ダニアレルギー性鼻炎に対する
舌下免疫療法
くにとも耳鼻咽喉科
(さいたま市見沼区/大和田駅)
最終更新日:2021/10/14


- 保険診療
くしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状に、一年中悩まされるダニアレルギー性鼻炎。しかし、それが普段の自分だと思い、我慢をしている人もいるのではないだろうか。そして、それらの症状に根本的にアプローチをしていく方法として、舌下免疫療法がある。実際に、ダニアレルギー性鼻炎に対し3〜5年間と長期間にはなるが、1日に1回薬を飲むだけで、日常的に薬を服用する必要がなく、鼻の不快な症状にアプローチしていくという。そこで今回は、長年にわたってアレルギーの免疫療法に取り組んできた「くにとも耳鼻咽喉科」の國友万由美院長に、ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法について、詳しく解説してもらった。
(取材日2019年9月10日)
目次
舌下免疫療法で、くしゃみや鼻水、鼻詰まりのない快適な生活をめざす
- Qダニアレルギー性鼻炎について教えてください。
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A
▲患者の話を優しく丁寧に聞いてくれる、國友院長
アレルギー性鼻炎は、スギをはじめとする花粉やハウスダスト、カビなどの物質が原因となって起こります。その中でダニが原因となって、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状が出るのが、ダニアレルギー性鼻炎です。ダニアレルギー性鼻炎は、花粉が飛んでいる時期だけ症状が出るスギ花粉症とは違い、通年的に症状が出ることや、特に部屋の掃除をしたり、布団を畳んだり、押し入れの整理をしたりした時症状が強く出たり、朝に症状がひどくなるモーニングアタックが起きるという特徴があります。アレルギー性鼻炎はさまざまな物質が原因となりますので、血液検査などで自分が何に対するアレルギーなのかを正確に知っておくことが重要です。
- Qアレルギー性鼻炎になる原因は何ですか?
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A
▲パンフレットや手作りの資料を用いて説明してくれるので安心だ
人間には、細菌やウイルス、食物、ダニ、花粉などが体の中に入ってくると、これを異物として認識して攻撃し、排除するという免疫反応があります。しかし、その免疫反応が強過ぎて、人体にあまり害がないものに対してアレルギー反応を起こしてしまうことでアレルギー性鼻炎になるのです。ダニアレルギーの場合は、空気中に舞っているダニの死骸やフンなどが鼻から体内に入ったことで体がアレルギー反応を起こし、鼻水を大量に分泌して押し流そうとしたり、くしゃみで外に出そうとしたり、鼻を詰まらせて、異物が奥まで侵入しないようにしているのです。アレルギーのなりやすさには個人差があり、ある程度は遺伝が関係するとされています。
- Qどんな治療法がありますか?
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A
▲一人ひとりの患者に寄り添い、丁寧な診療を心がける
まずは、ダニアレルギー性鼻炎の原因となる物質(抗原)からの回避です。部屋をこまめに掃除して、ダニのフンや死骸が含まれている部屋の埃(ハウスダスト)をできるだけ取り除くことが大切です。次に薬物療法があります。抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬と呼ばれる種類の飲み薬や点鼻薬で症状を抑えることをめざします。しかし、それらを使用してもあまり症状に変化がない場合は、免疫療法があります。ダニアレルギーの原因であるダニの抗原を少しずつ体内に投与することで体に慣れさせ、アレルギー反応を根本的に抑えることを目的とした方法です。免疫療法は、アレルギー症状がひどくなくても、本人が希望すれば受けることが可能です。
- Qダニアレルギーの舌下免疫療法について教えてください。
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A
▲経過を観察しながら少しずつ体を慣らしていく舌下免疫療法
アレルギーの原因であるダニの成分が入った錠剤を舌の下に投与することで、アレルギー反応を抑えることをめざす治療法です。抗ヒスタミン薬などによる治療が対症療法なのに対し舌下免疫療法は、アレルギーへ根本的なアプローチをしていきます。治療では、まず錠剤を舌の下に置きます。錠剤はすぐに溶けてなくなりますが、唾液を1分間もしくは2分間保持した後に飲み込み、その後5分間うがいや飲食は控えます。これを1日に1回行います。治療の継続は3〜5年間が勧められていますが、一定期間適切に治療を行えば鼻以外の喘息などの症状に対しても効果が期待できますし、新たな抗原のアレルギーになる抑制につながることが報告されています。
- Q副作用などはありますか?
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A
▲事前に資料をよく読み、治療を始める
口の中や、喉にかゆみや痛みが出たり、腫れたり、耳の中がかゆくなったり胃の不快感が出ることがあります。通常はしばらくすると治まりますが強い症状が続くときは医師と相談することが必要です。また注意すべき副作用として喘息発作や喉の奥の腫れによる呼吸困難がごくまれにあります。アレルギーの副作用で最も重篤なものはアナフィラキシーといってじんましん、腹痛嘔吐、呼吸困難、血圧低下、意識消失などですが、ダニ舌下免疫療法は注射による免疫療法と比べて頻度が低く国内での報告は数例です。また、投薬の時間に厳格な決まりはありませんが、重い副作用が出たとき、速やかに医療機関を受診できるよう、朝や昼間をお勧めします。