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和田 真一 院長の独自取材記事

森山リハビリテーションクリニック

(品川区/荏原中延駅)

最終更新日:2020/04/01

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1946年に開業した「森山医院」が、「森山リハビリテーションクリニック」を開業したのは2013年のこと。医療費削減の観点から急性期を過ぎた患者は早めの退院を促されるようになり、万全とは言い難い状態で自宅に戻る人が増え、病院から自宅に戻る前のワンクッションとして有床診療所の必要性を感じたことがリニューアルのきっかけだという。「実情に合わないこともあるのが制度。制度の狭間に落ちた人を救いたい」と話す和田真一院長は、全人的医療に携わりたいという思いで心臓血管外科からリハビリテーション科に転科した経歴の持ち主。幅広い視点を求めて転科後に大学院に進学して公衆衛生学修士となり、福祉住環境コーディネーター等の資格も取得した。めざす医療を真摯に追求する和田院長に話を聞いた。
(取材日2016年9月30日)

病気だけでなく、生活まで含めた「患者全体」を診る

こちらの常勤になられたのは2014年からだそうですね。

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はい。非常勤としては、昭和大学病院のリハビリテーション科に在籍していた頃から勤務していて、当院の立ち上げの話も聞いていました。当時の私は、リハビリテーション科からさらに知識を広げるべく公衆衛生学を学びたいと思い、大学院に進むためにいったん医局を辞める決意を固めたところだったんです。当院と森山医院を運営するあおい會の理事長であり、森山医院の院長でもある森山直哉先生にそのことをお伝えしたところ、「それならここで常勤に」というお誘いをいただき、勤務することになりました。外来で患者さんを診つつ、入院も受け入れ、訪問もするという当院のスタイルは私がやりたかった診療の形。患者さんに提供できる選択肢が豊富であるという点で、非常にやりがいを感じています。

もともとは外科がご専門だと伺いました。

大学病院の心臓血管外科を経て民間病院に移り、大動脈外科の医師として多くの手術を手がけてきました。実は、大動脈外科というのは、あらゆる外科分野の中で最も死亡率が高い分野なんですよ。手術後に障害が残ってしまう患者さんも少なくなく、経験を重ねるにつれ、「手術だけでは幸せになれない」という思いを抱くようになりました。手術に追われるうちに、めざしていたはずの「全人的な医療を行う医師」の姿から離れかけていることに気付いたのも、転科を考えるきっかけでしたね。ちょうどその頃、医師になって10年間まったく接点のなかったリハビリテーション科の存在を知り、「自分のやりたいことはこれだ」という直感に導かれるようにして180度異なる分野に飛び込んだのです。

ハビリテーション科は、どういった点で他科と大きく異なりますか?

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そもそもリハビリテーション医学がなぜできたかというと、寿命が延びて慢性疾患が増えたという時代背景が大きく影響しています。昔は「死」と「健康」が背中合わせに存在していましたが、完全な健康体ではないけれども死に至るわけではない、何らかの疾患を抱えながら暮らす人の割合が増したことによってリハビリテーション医学が発達してきたわけですね。「病気だけ見ていても人は救えない」という視点に立った医療行為であり、住環境を含めて包括的に患者さんを診るという点が他科と大きく異なるところです。最初のうちは医師が患者さんの家に伺うということに驚きましたが、患者さんに安心して自宅で過ごしてもらうためには住環境の評価と整備が非常に重要であると知り、福祉住環境コーディネーターという資格を取得して高齢者や障害のある人にとって住みやすい環境を客観的に提案できるようにしました。

一人ひとりに「ストーリー」を語ることが重要

患者さんの生活面まで見るためには、患者さんおよびご家族とじっくりお話をする必要がありますね。

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病気や障害についてを教えてくれる医師はたくさんいますが、それらと共存する生活についてまで話してくれる医師はなかなかいません。治療法やサポートの方法から生活の仕方までをわかりやすく、総合的に伝え、病気を含めた一人ひとりのストーリーを語るのがリハビリテーション医の重要な仕事。初診でいらっしゃった方の状態を把握するには、問診だけで少なくとも30分はかかります。そこから問診で得た情報から問題点を抽出し、さまざまなパターンに対する対応策を考えて説明していくので、いかに時間をやりくりして面談の時間を作り出すかが課題ですね。

地域に密着した有床診療所という立ち位置と役割についてどうお考えですか?

