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小原 太郎 院長の独自取材記事

小原りぼんクリニック

(大田区/久が原駅)

最終更新日:2019/08/28

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緩和ケアを手がけるために医師を志したという「小原りぼんクリニック」小原太郎院長。大学卒業後、緩和ケアが必要になるがん患者の多い消化器内科に入局し、さらに市中病院のホスピス、訪問診療を行うクリニックでの勤務を経験した後、出身地でもある久が原で開業。小原院長は「患者さんやご家族が不安な時、いつでも駆けつけることができるのが、本来の訪問診療であるべき」と、一般的には16km圏内で訪問診療を行うクリニックが多い中、同院から2km圏内に限って訪問診療を行い、身近な地域での密度の濃い訪問診療の実践を心がける。超高齢社会の地域医療を担う小原院長に、訪問診療や緩和ケアにかける思いやクリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2018年9月26日)

久が原で在宅医療・緩和ケアを専門に手がけるドクター

まず、訪問診療を志したきっかけや開業までの経緯を教えてください。

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ホスピスや緩和ケアに興味があり、医師を志しました。大学卒業後は、母校の関連病院の消化器科に入局しました。消化器科はがんの方が多いため、緩和ケアにいちばん近いのではないかと考えたのです。しかし、内視鏡検査などが中心で、あまり緩和的な治療ができなかったので3年で辞めてしまいました。今となっては、もっと学べばよかった、もったいなかったと少し後悔しています。若かったんですね(笑)。その後、緩和ケアに取り組む東京衛生病院に移り、一般内科とホスピスの診療に関わりました。ただ医師としてもっと研修が必要と感じていたので、途中、都立府中病院ではERと内科の研鑽を積みました。その後、開業を視野に入れて、訪問診療を手がけるクリニックに勤務して勉強しました。

開業された際の思いやこだわりをお聞かせください。

訪問診療だけにしようと思っていたのですが、歯科医師でもある父から「せっかく開業するなら、外来診療もしたほうがよい」と勧められ、外来診療の時間も設けました。訪問診療は、通院できない要介護状態の方など、一人では通院が難しい方が対象です。がんの終末期の患者さんもいらっしゃいます。この場所は、ちょっとわかりにくい場所なのですが、外来診療の患者さんが多く来られると、ありがたい反面本業の訪問診療の時間が確保できないので、ちょうどいい感じかなと思っています。院名は、開業する前に家族で考えたのですが、開業当時幼かった娘がりぼんが好きだったこと、覚えやすいですし、患者さんと病院を結びつける、つなぐ、包むというイメージを込めてこれに決めました。

クリニックと訪問診療の特徴を教えてください。

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外来には、風邪など一般内科の方や、生活習慣病で遠方のクリニックまで行くのは大変というような近所の方が来られます。訪問診療は、困ったときにすぐに駆けつけるというのを強みとしたいと考えているので、クリニックから2km圏内のなるべく近い方を対象とし、いつも携帯電話を持って24時間対応できるようにしています。一人ですから対応に限りはありますが、いつも私が電話に出るという安心感を持っていただけると思います。雨の日や少し遠いところは車で出かけますが、ほとんど自転車で、聴診器や採血の道具、ポータブルの超音波検査器など医療機器をリュックに詰めて出かけます。自転車の方が小回りもきいて、駐車場を探す手間もなく、むしろお伺いできるのが早かったりするんですよ。

最後まで自分らしく過ごすための訪問診療をめざす

診療される上で、大切にされているのはどのような点ですか。

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医師として最適だと思うことは提案しますが、自分の考えを押しつけず、最終的には、患者さんの選択を重視したいと思っています。緩和ケアは、苦痛を和らげるのはいいことだという考え方ですが、それは一つの価値観であって正解ではありません。緩和ケアではなく、病気と闘いたいという方も、生き方や信念を大切にしたいという方もおられます。よく話し合って患者さんのお気持ちを尊重したいと思っています。またご家族とよくお話をすることも大切にしています。ご家族の介護など条件がそろわないと在宅医療は難しいので、ご家族やご本人にとって訪問診療より、病院や施設のほうがよいと判断したらそれをご提案します。患者さんのお気持ち、ご家族のご苦労を優先して、柔軟に対応したいと考えています。

病院や地域の医療関係者とどのような連携をされていますか?

