メリットとリスク回避に注目した
現代のインプラント治療の流れ
とくだ歯科クリニック
(枚方市/長尾駅)
最終更新日:2024/09/09


- 自由診療
しっかりと噛む、食べるといった口の健康が、健康寿命を大きく左右するといわれる昨今。その救世主の一つとして、今やすっかり定着した印象があるのが歯科で受けられるインプラント治療だ。多くの歯科クリニックが診療メニューに取り入れ、長期的な信頼性も以前より大幅に向上しているという。その一方で、適応の問題や思わぬリスクを伴うことが、いまだに不安材料となっていることもまた事実。どのようにすればリスクの少ないインプラント治療が受けられるのか、その流れを「とくだ歯科クリニック」の徳田信吾院長の解説で追ってみた。
(取材日2024年6月29日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qインプラント治療には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
-
A
失った歯を補うための方法としてはブリッジや入れ歯という選択肢もありますが、入れ歯の寿命は5~6年、ブリッジは7~8年程度といわれ、何年か先には悪くなって負の連鎖を起こす可能性があります。それに比べるとインプラント治療後は10〜15年後でも使用できるといわれており、長期間にわたって使用することが期待できます。よく問題となるコストに関しても、ブリッジや入れ歯治療を何度も繰り返すことを考えると決して高くはないと思います。早めにインプラント治療を受ければ、大がかりな手術に至ることはありません。しっかりと治療して口の中の健康を保ち、そこから先の人生を有意義に歩んでいくことが大切ではないか思います。
- Qインプラントと聞くと、さまざまなリスクが気になりますが。
-
A
悪い状態を放置するほど、手術は大がかりになり難しさを伴うもの。安全性には細心の注意を払い、CTなどのデータを入念に検討してリスクを回避する必要があります。今はコンピューター上でシミュレーションを行い、最終的な噛み合わせまで見越して精密に位置を決めます。あと、顎の骨が足りない場合には時間とコストをかけて骨造成や充填を行っていましたが、工程が複雑化してかえってリスクを招くケースもありました。近年はショートインプラントや抜歯即時埋入法など、なるべくシンプルかつ短期間に治療を進める方向に移りつつあり、当院もその方法を取っています。過去に諦めていた方も、あらためて歯科に相談してみる価値はあるでしょう。
- Q治療を進める上で、大切にしていることを教えてください。
-
A
きちんと説明を行うこと。口の中の全体像や将来のことまで、患者さんにしっかり理解してもらった上でインプラント治療を選んでただくことが大切です。手術においては何より安全第一で、患者さんに全身疾患などがある場合は治療の前に主治医と相談し、手術の可否を判断します。また、むやみに複雑な手法を採用するとテクニカルエラーの可能性も高まるため、できる限りシンプルかつ安全重視の手法を検討することもポイントです。あと、どんな方法で手術を行ったとしても、メンテナンスを怠っていたのでは長く保つことはできません。インプラント周囲炎などを予防するためにも、歯科での定期チェックやクリーニングを必ず受けるようにしてください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1カウンセリングと口腔内の検査
-
まずはカウンセリングで、治療の流れや費用、治療期間などの概要について説明を受ける。現在の自分の状況や治療に関する希望などを歯科医師にしっかりと伝え、その後の治療計画の参考にしてもらうことも重要だ。カウンセリング後は、歯科用CTや口の中の写真撮影、3Dスキャナーによる高精度な立体データの採取などを実施。詳しい結果はその場ではなく、次回の受診時に治療のシミュレーションなどとともに説明される。
- 2診断結果と治療計画の確認
-
診断結果と治療計画について、コンピューター上でシミュレーションされたモニター画像を確認しながら説明を受ける。この時点でインプラント治療に対するリスク説明と解決方法について説明を行う。歯科用CADデザインソフトなどを使えば完成イメージの確認も可能。最終的な費用や治療期間を確認し、患者へ説明書を渡し、合意が出れば本格的な治療へ進む。
- 3インプラントを顎の骨に埋入
-
治療に必要な抜歯やクリーニングなどの前処置を済ませ、インプラント体と呼ばれる金属製の部品を顎の骨に埋め込む。症例によっては抜歯した直後の埋入も可能で、「治療期間の短縮になり、骨の減少を防ぐことにもつながります」と徳田院長。埋入に必要な下穴は、事前に作製された専用のガイドに沿って開けられる。また、骨が少ない部分には、特殊な器具を使って骨を広げながら埋入する手法もあるという。
- 4人工歯を取りつけて治療が終了
-
インプラントの埋入から2ヵ月ほど待ち、骨との結合の様子を確認。安定度は感覚に頼るのではなく、ISQ値(インプラント安定指数)と呼ばれる数値によって評価される。骨との結合が確認できれば、人工歯の作製に必要な型採りを3Dスキャナーで実施。コンピューター上でデザインし、1〜2週間後に完成すれば人工歯を取りつけて治療は終了となる。細かな色合わせや微調整も院内で対応可能なのでスピーディーに行える。
- 5定期通院・メンテナンス
-
治療の1〜2ヵ月後に、歯科用CTで状態を確認。以降はインプラント周囲炎などのトラブルを防ぐために、最低でも年に2回は歯科にて定期検診とメンテナンスを受けること。インプラントを長く使い続けられるかどうかは、ケアの方法や全身疾患との兼ね合いにもよるため、いかに精密な治療を受けたとしても保証されるものではない。天然歯と同様に、常に意識しながら末永く守っていくことが大切だ。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/33万円~、グラフトレスサイナスリフト加算分/3万8500円~