松尾 光馬 院長の独自取材記事
中野皮膚科クリニック
(中野区/中野駅)
最終更新日:2021/10/12

中野駅南口から徒歩2分のところに、2014年に「中野皮膚科クリニック」を開業した松尾光馬院長。皮膚科の大学教授であった父の背中を見て育ち、東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科で約20年にわたり勤務。口唇や性器に発症する単純ヘルペスや、痛みが強い帯状疱疹の研究や診療を専門としてきた。同院の開業後は専門領域に加え、長引きやすい乾癬の治療や、アトピー性皮膚炎、イボ、水虫、とびひ、ニキビ、しみなど一般的な皮膚疾患、美容皮膚科にも対応している。診察では的確な診断に努め、患者が最も気にしている箇所から治療を進めて信頼関係を構築していくことを重視する。「患者さんに来てよかったと満足してもらえるクリニックでありたい」と語る松尾院長に、診療の特徴や専門とする治療など話を聞いた。
(取材日2020年12月4日)
誠実な対応と専門的な診療で、患者の満足度を追求
まず、こちらを開業するまでの経緯を教えてください。

東京慈恵会医科大学医学部を卒業後、母校の附属病院の皮膚科に入局しました。父が大学の皮膚科で教授をしていたこともあって、僕にとって皮膚科はなじみ深い診療科だったのです。4年間の臨床を経た後に恩師に勧められ、富山医科薬科大学ウイルス学教室に所属し、口や性器に感染する「単純ヘルペスウイルス」と水ぼうそうや帯状疱疹を引き起こす「水痘・帯状疱疹ウイルス」の基礎的な研究を行っていました。その後、大学病院に戻り、皮膚科学講座の講師として勤務していた時に、ヘルペス専門の外来で一緒だった「立川皮膚科クリニック」院長の伊東秀記先生に声をかけていただき、分院として当院を開業しました。
どのような症状の患者さんが来院されますか。
症状は多様で、アトピー性皮膚炎、あせも、かぶれ、虫刺され、イボ、水虫、とびひ、ニキビ、しみなど一般的な皮膚疾患に加え、僕の専門でもある口唇ヘルペスや性器ヘルペス、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛などの患者さんも来られます。長期化しやすい乾癬の治療も得意としていますし、美容的な悩みにも対応しています。患者さんの年代も、子どもさんから高齢の方まで年代的には幅広いですね。地域のつながりが深く、3世代にわたって家族ぐるみで来てくださる患者さんも少なくありません。皮膚科は子どもの患者さんが多く、また当院は、ニキビ治療にも力を入れているので、比較的、若い世代の患者さんが多いのが特徴でしょうか。
こちらならではの治療がありますか。

例えば、しみの一種である肝斑は、妊娠中やピルを服用している時や、強い紫外線に当たった時に発症しやすいものです。これまで肝斑にはレーザー治療はタブーとされてきましたが、当院ではレーザーを用いた肝斑の治療を行っています。赤あざの血管腫や茶色のしみである老人性色素斑も治療可能です。ニキビの治療では赤外線を用いた温熱で炎症のある部位のケアをしています。また、治療後のニキビ痕に用いるレーザーもあり、トータルな診療が可能です。もちろん保険診療で治ればいいのですが、どうしても治りにくい場合もあります。日本のニキビ治療は遅れており、海外では日常的に用いられる薬を使えないこともあるため、保険適応外の治療が必要になることもあるのです。
帯状疱疹やヘルペス診療に高い専門性を持つ
先生の専門である帯状疱疹について教えてください。

