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工藤 進英 先生の独自取材記事

大阪内視鏡クリニック

(大阪市淀川区/新大阪駅)

最終更新日:2023/12/05

工藤進英先生 大阪内視鏡クリニック main

複数路線が乗り入れ、観光客も多く行き交う新大阪駅。その中心となる新幹線の中央改札からすぐの新大阪阪急ビルの7階に「大阪内視鏡クリニック」はある。駅からすぐという便利さに加え、専門性の高い技術を駆使して行う内視鏡検査が特徴。検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除も行い、患者の負担が少なくなるような検査を提供している。陥凹型大腸がんに精通するほか、院外でもAIを搭載した拡大内視鏡の共同開発に携わるなど、精力的に医療の発展に貢献している工藤進英先生が顧問を務める。今回はそんな工藤先生に、大腸がんや大腸内視鏡の今について聞いてきた。

(取材日2023年5月12日)

大腸内視鏡の専門家が率いるクリニック

このクリニックを開設したのはいつですか?

工藤進英先生 大阪内視鏡クリニック1

2013年に開設したので10年目になります。それまで東京の「東京内視鏡クリニック」や秋田の「工藤胃腸内科クリニック」まで、西日本から来院してくださっていた患者さんの負担を少なくして、通いやすいようにとの思いで新大阪に開設しました。ここは内視鏡に特化したクリニックで、大腸・胃の検査を行っています。私は昭和大学の教授として昭和大学横浜市北部病院で消化器センター長を務め、東京内視鏡クリニックと秋田の工藤胃腸内科クリニックでも顧問を務め、それぞれ診療も行っているので、この大阪のクリニックで診療を行うのは月に3日ほどですね。診療は完全予約制です。当院には私のもとで内視鏡や診断に関する技術を学んだ信頼できる医師たちがいるので、私が不在の間も安心して受診していただければと思います。

大腸内視鏡検査は検査時間が短く、患者さんに痛みをほとんど感じさせずに行えると伺いました。

軸保持短縮法という内視鏡の挿入法の考案に携わっていたこともあり、その挿入法で検査を行っています。従来のやり方だと、内視鏡を押し進めて空気を入れて腸管を伸展するので痛みを感じやすいのですが、軸保持短縮法は空気を入れずに、腸を折りたたみながら腸管を短縮しつつ内視鏡を挿入するので痛みが抑えられるわけです。空気で腸管を伸ばさないので、時間も短縮できるんですよ。私の場合、検査時間は3~5分くらい。この挿入法を行うには技術が必要となりますが、当院の医師たちはもちろん私のもとでトレーニングを受けて習得しています。鎮静薬については、患者さんのご希望を聞きながら使用することも可能です。

工藤先生のもとには国内外から多くの医師が学びに来ていると伺いました。

工藤進英先生 大阪内視鏡クリニック2

そうですね。私は陥凹型大腸がんの診断や治療に精通しているほか、患者さんの負担を少なくしたり、より正確な診断が期待できる先進の内視鏡の開発に携わっているため、それらを学ぶために、世界中から医師が来ています。海外の講習会にも招かれ、陥凹型大腸がんや拡大内視鏡に関する講演も数多く行っています。この拡大内視鏡は、これまで長年にわたりメーカーと共同で開発を続けてきた中で、これまで私が診てきた陥凹型がんの膨大なデータをインプットしたAIを搭載し、拡大率を500倍まで上げたもので、近年完成したばかりなんですよ。

陥凹型大腸がんの発見も得意とする先進的な内視鏡検査

陥凹型大腸がんとは、どのようながんなのですか?

工藤進英先生 大阪内視鏡クリニック3

ポリープは形が隆起していて、がん化してからもゆっくり年数をかけて成長していくのですが、陥凹型大腸がんは隆起せずにクレーターのように引っ込んでいて、中へ中へと食い込んでいきます。そして、発生時からすでにがんなので、すごく進行が早いのが特徴です。がんができてから一年で死亡することもある、怖いがんなんですよ。早期の陥凹型大腸がんは、ちょっと赤くなっている程度の発赤で、症例の経験数がないと見つけることがなかなか難しいです。私は長年多くの陥凹型大腸がんの症例を診てきているので、「これは怪しい」というのはだいたい見ればわかります。そこに色素をかければ、より明確になります。悪性度の高いがんなので、転移する前の早期の段階で見つけ、検査時にその場で取ってしまうことが何より大切です。

大腸がんの死亡率が高くなっているそうですが、陥凹型大腸がんも影響しているのでしょうか?

