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辻 直子 院長の独自取材記事

セルポートクリニック横浜

(横浜市中区/馬車道駅)

最終更新日:2019/08/28

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重厚な洋館が点在する横浜・馬車道地区。みなとみらい線の馬車道駅から徒歩3分の「セルポートクリニック横浜」は、脂肪細胞に含まれる幹細胞を使った脂肪注入手術「CAL組織増大術」を専門とする高度美容外科クリニックだ。院長の辻直子先生は東京大学付属病院を皮切りに複数の大病院で形成外科医の経験を積んできた。なかでも乳房再建に関しては多くの症例を扱ってきたエキスパートである。女性のアイデンティティーを損ないかねない乳がん手術。その後のQOLを守るため自身の技術と経験を大いに生かし、患者の心に寄り添う診療に努める。そんな辻先生のもとをたずね、従来よりも一歩進んだ乳房再建手術CALの特徴や乳房再建に注ぐ熱意などをじっくりと伺った。
(取材日2012年2月10日))

幹細胞の機能に着目した最新の高度美容外科手術「CAL」

こちらで行われている高度美容外科医療とはどのようなものですか?

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患者さんご自身の脂肪由来幹細胞(幹細胞)を使った「CAL(Cell Assisted Lipotransfer)組織増大術」という脂肪注入手術を専門に行っています。CAL=キャルと呼ばれる技術は、例えば乳がんで失った乳房の再建や顔面変形疾患の治療などにあたり、幹細胞を加えた脂肪を欠損した体の部位に注入して補うもので、東京大学と当クリニックが共同開発し、東京大学付属病院で臨床研究を経た信頼性の高い最新技術です。また、厚生労働省が定める構造改革特別区域(法規制の関係で事業化が不可能な事業を特別に行うことができる地域)の特定事業にも認定されていて、乳房再建を受けていただいた患者さんは医療費控除が受けられます。乳房再建に医療費控除が適応されているのは全国でも当院だけですし、CALを受けられるのも当院だけです。

従来の脂肪注入手術とはどこが違うのでしょう?

自分の脂肪を吸引して注入するという点では同じですが、大きな違いは脂肪に含まれる幹細胞の数です。脂肪にはもともと幹細胞が含まれていますが、生着率(移植した脂肪細胞が注入部分に定着する割合)を考えると、それだけでは不十分なんですね。その点CALは吸引した脂肪に幹細胞を追加し、幹細胞の数を増やしてから注入することで生着率を上げることに成功しました。幹細胞というのはいろいろな細胞に分化(成長)できる万能な細胞なんですよ。例えば新しい脂肪細胞を作り出すこともできるし、血管を作ることもできます。つまり注入した脂肪細胞が死んでしまっても、それに代わる脂肪細胞を作り、移植した脂肪細胞が生着するのに必要な血管も新たに作ってくれるんです。ちなみに従来の脂肪注入手術の生着率は15〜30%程度でしたが、CALでは50%くらいに上昇しています。

乳房再建でいいますと、CAL以外の方法とCALで再建した乳房とではどんな違いがありますか?

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CALで再建した乳房は組織が柔らかく、自然な感触が持続します。術後、年月を経たとしても極端にボリュームがなくなったり形が崩れたりすることはありません。ただし年齢相応には変化するので、そういった意味でも極自然と言えるのではないでしょうか。手術は脂肪の量が多い太ももの付け根に極細の管を刺し脂肪を吸引する、一般的な美容外科の方法と同じで、傷は5mm程度。注入は専用の注射器で行うため、大きな傷跡は残りません。手術には3〜4時間かかりますが、入院は基本的に1泊のみ。術後は筋肉痛に似た痛みが出るものの、それも1週間程度で引きます。

乳房再建はデリケートな領域。失いかけた女性のアイデンティティーを取り戻す

乳房の手術はやはり乳がんによる乳房再建が多いのでしょうか?

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乳房に関しては乳房の左右差を解消するための手術も行いますが、一番多いのは乳がんで乳房を全摘・温存した患者さんですね。いずれの場合も基本的に乳房再建は可能です。ただCALで手術をするか筋皮弁法やシリコンバッグ法といったほかの方法を使うかは、それぞれのメリットとデメリットをご説明しながら患者さんと話し合って決めていきます。ちなみに乳房再建術に年齢制限はなく、70代でも手術を希望される方はいらっしゃいます。温泉がお好きな世代ですし、お孫さんと一緒にお風呂に入りたいと思われる方も多いので、とても喜ばれますね。

先生が形成外科を選ばれたのはなぜですか?

