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小林 英治 院長の独自取材記事

小林耳鼻科醫院

(東かがわ市/三本松駅)

最終更新日:2023/04/14

小林英治院長 小林耳鼻科醫院 main

JR高徳線・三本松駅から、車で5分ほどの場所にある「小林耳鼻科醫院」。東かがわ市では数少ない耳鼻咽喉科クリニックであり、2023年で開業10周年を迎える。イギリス風の調度品で統一された、優雅な印象の待合室は待ち時間もゆったりと過ごせそうだ。院長の小林英治先生は、15年以上にわたり地域の基幹病院で研鑽を積んできたベテランドクター。鼻科学を専門として、アレルギー性鼻炎や嗅覚障害などの臨床を行いながら、めまいや咳といった耳、喉の症状にも幅広く対応している。また診療と並行して香川大学医学部の教壇に立ち、クリニックにも大学の医師を招くことで地域連携、地域医療の活性化を図ってきた。「目標は、生涯現役。いくつになっても、医師でありたい。医療に携わりたい」と語る小林院長に詳しく話を聞いた。

(取材日2023年3月2日)

耳鼻咽喉科医の少ない東讃エリアで開業

すてきな院内に驚きました。

小林英治院長 小林耳鼻科醫院1

ありがとうございます(笑)。当院を開業するにあたって、まず基調としたのはイギリス風のたたずまいです。私がイギリスの紳士靴や衣服を好んで身につけていましたので、妻が設計の先生にそのイメージを伝えてくれました。妻にはデザイナーの友人がいましたので、2人で医院のコンセプトマップを作った上で、設計の先生に相談してくれたんです。特に待合室は居心地のよい空間に仕上がり、患者さんからは「ここでコーヒーを飲みたい」とも言われます。

これまでのご経歴と、この場所で開業した理由を教えてください。

1997年に今の香川大学にあたる香川医科大学を卒業後、同大学の耳鼻咽喉科・頭頸部外科に入局し、坂出市や三豊市、小豆島の病院での勤務を経て、2013年に当院を開業しました。東かがわ市三本松で開業したのは、当時お世話になっていた大学の教授から、耳鼻咽喉科医が少ない東のエリアで開業してほしいと依頼を受けたからです。実は自宅からは少し離れているのですが、地域医療のお役に立てるのであればと思い、この場所で開業することを決めました。東かがわ市は藩制時代からの歴史と伝統のある地域ですので、住民の方々も地域愛が強いところが魅力的だと思います。

いつ頃から医師をめざそうと思われたのでしょう?

小林英治院長 小林耳鼻科醫院2

中学3年生の時には、医師になることを決意していました。私は佐賀県の出身で、長崎県の中高一貫校に進学したんですが、この学校では親が医師という同級生がとても多かったんです。小学校は自分も含めて農家の子どもばかりでしたから、医師の親を持つ友達の家へ遊びに行くうちに、医師への憧れを強めていきました。耳鼻咽喉科医の道を選んだのは、大学2、3年生の時でしょうか。当時仲良くしていた先輩が耳鼻咽喉科に入局されて、強く勧めを受けたことがきっかけです。耳鼻咽喉科は、その名の通り耳、鼻、喉と診るべき領域がとても広い診療科です。鼻から喉にかけての上気道や、その先の気管の疾患に加え、めまいをはじめとした耳の疾患、さらには首の腫瘍なども診療対象となりますので、対応する疾患数は医科の中でもトップクラスだと思います。耳鼻咽喉科医になって20年以上たちますが、私はそれがこの科の面白さだと感じています。

率直に患者と向き合い、対話を重ねる

患者さんの層や、主訴はいかがですか?

小林英治院長 小林耳鼻科醫院3

東かがわ市にお住まいの患者さんを中心として、小さなお子さんからご高齢の方まで、広範囲の年代の方々が来院されています。主訴は季節によっても変化しますが、年間を通して多いのはアレルギー性鼻炎です。新型コロナウイルス感染症が流行してからは、めまいや耳鳴り、難聴といったストレスが原因と思われる症状に加えて、喉の痛みを含めた風邪症状を訴える患者さんも増えています。コロナ禍は少しずつ収束へ向かっていますが、ストレス性の疾患の患者さんは変わらず来られている印象です。春のシーズンの主訴は、やはり花粉症ですね。当院では毎日花粉の飛散数を計測し、受付で掲示するようにしていますが、今年は例年に比べ花粉が多いと感じています。3月はスギ、4月はヒノキ、その後はイネ科の花粉に移行していきますので、花粉症の症状がある方は引き続き注意を払っていただきたいです。

