青木 悟 理事長の独自取材記事
青木中央クリニック
(川口市/南浦和駅)
最終更新日:2024/05/17
南浦和駅東口からのバスで柳崎中央下車徒歩1分、敷地内に23台分の大型駐車場を完備する「青木中央クリニック」。理事長の青木悟先生は間もなく100周年を迎える医療法人青木会の4代目だ。浦和にある本院ではスペースの制約もありできなかったことをすべて実現しようと、10年前に分院として開業した。多様な診療科を標榜しているのが特徴だ。6つの診察室の前には広々とした待合室があり、午後の診療が始まる前にすでに多くの患者が訪れていた。即日検査可能なMRI、全世代に対応できるリハビリテーション室などを備え、充実した医療を提供している。理事長室を緊張して訪れた取材チームを気さくな笑顔で待っていてくれた青木理事長に、詳しく話を聞いた。
(取材日2023年8月29日)
間もなく100周年を迎える医療法人で2013年開業
まず、ご経歴を教えてください。
両親とも医師で、間もなく100周年を迎える本院「青木医院」の4代目として期待されて育ちました。実は、医学部附属の高校にも合格していましたが、父から「若いうちに多くの人と接することは財産になる」との助言もあり、伊奈学園総合高校の1期生として進学しました。岸中学校、伊奈学園総合高校では勉強よりもサッカーに夢中でしたね。当時バイオテクノロジーにも興味がありましたが、すでに姉が医学生だったこともあり、結局は僕も同じ道に進みました。帝京大学医学部附属病院、上尾中央総合病院などで研鑽を積んだ後に本院を継承しましたが、入院病棟がないことや、MRIやCTは他院へ依頼するため時間がかかってしまう点がなどもどかしかったですね。そういった問題点をクリアしてより良い診療を提供したいという思いで2013年に分院として当院を開業しました。
こちらにはどのような特色がありますか?
MRI即日検査ができて、その日のうちに検査結果を患者さんに説明できるのは大きな特徴といえるでしょう。その他、CT、エコー、内視鏡など先進の検査装置をそろえ、早期発見、早期治療をめざしています。皮膚科、内科、脳神経外科、泌尿器科、歯科などを標榜していますが、整形外科とリハビリテーション科は休日診療もしていて年中無休です。最初からすべてそろっていたわけではなく、地域で足りていないものを見つけ次第できるだけ迅速に対応してきた結果、現在のような総合クリニックになりました。通院できなくなったら訪問診療、在宅が難しくなったら青木会のグループホームへの紹介も可能、というようにご高齢の方とそのご家族のためのシステムづくりにも力を入れています。
なぜ、院内で医科歯科連携しようと思われたのでしょうか?
歯周病は脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎、骨粗しょう症などのリスクを高めるといわれています。全身の健康を守るためにも医科歯科連携は重要と考え、10年前から取り組んできました。院内に歯科があれば、例えば整形外科の受診ついでに立ち寄ってもらえるので、患者さんの手間が少なく歯も守ることができます。また、通院が困難になってしまった患者さんには訪問歯科も対応しています。その場合も歯を診るだけではなく、全身の状態に注意を払い、必要があれば直ちに医師と連携し、診察が受けられるようにしています。健康な口腔環境を維持できれば、全身の健康を守るだけではなく、食べられる幸せも続き、QOLの向上も見込めるのではないでしょうか。医科歯科連携は今後さらに強化していきたいと思っています。
全世代に対応できるリハビリテーション室を完備
ワンフロア以上を使用した広いリハビリテーション室がありますね。
これも、近隣にリハビリテーションができていない方が結構いらっしゃるなと気づき、始めたことなんです。今では約40人の理学療法士がいて必要な機器もひと通りそろい、全世代どのような状況の患者さんであってもリハビリを提供できる環境を整えました。スポーツをする子どもたちも大勢通っていて、ケガの再発防止やパフォーマンス向上に注力していますし、中高年の方は体幹トレーニングなどに取り組まれています。介護保険を使用したリハビリテーションにも対応していて、デイサービスや訪問でも利用可能です。年齢を問わず末期がんの方へのリハビリテーションもしているのですが、座ったり、寝返りを打ったりと、できる動きを少しでも維持してその人らしい時間を長くするのも大事だと思っています。このようにリハビリテーション一つとっても全世代に対応していますし、さまざまな患者さんがいらっしゃるのも当院の特徴です。
幅広い患者層に何を大切にしながら接していますか?
