです。開業当初は私が説明役も兼ねていたのですが、受付で患者さんが「先生には言いにくかったんだけど……」と悩みを打ち明けている場面を何度か目にしました。私自身、患者として他の診療科の診察を受ける際に同じように思うこともありますから、気持ちはわかります。そこでコミュニケーションスキルに長けた「トリートメントコーディネーター」の必要性を感じ、今のスタイルとなりました。難しい説明もわかりやすく伝えてくれるので、とても助かっていますよ。患者さんやご家族からのご要望も私に都度共有してくれますし、それが良い提案にもつながっています。
先生に質問することも可能なのですか?

もちろんです。メッセージアプリからのご相談にも対応しています。当院ではお子さんの診察時に、ご家族もご一緒に診療室に入っていただくことも可能ですし、カルテも患者さんと共有しています。ホームページは私が作ったもので、当院の方針などお伝えしたいことをすべてまとめています。気になることがあれば何でもご質問ください。
多様性に向き合いながら、正直に誠実に
開業当初と今とで、患者さんの主訴や意識に変化はありましたか?

当院は2012年に開業したのですが、その頃と比べて虫歯のあるお子さんは少なくなりました。一方、歯並びに関するご相談は増えていますね。その中で特に実感しているのが「多様性」です。例えば歯並びへのアプローチの進め方に関しても、トレーニングや器具の装着についてお子さんにとても厳しく伝えるご家庭もあれば、お子さんの自主性を尊重するご家庭もあります。治療内容や期間に関するお考えもそれぞれで、ご家族の中でも意見が分かれているケースも少なくありません。そして、そのどれが正解だとも言いきれないんですね。私は小児歯科を専門とする立場として、治療の良い面だけでなく、必要な情報を包み隠さずお話ししてご判断いただくようにしています。
メリットもデメリットもお伝えして、一緒に考えていく方針なのですね。
そうですね。ご家族が迷われている時に「では、こうしましょう」と私が決めてしまうのは簡単です。ですが私は、お子さんの性格や生活スタイルを伺いながら、一緒に考えて進めていきたいと思っています。骨格や筋肉の発育状態も一人ひとり異なりますし、引っ越しや留学を控えていたり、それぞれのご家庭の事情もあったりするでしょう。メリットもデメリットもお伝えすることは、当院では難しいとの判断に至ったり、矯正そのものを断念される方もいらっしゃったりするということ。ですが曖昧なままに進めるよりは、そのほうが患者さんやご家族にとって良いのではないでしょうか。
矯正中も柔軟に対応してくださるのでしょうか?

必ずしも画一的でなく、臨機応変に対応しています。例えば器具やトレーニングにはいくつかの種類がありますが、お子さんの性格に合わないものもあるかもしれませんし、切り替えるタイミングもマニュアルどおりに進むとは限りません。データを共有してご家族の意見も伺いながら、お子さんのモチベーションも考えて柔軟に。それに対応できるだけの矯正方法を取りそろえています。
最後に読者へメッセージをお願いします。
歯科矯正はお金も時間もかかる、というイメージが大きいかもしれませんが、だからこそ私たちとしては、「子どもも大人も行くのが楽しみだと思える場所」にしたいと考えています。矯正は「口を上手に開けられるようになった」「トレーニングを毎日続けられるようになった」など、お子さんの成長を身近に感じられる時間。そうしたお子さんの一つ一つの成長をみんなで喜びながら、ここからまた一緒に頑張ろう! とより前向きに頑張れる、親子にとって大事な時間にしていくことが、私たちの理想です。楽しみながら成長できる工夫をたくさん散りばめているので、ぜひ一度ご相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/マウスピース型装置と拡大床を使用した1期矯正の場合:75万6800円~ ※詳しくはクリニックへお問い合わせください
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。