岡崎 光男 院長の独自取材記事
ハーモニーレディースクリニック
(神戸市西区/学園都市駅)
最終更新日:2025/06/03

学園都市駅の駅前から続く閑静な住宅エリアにある「ハーモニーレディースクリニック」。白い外観と街路樹のコントラストが印象的だ。この場所で、妊婦が本来持っている力を発揮できる自然分娩に注力してきたのが、岡崎光男院長。かつては高度急性期病院で産科診療を研鑽、不妊症の基礎研究にも取り組んだ経験を持つ産婦人科のベテランドクターだ。しかし従来の標準治療では対応できない患者や病状が多いことを痛感し、「原因から改善をめざす医療」「誰も取り残さない医療」を提供すべく開業。約15年にわたり、東洋医学を取り入れた診療を提供し続けている。今回は、遠方から訪れる患者も少なくないという同院の診療内容や、岡崎院長の医療に対する思いについて、じっくりと語ってもらった。
(取材日2025年4月25日)
家族の絆を深める、自由で自然な出産を
こちらならではの、独自の診療方針を掲げていると伺いました。

既存のルールにこだわらず、それぞれの妊婦さんやご家族のご希望に応じた、より「自由」なお産を提供したい。そう考えています。「自由」の示すところは幅広く、分娩のスタイルはもちろんのこと、妊婦さんの心も大事にすることや、ご家族と出産との関わり方、医療的な支援の方法などにも及んでいます。西洋医学の手法だけでなく、当院では漢方のような伝統医学にも目を向けています。同時に不妊症や妊娠中のトラブル、また現在の医療では治療や症状の軽減に重きを置かれている病気でも、その「原因」に注目しながら時間をかけて改善をめざしていく。これも、私が大事にしている診療方針です。
先生が、そのような医療をめざすようになったのはなぜですか?
一つは、妻の出産に伴うさまざまな経験です。当時はまだ立ち合い分娩が始まった頃で、わが家も含め幼いきょうだいを預ける先のない家庭は、とても苦労していました。集中的な医療的サポートが必要な場合には総合病院が重要ですが、そうでない多くの出産では、もっと自由に分娩のできる環境が欲しいと思ったのですね。結局、妻は自宅で出産し、私が赤ちゃんを取り上げました。もう一つは、大規模病院で勤務していた私自身が、病院での医療に限界を感じたことです。公害や大規模災害などで環境汚染が深刻になる一方、医学はそこへ目を向けず、話題にもできない雰囲気が。また分娩体制の維持が社会問題になり始めていても、解決に向けて動く空気も少なかったのです。さまざまな課題の「原因」から目を逸らす窮屈さを、痛感していました。私自身、イレギュラーな選択が好きなこともあり、個人の診療所で自分の思う医療に取り組みたいと考えたわけです。
分娩について、特徴を詳しく教えてください。

あらゆる面で「自然な出産」をめざすことを大事にしています。分娩室には洋室だけでなく和室もあり、妊婦さんは好きな体勢でリラックスして分娩ができます。また医療的な介入は最小限にとどめ、私は近くで待機。主に助産師さんが妊婦さんを最後まで支えます。もちろんご家族も一緒に入院できますし、分娩への立ち合いをお勧めしています。赤ちゃんが誕生する空間にお父さんやきょうだいが一緒にいてくれるのは妊婦さんの力になりますし、ご家族の大きな節目にもなります。出産は「無事に生まれたら終わり」ではありません。妊娠前から出産、その後の子育ては連続していて、次の妊娠にもつながります。妊婦さんがご自身の持つ力を十分に発揮し、「妊婦さんとご家族が主役の出産」を経験できれば、退院後も子育てに前向きに取り組めるでしょう。少子化の時代ですが、また産みたいと思ってもらえるような分娩をめざしています。
根本的な改善をめざすべく「原因」に目を向ける
先生が追求されている「原因に目を向ける医療」とは?