患者さんの笑顔です。皆さん、どこかしらが悪くて来ているわけですから、治療が終わった後の笑顔は何にも代えがたいですね。特に認知症の方は叱られたりするほど悪化するというデータもあるので、診療中に必ず1回は笑顔を引き出すようにしています。患者さんが大事にしているキーワードを見つけてカルテに書いておき、毎回、そのお話をして笑顔を頂けるように工夫していますね。その他、どの患者さんのお話も雑談も含めてしっかりと耳を傾けるようにしていますが、これは姉の影響もあるかもしれません。母と同じ皮膚科の医師だった姉は、とても優しい医師でした。僕にはとても厳しかったのですが(笑)。もっと一緒に頑張っていきたかったのですが他界してしまいとても寂しいです。僕のように会話重視の医師もいれば、黙々と治療に集中する医師もいて、患者さんは選択できますし、スタッフが個性豊かなのも当院ならではでしょう。
仕事と家庭の両立支援や女性の活躍推進にも積極的に取り組んでいるそうですね。
患者さんはもちろん、スタッフも幸せでいなくてはならないと思っています。そこで、当院を含む医療法人青木会ではどうやったらより働きやすくなるかを皆で考え、企業内保育園を作るなど多様な働き方を支援する取り組みを続けてきました。その結果、最初は10人のスタッフからのスタートでしたが今では法人内で約450人まで成長できたのだと思います。よく当院も「職員の雰囲気が明るい」と言われるのですが、マニュアルなどは作っていません。スタッフの中には本院から当院に来てくれて勤続合計50年以上の看護師さんなどもいますし、自然と昔から大切にしてきたことが一人ひとりに広がっているのではないでしょうか。
手術室稼働や専門の外来拡張でこれからも進化をめざす
今後の展望をお聞かせください。
膝、脊椎、リウマチなど専門の外来を拡張して、より深い診療を提供していきたいと考えています。また、開業当初から本格的な手術室も備えているのですが、いよいよ稼働させることができそうなので、人工関節術や椎体形成術なども院内で実施していきたいです。一方で、これまでどおりに病診連携を密に行って、患者さんをしかるべき病院につなげる窓口としての機能も守り続けます。紹介先で手術などを終えた患者さんが経過観察やリハビリテーションのためにいつでも戻ってこられる場所でありたいです。また、健康診断もしっかりと受けてほしいので、フロアの一部を健診部門にしようという構想もあります。ご本人はもちろんご家族の笑顔を守るためにも、予防にも力を入れていきたいですね。
お忙しい毎日ですが休日はどうお過ごしですか?
大学時代から20キロ太ってしまったのでサッカーはもうしていませんが、休みの日はもっぱら釣りですね。剱崎で真鯛、銚子でヒラメなどを釣る船釣りを楽しんでいます。釣った魚を持っていくと、すぐにさばいて食べさせてくれる寿司屋が浦和にあるんですよ。やはり、釣りたてはおいしいですね。だいたい、夜中の12時頃に出発して車を1〜2時間運転、早朝からお昼くらいまで釣りというハードスケジュールなんですが、サッカーで培った体力が趣味にはもちろん、診療にも役立っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
ご自身はもちろん、お子さんやご両親などご家族のどなたかに気になることがあるならば、ぜひ一度来てください。引き出しの多さが当院の強みでもあるので、どんなお悩みでもお役に立てると思います。例えば、僕自身、専門を整形外科としながらも介護保険も熟知していますし、身内をがんでなくした経験もあるので、何でも相談してください。入院などもできますが、しかるべき病院への紹介も積極的に行っています。健康を守るための「地域の窓口」として活用してほしいです。どんな方でも、本院の時代から大切にしてきたおもてなしの心でスタッフ一同お待ちしています。