外科を選んだのは手を動かすことが好きだったからです。その中で形成外科を専門にしたのは、がんなどの悪いものを取り去る外科よりは、必要なものを作っていく形成外科のほうが、ポジティブに感じたからです。とくに乳房再建などは女性医師のほうが患者さんに安心していただけるので、この分野に進んで良かったなと思いますね。女性同士なので遠慮なく診察もできますし、患者さんの気持ちもわかるので、とてもやりがいを感じています。

たいへんデリケートな分野だと思いますが、診療ではどんなことを心がけていますか?

患者さんそれぞれのQOL(生活の質)を損なわないよう力を尽くすことです。乳がんの患者さんは自分ががんになってしまったというショックに加え、胸を失うショックもあって、女性としてのアイデンティティーを損なわれてしまうんですね。以前勤務していた大学病院の形成外科でも乳房再建が専門だったので、そういう女性をたくさん見てきました。ですから自分のこれまでの経験と知識をフルに生かして、患者さんが失った女性としての自信を取り戻して差し上げたい。胸の傷を目にするたびにショックを思い出すような暮らしをしないで済むよう全力を尽くしたいというのが私の願いです。

これまで診てこられた患者さんとの印象深い出来事は?

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それはもう、たくさんあります。お一人お一人、皆さん印象に残っていますからね。その中でも、とくに覚えているのは20歳代で乳がんになられた未婚の女性でしょうか。乳房切除をすることになりとても落ち込んで、お仕事も辞めてしまわれました。まだお若いのに、とてもお気の毒でした。でも手術は成功し、乳房再建もうまくいって、乳がん発覚の3年後になんと結婚が決まったんです。そのニュースを聞いて、もううれしくて、うれしくて。二人で「よかったね」と涙して喜び合いました。医師としても、同じ女性としても本当に安心しましたね。

CALは国内外で注目を集める最新技術。もっと広く治療の選択肢に

CALの技術はたいへん注目を集めているそうですね。

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はい、国内外の病院やクリニックの医師が見学に訪れます。乳房再建は乳がんの発症率が高い欧米で発達していますが、高度美容形成外科は近年、国内外で注目されています。先日はタイのクリニックに技術指導を行い、CALを手がけられるようになりました。国内でも徐々に認知され広がっていく技術だと思います。見学に来られた医師の対応は私がするので、大役を任されているなという自覚とともに、やりがいを感じています。CALの素晴らしさをしっかりとお伝えできるように、CALを共同開発した東京大学付属病院の医師と情報交換をしたり、世界で発表されている論文に目を通したり、最新医療学会に出席して最新の治療について学んだりしています。幸せなことにこうした最先端の医療に携わらせていただいているわけですが、結局は小さなことの積み重ねだと思っています。

辻先生以外に手術の執刀にあたるのはどんな先生ですか?

私のほかに東京大学付属病院の形成外科医が5人、執刀にあたります。CALのことはもちろん、脂肪注入手術を熟知した経験豊富な医師たちですから安心して手術を受けていただけます。また、麻酔医も手術に参加しますし、吸引・注入する細胞の処理は細胞処理技師が行うという点も患者さんの不安を最小限に抑えられる要素かと思います。

たいへんお忙しい毎日だと思いますが、お休みの日はどんなふうに過ごされるているのでしょう?

丸一日休める日はあまりないんですが、休みが取れたときはゴルフへ出掛けます。大学時代、ゴルフ部にいたので、今でも趣味で続けているんです。大学時代は部活動の一環でキャディーのアルバイトもしましたよ。現在のスコアは平均90くらい。一応、どなたとご一緒しても迷惑にならないレベルかなと思っています。ゴルフのおかげで、年齢やキャリアを問わず、たくさんの医師とつながりができて人間関係が広がりました。ゴルフをやっていて良かったなと思います。

最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

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さまざまな疾患が原因でおつらい思いをされている方は大勢いらっしゃると思います。乳房再建については術後のご相談はもちろん、手術を控えた方のカウンセリングもしていますので、ぜひご相談ください。乳房再建自体、よくわからなくて不安だという方も多いと思いますので、CAL以外の方法も含めてご説明させていただきます。CALがもっと広く治療の選択肢に加われば、患者さんのQOLも向上していくのではないでしょうか。でも、その前に女性の方は乳がん検診がとても大事。早期発見・早期治療ができれば、いまや死につながる病気ではありませんし、乳房再建もがんが進行し転移してしまっては叶いませんので、ぜひ乳がん検診を受けてくださいということを最後にお願いしたいと思います。

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