例えば不妊症の場合、現在は高度生殖補助医療が積極的に行われていますが、妊娠しにくい原因にはあまり目が向けられていないと思うのです。さらに、近年のワクチン被害や放射線・電磁波障害など、さまざまな体調不良との関連が示唆される問題に対して、今の医療は距離を置く傾向があります。そうではなく、もっと原因についてよく考え正面から向き合い、根本的な改善をめざしたい。そういう思いを強く持っています。
そのために、標準治療以外の手法も積極的に取り入れているのですね。
勤務医時代に感じていた組織的、学問的な窮屈さもあり、西洋医学から離れた領域にも関心を持つように。すると、漢方などの東洋医学や昔から育まれてきた医学的なアプローチに、共感できる学問体系が多々あったのです。そこで、海外で行われている自然治癒力を重視した考え方を習得。漢方を取り入れた東洋医学的なアプローチも取り入れてきました。同時に日々の食事や生活環境も大事にしています。これらのアプローチによって、患者さんの心身と全人的に向き合うことができます。今の医療にありがちな「ピンポイントの治療」ではなく、時間の流れも含めて患者さんを個別に、四次元的にサポートできると感じています。
「患者さんの全体を診る」ことが重要なのですね。

はい。今の医学は専門化、分業化が進んでいて、医師は患者さんを狭い範囲で捉えがちです。一方、幅広い知識と技量を持ち、患者さんのしっかりと話を聞く姿勢があれば、今の医療を受け入れられない人、病院の診療からこぼれ落ちてしまう人も受け入れられるでしょう。ネガティブなことや将来の不安ばかりを強調して医療に追い込むのではなく、その人が望む暮らしや生き方をお手伝いする医療がしたいのです。経営的ではないかもしれませんが(笑)。ですので、当院ではさまざまな医療的アプローチを提供していますが、患者さんに押しつけることはなく、必要であれば提案をさせてもらいます。
誰も取り残さない、幅広い選択肢のある医療
環境という点では、院内にもさまざまなこだわりがあるそうですね。

当院は、後継者を探していた先代の院長から引き継ぎました。建て直したほうが使い勝手は良かったのかもしれませんが、これだけの規模がありますから、必要な部分だけ手直しして大事に受け継いでいったほうが私らしいと思ったのです。そこで、患者さんやスタッフの健康に影響を及ぼす部分を中心に院内をリニューアル。建材や塗料から出る化学物質に配慮し、内壁はすべてしっくいと畳を採用。電磁波の影響を極力抑える設備や、ウイルスを排除するクリーン・ルームと同レベルの空調、水は限外ろ過フィルターを通していますのでミネラルが取り除かれ新生児のミルクに適していますし、不妊への影響が懸念されるマイクロプラスチックや放射能の除去にも役立ちます。
開業から15年、地域とのつながりも深めているとか。
漢方など当院で提供している東洋医学的なアプローチは、長い歴史の中で培われてきたものです。またプライベートではパワースポット巡りや歴史探索でリフレッシュすることもあり、地域性や歴史は大事にしています。今は近隣のお寺とコラボレーションして、妊婦さんが座禅に取り組んでいます。妊婦さんに大切な呼吸やリラックスを経験できるのですね。また当院では開業当初から遺伝子組み換え食品や添加物を避けた食事にこだわり、無農薬の野菜を地元の農家さんから仕入れてきました。私自身が安心なものを選んで食べたいですし、食の安全性に関心のあるスタッフも多いですし。食の問題に関心を持つ地域の方がつながれる、ちょっとした拠点のようにもなっています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

現在の医療で主流の薬や手術による治療、ワクチンでの予防、また医療者の効率が優先される病院の流れに、苦痛や不安を感じる方もいらっしゃると思います。当院では不調の原因に目を向け、西洋医学から伝統的な漢方まで幅広い手法を用いて、なるべく痛みを感じさせない方法で心と体にアプローチしています。お産でも患者さんやご家族の希望に合わせた自然な分娩をめざしますし、医師がサポートしながら助産師や看護師、スタッフや管理栄養士などが、チームとして柔軟に対応しています。ご自身の考えにフィットする医療に出合えていない、治療を続けてもなかなか症状が改善しないなど、現状に行き詰まりを感じている方には、お役に立てることがあるかもしれません。ぜひご相談いただいて、一緒に新しい道筋を探せればと思っています。