近隣の荏原病院や池上総合病院からは訪問診療を依頼されることもあり、こちらから担当する患者さんの入院や診察をお願いすることもあります。また訪問診療の対象となる患者さんは、さまざまな病気やトラブルを抱えられていることがほとんどですから、消化器内科出身の私では対応できない場合もあります。ですから、多くの病院や専門領域のドクターとのコミュニケーションを大切にし、いざという時に連携できるようにしています。地域の訪問看護師やケアマネジャーの皆さんとの連携も重要ですから、普段からコミュニケーションをよくとり、信頼関係を構築していくように心がけています。

開業して5年を経て、どのような思いがありますか?

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勤務医時代、ホスピスでの診療もやりがいがあり、優秀なスタッフと仕事ができて学ぶことが多く、有意義だったと思います。ただ勤務医と開業医を経験して、自分の考えで進めていけるという点で、やはり開業してよかったなと思いますね。また緩和ケアには終末期というイメージがありますが、最近は治療と並行して、つらさをとる、本来の緩和ケアが広まりつつあります。緩和ケアは単に過ごしやすくする、痛みをゼロにすることではなく、あくまで自分らしい生活を送ることが一番の目的だと考えています。痛みは取れたが動けなくなったというのは、緩和ケアとしてはあまり成功ではないのではないかと思うんです。あくまでも自分らしく生活していただくために痛みや苦痛を少しでも減らし、緩和ケアにより患者さんの望まれる生活を実現したいと思いますね。

患者の気持ちや家族の負担を優先した医療を提案

24時間対応で、先生ご自身は大変ではないですか。

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実際に夜中に往診するのは月に2、3回で、あとは電話の対応がほとんどなんですよ。今のところ、続けられないぐらい大変ということはないですね。キャパオーバーになり迷惑をかけることは避けたいので、自分の力量を考えて、担当する患者さん数を少なめにすることは心がけています。患者さんの体調が落ち着いていれば時間の余裕はありますし、まったく家に帰れないとか休日も仕事をしているというようなことは、あまり多くないですね。実際には勤務医時代の方が忙しかった印象があります。妻は看護師で、外来診療を手伝ってもらっています。プライベートの時間が取れる時は、私も子どもの送り迎えなどを手伝うので、自分自身の時間は今はあまりないですね。

今後の展望や課題についてお聞かせください。

訪問診療や看取り、認知症ケアをライフワークにしていきたいです。クリニックを大きくすることは考えず、一人の医師で対応できる範囲の地域で、手厚い訪問診療を行いたい。その方向性を変えていくつもりはないのですが、私自身も年を取りますから10年後に今と同じように動けるとは限りませんので、その時の対応は課題になってくると思います。またこの患者さんにはこういう助けが必要と思っても、保険診療のルールの中ではうまくできない場合があるのが課題ですね。老老介護のケースなど、ご家族の限界とご本人の思いが必ずしも一致しないことも訪問診療の難しいところです。限りあるマンパワーや医療資源の中で、いかにクオリティー高くお役に立っていくかということを意識していますが、難しいところではあります。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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当院は小さなクリニックですが、一人の医師が一人の患者さんとずっと関わっていける、頼っていただける訪問診療を行っています。高齢の方や重症の方々に対して、今の時間をできるだけ楽しく快適に過ごしていただけるようにお役に立ちたいと考えています。そして、医療が最優先ではなく、あくまで患者さんの生活があって、その中に医療があると考えています。例えば、お酒や甘いものの楽しみも患者さんから奪ってしまうような指導ばかりではなくて、あくまでも生活を楽しむことを尊重し、その中でできるだけ健康に過ごしていただくお手伝いをしたいと考えています。繰り返しになりますが、患者さんやご家族のお気持ちを優先することを心がけ、気軽に頼っていただける存在でありたいと思っています。

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