中野 幸子 院長の独自取材記事
ぐんぐんキッズクリニック
(堺市北区/なかもず駅)
最終更新日:2026/02/13
なかもず駅・中百舌鳥駅から徒歩3分。ログハウスを思わせる木のデザインが印象的な「ぐんぐんキッズクリニック」は、地域の子育て支援をしたいという強い思いから誕生した。院内は来院する子どもたちが笑顔になるよう随所に工夫が施され、遊び心あふれる空間が広がっている。「テーマパークとまではいかなくても、来てくれた子どもたちが少しでも笑顔になってくれたら」と話すのは、明るい笑顔が印象的な中野幸子院長。自身も3人の子育てに奮闘する母であり、その経験を生かしながら病児保育や発達支援、食事支援にも力を注いできた。開業から13年、地域の親子に寄り添い続けている中野院長に、クリニックに込めた思いや日々の診療について話を聞いた。
(取材日2026年1月21日)
こだわりの空間で、働く父親と母親に安心を
まずはクリニックについて聞かせてください。

当院は2013年に、「お子さんのことなら何でも気軽に相談できるクリニック」をめざし、夫と2人で開業しました。2015年には医療法人化し、南区に分院の泉ヶ丘院を開設。2021年からは、夫が泉ヶ丘院の院長、私が本院の院長として泉ヶ丘院と連携しながら診療にあたっています。
木のぬくもりが感じられるかわいい院内ですね。
小児科は「行きたくない場所」になりがちですが、ワクチンや健診など、子育てに欠かせない存在です。だからこそ少しでも子どもたちが安心して、楽しい気持ちで来られる場所にしたいと考え、あえて医療施設の内装をあまり手がけていない業者さんにお願いし、大好きなキャンプ場をテーマに院内を作っていただきました。診察室はログハウスのような三角屋根にしたり、木の素材を多く取り入れたりと、遊び心のある空間です。季節ごとの装飾はスタッフがアイデアを出し、誕生日のお子さんには専用のステッカーを貼ってもらうなど、ちょっとした楽しみも用意しています。ここに来ることが子どもたちにとって少し特別で、前向きな体験になればうれしいです。
2階には予防接種・健康診断のワクチンルームもあります。

予防接種や健康診断などで元気な子をクリニックに連れてくることに対し「風邪をもらってしまったら……」と来院を躊躇される方も多いと思います。時間と場所を分けることで安心して来ていただけると考え、専用ルームを設けました。この場所は子育て相談やワークショップの場としても活用しています。
さらに、病児保育室も併設されていますね。
病児保育室は、開業にあたり「ぜひやりたい」と強く思っていた取り組みの一つです。そのため、1人目を妊娠中から保育士資格の取得に向けて勉強し、保育士資格も取得しました。対象は生後6ヵ月から小学校6年生までで、最大12人。私自身、3人の子育てをしながら働いてきましたので、朝起きて子どものおでこが熱いと「あー、どうしよう」と悩んだり、職場に申し訳ない気持ちでいっぱいになっていました。新型コロナウイルスの流行を通して、感染症への意識や社会の状況は変わりましたが、それでも共働き家庭が多い現状は変わりません。子どもの体調不良は避けられないからこそ、安心して頼れる場所をつくり、働くお父さん・お母さんの支えになれたらと思っています。
食物アレルギーや発達に関する相談にも対応
特に注力している診療はありますか?