昨今の新型コロナウイルス感染症の流行で検査を控えた方が多かったことで、早期発見ができず乳がんや肺がん、食道がんなどさまざまながんで亡くなる人が増えたといわれています。中でも、大腸がんで亡くなった人の増加率は特に高いとされています。ポリープからゆっくり年数をかけて成長していく大腸がんだけでなく、発生から1年で死亡に至るまで急速に進行する陥凹型大腸がんを、検査を控えることで早期発見できなかったために、結果的に大腸がんの死亡率を大幅に上げてしまったとも考えられます。

早期発見につなげるために、拡大率の高い内視鏡の開発にも携わってこられたのですね。

工藤進英先生 大阪内視鏡クリニック4

内視鏡の開発には長年ずっと関わってきました。その中でも、近年共同開発した先述の内視鏡は画期的なもので、海外でも普及し始めています。なぜこの内視鏡を開発したかというと、私はこれまでの豊富な経験で早期の陥凹型大腸がんを発見できますが、一人では救える命に限りがあります。だから、世界中の医師がその病変を早期に見つけやすいような内視鏡があれば……と思ったんですよ。そこで、私が診てきた陥凹型大腸がんの膨大なデータと、さらに拡大率を500倍まで上げる機能を持たせました。怪しいと思った病変に対して、500倍まで拡大することで細胞核まで見えてくるので、悪性かどうかの判断がつきやすいんです。

患者も知識を持ち、定期的に内視鏡検査を受けてほしい

いつ休まれているのかと思うほど、お忙しい日々ですね。

工藤進英先生 大阪内視鏡クリニック5

もう歳だからちょっと休んだらと言う人もいるのですが、まだまだ休むつもりはないですね。学問というのは終わりがなくて、どんどんステップアップしないといけない。そして、多くの命を救うために私の技術や知識をもっと広めないといけないと思っています。そのためには、後進を育てていくことがやはり大切ですね。それは医師の役割。新しいものを発見したら、それを公開して、世界中のみんなで進歩していくことが重要なんです。「これを世界に広めないと、助かる命も助からない」というような使命感を持って、できる限りのことは頑張ってやっていきます。東京・大阪・秋田で患者さんを診ながら、国内外で後進を育て、講演も行い、内視鏡の開発もする。世界中の医療界が全体で進歩して、一人でも多くの命を守れるようになればと願っています。

患者さんへの対応など、クリニック全体で心がけていることはありますか?

患者さんに安心してもらうために、わかりやすい説明や折々に声がけをさせてもらうなど、不安を和らげられるように丁寧な対応を心がけています。先進国を訪れた際に、欧米の医療機関は「患者さんに優しく、愛情をもって接する」という姿勢が徹底していると痛感しています。当クリニックもホスピタリティーを大事にしたいという思いが強く、看護師やスタッフには笑顔を大切に、接遇に力を入れてほしいと常々話しています。技術だけでなく、あらゆる面で世界最高の医療を提供する場でありたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

工藤進英先生 大阪内視鏡クリニック6

がんの中でも大腸がんは、死亡原因として上位に入ってきます。その大腸がんも早期で見つけ、適切な処置ができれば治癒も期待できます。だから女性は30歳以上、男性も40歳になったら定期的に内視鏡検査を受けることをお勧めします。この5年で大腸がんに対する考え方も変わってきているので、患者さんも昔のままの知識ではなく、大腸がんに関する知識をアップデートして、その上で納得できるクリニックを選び、定期的に内視鏡検査を受けていただきたいですね。特にご家族で大腸がんになった人がいる場合は、よりリスクが高いので、まずは検査を受けて、ドクターと相談しながら検査の頻度を決めるといいと思います。早期の大腸がんは症状がありません。積極的に内視鏡検査を受けることが、ご自分の命を守ることにつながります。

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