アレルギー性疾患の患者は、年々増えているのでしょうか。

そうですね。アレルギー性疾患の有病率は増え続けており、今では国民の約半数が、花粉やハウスダストなど何かしらのアレルギーを持っていると言われています。同時に指摘されているのが、患者さんの低年齢化です。中には1歳や2歳でアレルギー性疾患を発症する患者さんもいらっしゃいます。小さい頃に発症すると、年齢を重ねるごとに次は花粉、次は食べ物と、異なるアレルギー性疾患に罹患していく「アレルギーマーチ」につながる恐れもありますので、親御さんには早期発見・早期治療を啓発していきたいです。当院ではまず少量の鼻水を取って行う鼻汁好酸球検査を実施し、疑わしい結果が出た場合は、1滴の採血で41項目もの検査が可能なアレルギー検査を行っています。検査によってアレルギー性疾患の診断が確定した後は、舌下免疫療法という治療法を行うことでアレルギー反応を弱め、アレルギーマーチの防止をめざしています。

患者さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。

小林英治院長 小林耳鼻科醫院4

勤務医時代はご高齢の患者さんに注意したり、小さなお子さんを叱ったりすることがよくありました。ですが、だんだんとそんな自分を後悔するようになり、患者さんに強く言うことはやめようと心に決めたんです。ところがある時、とても暴れるお子さんが来院されました。思わず叱りつけそうになったんですが、どうにか我慢をして、「後でお母さんに叱られなさい」と言ったんですね。すると1週間後に、その子がもう一度来院したんです。初めは気づかなかったんですが、「先生、この間はごめんなさい」と謝ってくれた瞬間、あの時の子か! と気づいてうれしくなりましたね。医師が患者さんと信頼関係を築くのは難しいことです。しかし、患者さんにしっかりと治療を遂行してもらうためには、医師との信頼関係が何よりも大切だと思います。私はこれからも小言や苦口を言わず、一人の人間として率直に患者さんと向き合い、そして対話を重ねていきたいです。

大学とも連携し、質の高い地域医療を提供

研究発表も積極的に行われているそうですね。

小林英治院長 小林耳鼻科醫院5

多くの開業医は公の場で発表する頻度が少なくなりますが、私は開業医であっても、積極的に研究の成果を発表するべきだと考えています。患者さんが最初に訪れるクリニックには、一番フレッシュなデータが集まるからです。大学病院には、どうしても複数のクリニックを回った後の患者さんが来られることが多いので、症状が出てから時間がたってしまっています。予防医学などに役立つ良いデータというものは、その多くが新鮮なデータの中に潜んでいますので、最初のクリニックで得られたデータを多くの先生と共有することで、医療レベルの向上につなげていきたいですね。研究発表は自分の医療の質を保つためにも重要な活動だと考えているので、できる限り続けていきたいと思っています。

プライベートでは、たくさんの趣味をお持ちだと伺いました。

硬式テニスやチェロ、ゴルフ、俳句と趣味はさまざまありますが、最近はギターの弾き語りをすることが多いです。弾き語りには健康づくりの一面もあり、歌を歌うことで日頃から喉を使うようにしています。ギターは10歳から始めたので、一番キャリアの長い趣味になりますね。でも一番うまいのは、ドリップコーヒーの腕かもしれません。研究発表や診療を続けつつ、いずれはカフェのマスターになるという夢もあります。

今後の展望と、読者へのメッセージをお聞きしたいです。

小林英治院長 小林耳鼻科醫院6

当院では香川大学医学部と連携して、私自身が非常勤講師として講義を行うとともに、月に2回は大学の医師に診療をしていただいています。大学に行かずして、大学レベルの医療を受けられるということは、患者さんにとってもメリットが大きいはずです。大学の医師にとっては開業や事業承継のきっかけとなり、ひいては地域医療の底上げにつながると考えています。今後は大学だけでなく、企業や行政ともコミュニケーションを取りながら地域の連携を広げ、高度な医療を簡潔に提供できるようにしていきたいですね。当院は今年で10周年を迎えますが、今後10年はさらに自分の理想とする地域医療を模索していくつもりです。いつか、院長の立場を退いたとしても、医師を辞めるつもりはありません。患者さんとの信頼関係を第一に、生涯現役で頑張りますので、これからもよろしくお願いいたします。

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