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瀬尾 崇 院長の独自取材記事

瀬尾クリニック

(京都市下京区/烏丸駅)

最終更新日:2025/06/04

瀬尾崇院長 瀬尾クリニック main

阪急京都本線の烏丸駅、京都市営地下鉄烏丸線の四条駅から徒歩3分にある「瀬尾クリニック」は2012年に開業。開業以来一定の新規枠を確保し、誰もが受診しやすいように環境を整えている。瀬尾崇院長は、患者が「どうなりたいのか」を尊重しながら治療計画を立て、希望や状況に合わせ薬の量を微調整しながらの「減薬」にも取り組む。クリニックに在籍するソーシャルワーカーとともに、患者の生きる力を信じ本来の力を引き出せるようサポートに全力を尽くす瀬尾院長に話を聞いた。

(取材日2019年11月11日)

患者の思い描く未来へと導く水先案内人に

開業した理由について教えていただけますか?

瀬尾崇院長 瀬尾クリニック1

以前は市内にある精神科病院に勤務していましたが、患者さんにとって精神科の「病院」は非常にハードルが高いのではないかという思いがありました。また、長年の勤務経験から病院でできることと、クリニックでできることはずいぶん違うなという考えもあったんです。病院というのは地域の外来としての役割もありますが、入院を前提にしているケースが多い。クリニックであれば外来のみとなりますので、症状の軽い患者さんはもちろん、さまざまな事情を抱えておられる方たち、精神科というハードルの高さが気になって受診につながっていない方たちのお役に立つことができるのではないかと思い、2012年に開業しました。

イルカをモチーフにしたロゴがとてもすてきですね。どんな思いが込められているのですか?

すべての人がそれぞれ力を持っているにもかかわらず、状況によりその力が発揮できずに苦しんでおられる方がいらっしゃいます。私は患者さんご自身が望む方向に進んでいっていただきたいと思って、日々診療にあたっています。テレビなどでイルカが船の横を一緒に泳いでいるシーンを観たことはありませんか? 私たちがそのイルカのように、患者さんに寄り添い伴走しながら、そして水先案内のような形で進みながら、皆さんの持っている力を引き出すサポートができればという思いを込めました。

現在の患者層を教えてください。

瀬尾崇院長 瀬尾クリニック2

年齢層は20歳前後から40代、50代が中心で、ご家族や他機関からご依頼を受けて80代、90代の方までご来院いただいております。また、私は思春期の精神医療は専門外なのですが、それを了承していただけるのであれば10代の患者さんも診ることがあります。症状としてはいわゆる精神疾患で入院していた方が退院されて通われるケースもありますが、会社や学校での人間関係などで心が苦しくなられた方も多いですね。

診療のモットー、クリニックの特色を教えてください。

私の診療の基本は、患者さんが「どうなりたいのか」「どう歩んでいきたいのか」。それをお聞きし、患者さんに備わっている本来の力を引き出すお手伝いができればと考えています。特色としては2つあり、1つは私は病院時代から、さまざまな診療を経験してきたこと。そのため、開業した今も症状によってお断りするということは、ほとんどありません。そしてもう1つは新規患者さんが受診しやすいよう、予約枠を確保していること。地域の精神科・心療内科クリニックを受診しようとしても「予約が取れない」というお話を聞くことが多かったため、当クリニックは開業当時から新規患者さんのための枠を用意しています。

状況に応じ微調整しながら減薬に取り組んでいく

貴院での薬物療法にはどのような特色がありますか?

瀬尾崇院長 瀬尾クリニック3

同じような薬でもその期待される効果や副作用はまったく違います。たとえ少しの違いであったとしても、丁寧に説明して、患者さんと一緒に選ぶということを大切にしています。ただし、例えば「睡眠薬が欲しい」と言う患者さんは薬への依存が高まっている状態。希望をそのままお聞きしても、それは問題の解決になりません。その際は「何時に就寝し、何時に起床したいのか」とお聞きし、違う戦略を立てるようにしていますね。またこれまでの経験上、減薬で症状の改善につながるケースもあるんですよ。薬には功罪があり、必ずしも患者さんのためになっていないこともあります。減薬のプロセスは患者さんご自身の希望に沿って、原則は「ゆっくりと、少しずつ」。その過程では時として症状に合わせて薬を増やさなければいけないこともありますが、その微調整を丁寧に行っています。また必要に応じて漢方薬もよく処方しております。

減薬は患者さんと一緒に取り組んでおられるのですね。

患者さんはご自分の治療や薬について、きちんと理解しないまま、薬を飲み続けておられる方も多いんです。ご自身で治療や薬を選ぶためには、正しい情報を取捨選択するというプロセスが必要。その情報を提供した上で患者さんご自身が選ぶことで「自分で何とかしよう」とする力が強まると考えています。

ソーシャルワーカーが在籍していると伺いました。

瀬尾崇院長 瀬尾クリニック4

初診時の予診は、当クリニックのソーシャルワーカーが行います。私は医療サイドですが、ソーシャルワーカーは生活サイドの視点で、日常生活の中でどんなことに困っておられるのかなど細かくお聞きします。症状だけを切り取って考えるのではなく、どんな症状が生活に影響を及ぼしているか、これまでの生活状況や経済的なことなど、どのようなサポートが必要かを考えます。それを踏まえた上で、私が診療の戦略を立てていきますが、実は医療が患者さんに対してできることはほんの少し。院外に出れば皆生活者ですから、生活の部分のサポートは大事な視点です。患者さんの事情に応じて他の機関と連携し、多面的にサポートすることができるのも、ソーシャルワーカーがいる強みですね。

「これから」を見つめ、自分らしい生き方をめざす

精神療法についてはいかがでしょうか。

瀬尾崇院長 瀬尾クリニック5

患者さんとのやりとりは、認知行動療法的な考えやブリーフセラピーの考えをベースにしています。患者さんは困難に直面している一方で、「うまくいっている場面」ももちろんあるんです。そこに注目し、解決策を探していくというアプローチですね。また「現在の状況は生育歴などに起因する」と考えておられる患者さんもいらっしゃいます。戻れない過去にこだわるのではなく、「この先はこう過ごしたい」「こうなりたい」というご自身の力が及ぶ現在に焦点を当てることに力を入れています。過去は変えられないけれど、過去に対する考え方は変えられるんです。

精神科・心療内科ですと、ご家族の方が医療機関を探されているケースも多いのではないでしょうか。

ご家族など周りの方の気持ちだけでは難しいのは事実ですから、ご本人が解決に向けて「何とかしたい」と思っていただくことが重要です。ただし、ご本人がどうしても来られないという場合には、ご家族だけ来られて相談できる枠も設けています。この家族相談だけですぐに解決につながるかというと非常に難しい問題ではありますが、家族だけで抱え込むよりはご相談いただくことで何らかのヒントをつかんでいただけるかもしれません。

心に苦しみを抱えている方々にメッセージをいただけますか。

瀬尾崇院長 瀬尾クリニック6

苦しい状況の中で「何とかやっている」ことが誰にでもあり、それを私はとても大切なことだと思っています。例えば受診を決めて予約を取り、実際に来院する。それだけでもすごいことで、それがその人の持っている生きる力なんです。「こんな状況で生きてきただけで十分に立派」という方もいらっしゃいます。これから先はもう少し生きやすく、ご本人が望むような生き方ができるように、お手伝いができればと思っています。

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