帯状疱疹は、まず前駆痛と呼ばれる痛みの後に、体の片側に発疹が出ます。皮膚科を受診し、早期に治療を開始して痛みを早く取ることが必要ですが、頭に出た場合は頭痛、胸だと心臓の病気、背中だと腰痛などと勘違いし、内科や整形外科を受診する方も多いのです。また高齢であるほど、帯状疱疹後神経痛という痛みが残る可能性も高くなり、何年にもわたって痛みが続き、QOLが下がる場合もあります。痛みの治療は難しく、例えばピリピリする痛みと刺すような痛みでは薬の種類も変わってきます。普通の痛み止めでは十分ではないことも多いため、さまざまな可能性を考えながら、通常の生活ができるくらい痛みを抑えられるようにしていくことを心がけています。最近は、帯状疱疹を予防するワクチンも普及してきたので、高齢の方などには積極的にご提案していきたいと考えています。
単純ヘルペスについても教えてください。
口の周りや性器に発症する単純ヘルペスは、帯状疱疹とは違う種類のウイルスが原因で、口唇ヘルペスは年に3~4回、性器ヘルペスになると年に7~8回発症することもあります。そのような患者さんは再発抑制療法といって数日間、薬を飲み続ける方法もあります。発症前に薬を服用することで症状の発現を抑制し、つらい症状を回避することでQOLを維持していく点、そして他の人への感染を抑える点からもお勧めできるものとなっています。単純ヘルペスは、ストレスや風邪、口唇の場合は日光の暴露でも症状が出ることがあります。他にも免疫抑制剤、ステロイドといった免疫を抑える薬を飲んでいる人では出現しやすい傾向もありますので注意が必要です。繰り返す発症にお悩みの方は、ぜひご相談いただきたいですね。
診療する上で心がけているのは、どのようなことですか。

どのような疾患でも原因を見つけて治すというのが大切だと思いますが、そのためにはまず患者さんが一番気になっている部分を短い期間で治療し信頼関係を築いていくことを重視しています。もし長くかかる疾患であれば、治療前に長くかかる理由を説明し、薬も徐々に副作用の少ないものに変えていき、長期でも耐えられる治療に移行していくなど工夫しています。また、一見、改善したかのように見える症状にも、その状態を保つためのさらなる治療や投薬が必要な場合がありますから、理解と納得の上で治療を続けてもらえるように丁寧な説明を心がけています。なるべくお待たせせずに、かつ丁寧な診療を行うのは容易なことではありませんが、当院には、皮膚疾患ケアに専門性を持つ看護師も在籍していますので、スタッフ一同力を合わせて両立させていきたいですね。
皮膚科のかかりつけ医として、多様なニーズに対応
子どもの患者さんも多いそうですね。

子どもさんと向き合う際には、その子のペースに合わせて待つことや、親御さんの不安に寄り添うことを大切にしています。特にお母さん方は、薬に関する疑問やいつまで治療するのかといった不安をお持ちなので、スタッフにも協力してもらいながら、肩の重荷を少しでも降ろしていただけるようなサポートを心がけています。また、子どもさんに限らず、患者さんの背景をよくお聞きして、一人ひとりに合わせた治療や生活指導を心がけています。例えば、単に「1日に3回薬を塗ってください」と伝えるのではなく、患者さんの生活スタイルに合わせて、できるだけ無理なく、確実に塗れるようなタイミングを提案するなどしています。
これからの展望について聞かせてください。
皮膚科医療も進展していますから、新しい知見や治療も積極的に取り入れていきたいですね。今も母校の非常勤講師としてヘルペス専門の外来を担当しており、最新の医療に触れるためにも必要な時間だと思っています。また、もともと衛生管理は重視してきましたが、コロナ禍を受けていっそう換気や手指消毒などを徹底しています。今後は、さらに待ち時間や待合室が密になることを調整して、より安心して診療を受けていただきたいと思っています。マスク生活でニキビが悪化した方や、アルコール消毒で手荒れがひどくなっている女性や子どもさんが目立ちます。皮膚は環境や生活の変化に影響されやすいので、そうした情勢にも柔軟に対応できるクリニックをめざしていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

どのような皮膚の悩みでも保険診療をベースにしっかり診断、治療し、必要があれば自費診療も気軽に相談できる、皮膚をトータルに診ることができるクリニックでありたいと考えています。手術も得意としていますので、全身麻酔による処置が必要なもの以外は、外科的な治療もなるべく当院で完結するようにしたいと思っています。そして、患者さんに「来てよかった」と喜んで帰っていただきたいという思いから、患者さんが求めていることを最優先し、しっかりと応えていけるよう尽力しています。子どもさんからお年寄りまで、どなたにも親しみやすい皮膚科をめざしていますので、皮膚でお困りのことがあれば一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはレーザーを用いた肝斑治療/1万7600円~
ニキビ痕のレーザー治療/6600円~
赤あざの血管腫の治療/2200円~
老人性色素斑の治療/3300円~
※治療場所により金額が異なります。詳細は医院までお問い合わせください。