小児科疾患全般に対応していますが、特にご相談が多いのがアレルギー疾患と発達に関する診療です。中でもアレルギーについては、子どもたちに「食べる楽しみ」を感じながら成長してほしいという思いから、食物アレルギーの診療に力を入れています。当院では、内服薬や吸入薬など救急対応が可能な体制を整えた上で経口負荷検査を実施している他、アトピー性皮膚炎や家族歴があるお子さんや、摂取に注意が必要と言われたお子さんが初めて食べる食材を摂取する際のサポートも行っています。「アレルギーが心配」という気持ちはとても自然なことですが、初回摂取の時期を過度に遅らせてしまうと、かえってアレルギーの発症リスクを高めてしまうこともありますので、ぜひ気軽にご相談ください。
アレルギーの有無に限らず、子育てにはたくさんの不安がつきものですよね。
本当にそのとおりで、ミルクをあまり飲まない、離乳食が進まない、体が小さいなど、悩みは親子の数だけあります。だからこそできるだけ丁寧に説明し、少しでも安心していただけるよう寄り添うことを大切にしています。ただ、通常の診療時間だけでは十分にお話しできないことも多いため、発達や発育を継続的にフォローする「赤ちゃんの外来」を開設しました。赤ちゃんの外来では、お子さんの健康や成長に関することはもちろん、お父さん・お母さんが感じている不安にもじっくり向き合っています。抱っこ紐などの育児グッズの選び方でも、成長や発達の面からみるとあまり望ましくない場合もあるので、こういったことも気軽に相談してほしいです。また、離乳食をサポートするお食事会を開催し、管理栄養士や作業療法士といった専門職から直接アドバイスを受けられる機会も設けています。
発達障害についてはいかがですか?

発達障害への理解が広がったことで、ご相談は年々増えていると感じます。特に幼稚園や保育園など集団生活が始まる頃、「周りと比べて違うのでは」と不安になる保護者の方が多いです。当院には発達障害や心身症が専門の医師が在籍し、専門的な視点での評価や診断、処方に対応。また、療育などの専門機関と連携し、その子に合った支援につなげています。相談をきっかけに、親御さんとお子さんが過ごす時間が安心して楽しめるようになればうれしいですし、私たちにとって大きな励みにもなります。今はインターネットやAIで多くの情報が得られる時代ですが、悩む人の言葉の奥にある思いや背景までくみ取り、寄り添えるのは人だからこそ。私たちにしかできないサポートを続けていきたいです。
子育ての伴走者として、親子の笑顔をサポート
診療の際に心がけていることはありますか?

病気のお子さんに対して、より良い医療を提供することはもちろんですが、私は一緒に来院されるお父さん・お母さんの気持ちにも寄り添いたいと考えています。そのため、診察の最後には必ず「他に聞きそびれたことや、気になっていることはありませんか?」とお声がけするよう心がけています。自分からは聞きづらいけれど、実は心配していることはたくさんありますよね。アレルギーのことや発達に関することもそうですし、特に初めての子育てではわからないことばかりだと思います。私は、そうした些細に思える不安こそ聞かせてほしい。病気でなくても、「ちょっと顔を見てもらえたら安心だから」と来院し、笑顔で帰ってもらえるのが一番です。
開院10周年には、大規模なイベントも開催されたそうですね。
私たちが日々診療を続けられているのは、皆さんからの温かい声援や支えがあってこそ。そこで感謝の気持ちを少しでもお返ししたいと思い、「ぐんぐんフェス」と題した記念イベントを2023年に開催しました。当日は、動画配信者の体験や縁日、バルーンアート、スタンプラリーなどを、たくさんの親子に楽しんでもらうことができました。開院当初に当院に来てくれていた子がすっかり大きく成長している姿を見られたのも印象的でしたし、気づけば私の身長を追い越している子がいて驚かされる場面も。一人ひとりに思い出があり、とても温かく励みになった一日でした。またこんな時間を迎えられるよう、次は20周年を目標に一日一日を積み重ねていきたいです。
それでは最後に、地域の親子にメッセージをお願いします。

子育ては楽しいけれど、大変なこともたくさんあると思います。だからこそ「病気を診る」だけではなく、育っていく「環境」や「心」にも寄り添いたいと思っています。病気の心配はもちろん、元気な時の些細な不安やアレルギー・発育に関することにも寄り添っていきます。また、アレルギー治療では舌下免疫療法にも対応しており、症状が安定すればオンライン診療も活用できます。つらい症状を我慢し続けるのではなく、一緒に向き合っていきましょう。子どもたちには「食べる喜び」を感じながら、ぐんぐん成長してほしいと願っています。また、私は開業医の家庭で育ち、内科医として長年、患者さんの人生に寄り添ってきた父の背中を見て育ちました。子どもを臓器や症状で分けるのではなく、成長発達を含めた全体を診る“子どもの総合診療を行う医師”として、親子の成長に長く伴走できる医師でありたい、という思いで診療を続けています。