当院は外来でのリハビリテーションのほか、19床の入院設備があり、急性期の治療を終えた方や手術後で自宅での生活に不安が残る方などの入院リハビリにも対応しています。都内では珍しいですね。前述したように、できるだけ入院期間を短縮する傾向にある現代においては、時代に逆行していると言えなくもありません。しかし、退院後に困難な生活を余儀なくされている患者さんがたくさん存在しているというのもまた事実です。回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟でも受け入れてもらえない、いわば制度の狭間に落ちてしまった人を救えるようなクリニックでありたいと思っています。

チーム医療も特徴ですね。

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そうですね。入院であれば医師・看護師・療法士で医療チームを編成して一人ひとりに合わせた連携を調整しますし、リハビリテーションでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を中心としたチームで早期の在宅復帰、職場復帰をめざします。チームをまとめ、采配をふるうというところは、外科との数少ない共通点かもしれません。当院が力を入れている摂食嚥下療法でも、言語聴覚士が間接・直接嚥下訓練を行うほか、医師や作業療法士と連携して多様なアプローチをしています。管理栄養士も、摂食嚥下障害がある患者さんの食欲をそそる食事になるよう「食べやすく、かつおいしい食事」を心がけて工夫を凝らしてくれているんですよ。患者さんの生活がうまくいくように、誰とでもチームを組み連携するというのが当院のやり方です。

困ったことを整理し、点と点をつなげる存在

対象となる患者さんについて教えてください。

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患者さんがより良く生きるために、医療として「生き方」を提供するのがリハビリテーションです。ですから、麻痺・切断など、機能・身体構造の障害がある方から、服の着脱をする動作や歩行に障害があり活動に制限がある方、交通機関の利用が困難だったり復職が難しいなど、生活の場への参加が困難である方まで、幅広い患者さんを対象としています。急性期病院の入院適応ではないが、在宅で過ごすのは危険な方もそうですね。発症から2ヵ月過ぎているため回復期病棟では受け入れてもらえないけれど、入院で集中的にリハビリをしてADL(activities of daily living:日常生活動作)を向上させ、早期の復帰をめざす方などにも対応が可能です。

先生は非常勤で訪問診療も行っておられるとか。とてもお忙しいですね。

リハビリテーション科専門の訪問診療を行っているクリニックでの非常勤もしています。訪問した際に、集中的にリハビリをすれば生活の改善が見込めると判断した患者さんがいれば、当院での入院リハビリをお勧めする場合もあります。それぞれの病院の特性を生かして、上手に連携していけると良いですね。当院は看取りも行っているので、急変で呼び出されることもありますが、リハビリは基本的に事前に立てた予定に従って進めていく医療です。プライベートとの両立はしやすいほうではないでしょうか。娘の塾の送迎は私の日課のようなものですし、息子とは休日に野球観戦を楽しむなど、家族との時間もきちんととれています。娘は次第に親離れしつつあり、もうそんな年齢かと嘆息することもありますが(笑)。

では最後に、今後の展望についてお聞かせください。

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患者さんはもちろん、何らかの関わりがある地域の人や病院、すべてに必要とされるクリニックでありたいと思います。どこにも言えない、どこに言ったらよいかわからない悩みを抱えて苦しんでいるケアマネジャーさんや個人病院の先生は、想像以上にたくさんいらっしゃるんですよ。リハビリテーション科は、そうした点と点を線で結び、マネジメントする科でもあります。私たちが関わることで、患者さんを取り巻く状況が改善される。さまざまな困りごとを整理できる存在として、地域に貢献できたら良いですね。

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