河井 秀仁 院長の独自取材記事
かわいクリニック
(津市/河芸駅)
最終更新日:2023/12/27
![河井秀仁院長 かわいクリニック main](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_banner_url/72614/20190814_bana-.jpg)
テラコッタ調の瓦屋根に白い壁、南欧の邸宅のような「かわいクリニック」。玄関脇にはレトロなガラス、待合室は木の梁がでており、天井の高い空間になっていて、木材と漆喰が、院内に温かい雰囲気を醸し出している。「来た方に、ほっとくつろいでいただけるクリニックにしたかった」と話すのは、河井秀仁院長。もともと胸部外科が専門で、病院で経験を積んだ後、地元である河芸町のクリニック勤務を経て2012年に開業。風邪やアレルギーなどの日常的な病気から、高血圧、糖尿病などの生活習慣病まで、幅広く診療する。「最期まで自宅で過ごしたい」という末期がんの患者や、認知症や寝たきりで、通院が困難な方には訪問診療も行う。そんな河井院長に、これまでの経緯や心がけ、今後の展望まで幅広く話を聞いた。
(取材日2019年7月26日)
入った瞬間に、ほっとくつろげるようなクリニック
院内は木が多用され、壁に絵が描かれるなど素敵なクリニックです。コンセプトを教えてください。
![河井秀仁院長 かわいクリニック1](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url1/72614/pc_1.jpg)
病院は一般的に、何となく冷たくて消毒の匂いがして怖いところというイメージがあると思うんです。お子さんもそうですが、お年寄りでも特に女性は、緊張されている方が多いと感じます。私は入った瞬間に、ほっとくつろぐことのできるクリニックにしたいと設計士さんにお願いしました。また、人体に有害な化学物質をなるべく避けたいと思い、木や漆喰など自然素材を多く使っています。私自身は、患者さんの緊張をとるために、白衣ではなく、緑、紫、青、黒などさまざまな色の服を日替わりで着ています。
内科、外科のほかに循環器内科、呼吸器内科、リハビリテーション科も標榜されています。
大学病院を辞めて地元のクリニックに勤務したことを機に、自分で開業するなら地域の方々のニーズに応えて幅広く診ようと考えました。私はここ河芸町の出身で、この辺りは小学生の頃から親しんできた場所です。近くの「町民の森公園」の体育館やグラウンドでは、昔からのど自慢大会や体育祭などのイベントが開かれていました。患者さんも近隣の方が中心で、お子さんからお年寄りまで満遍なく、ご家族皆さまで来られます。私の友人やそのご両親、私の両親の知り合いの方も来院してくださいます。
先生はもともと心臓や血管、呼吸器を含む胸部外科が専門と伺っています。
![河井秀仁院長 かわいクリニック2](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url2/72614/pc_2.jpg)
20代の頃、テレビドラマで救命救急や心臓外科の医師が取り上げられたことを見て憧れがあり、胸部外科に進みました。しかし当然のことながら実際の現場はたいへん厳しかったです。夜中に呼び出されることが多く、病院に泊まり込むこともありました。心臓手術は長時間にわたり、集中力や根気、体力も必要でした。またメインの術者になるには、長い年月を必要とし、才能も努力も必要でした。7年ほど病院に勤務する中で、私は手術をする外科よりも、内科のほうが自分の特性を生かせるのではないかと考えるようになり、そんなときに、お手伝いに行っていた河芸町の千里クリニックの院長に声をかけていただきました。
患者の顔を見ての診察を心がける
千里クリニックではどのようなご経験を積まれたのでしょうか?
![河井秀仁院長 かわいクリニック3](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url3/72614/pc_3.jpg)
同院は、大学の胸部外科の先輩の先生方が始められたクリニックで、入院施設、老人保健施設も備えていました。そのため外来や入院患者さんの全身管理のほかに、介護やリハビリ、在宅医療についても非常に多く学ぶことができました。同院には9年間お世話になり、開業については院長にも相談して、同じ町内なのですが「頑張って」と送り出していただきました。現在も、同院から紹介された患者さんや同院の施設を利用されている方が来られますし、こちらからは入院をお願いしたりしています。車で8分ほどの距離ですので「サテライト」のような感じで連携させていただいています。
普段、先生が心がけておられることを教えてください。
患者さんは幾つかある病院の中から当院を選んで来てくださっているので、何か少しでも満足して帰っていただけるようにと心がけています。例えば痛みがあって来られた方には痛みが少しでも取れるように、苦しくて来られた方には苦しみが取れるように、その方が求めてきたことに対してできる限りお応えしたいと思います。診療後は、来院時よりも「楽になった」「苦痛が緩和された」と感じていただきたいです。また当院では診察中、私の隣にスタッフが座り、診察の内容を電子カルテに入力しています。これは私がパソコンではなく患者さんのお顔を見てお話をするためです。勤務医時代に患者さんから、「病院の先生はパソコンばかり見ていて目が合わない」とお叱りを受けたことがあり、このクラーク方式であれば私は後で電子カルテの内容をチェックするだけで済みます。
患者さんにきちんと向き合ってくださるのですね。
![河井秀仁院長 かわいクリニック4](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url4/72614/pc_4.jpg)
向き合うことを大事にすると同時に、患者さんの時間をなるべく無駄にしないように待ち時間の短縮にも努めています。予約制を導入し混雑時は、2つの診察室を交互に使うのもそのためです。冬や春先は患者さんが多いのですが、お年寄りは歩くのもゆっくりですし、服を脱いだり着たりするにも多少時間がかかります。次の方を待たせてしまうからとせかすのではなく、「どうぞごゆっくり支度してください、お大事に」と声をかけて私は隣の診察室へ移動し、そこですでに座っていただいている次の方を診るのです。パソコンに打ち込む時間や患者さんの出入りの時間を短くする分、患者さんとお話する時間を十分確保したいと思っています。
優しいスタッフとともに地域住民に貢献
先生は訪問診療にも取り組んでおられますね。
![河井秀仁院長 かわいクリニック5](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url5/72614/pc_5.jpg)
開業時から、昼休みの時間帯に看護師と御自宅を訪問しています。1日に、施設だと1~2ヵ所で10人ほど、個人のお宅だと3~4軒を回ります。対象となるのは、足腰が弱った方、脳梗塞の後遺症がある方、骨折で寝たきりの方、認知症の方など。「最期まで自宅で過ごしたい」とおっしゃる、末期がんの方もいます。ご自宅で看取らせていただくことで、ご家族も安心されることが多いと思います。難しい検査や治療が必要になった場合は入院をお勧めし、状態が良くなればまたご自宅で診させていただきます。高度な治療は病院で、日常的な治療は小回りが利く私たちでという役割分担です。
先生がそもそも医師をめざされたきっかけはありますか?
最初のきっかけは、4歳から6歳にかけての数度の入院でしょうか。4歳にはおたふくかぜから髄膜炎になり1ヵ月の入院、5歳にはよく熱を出して扁桃腺を腫らしていたことから扁桃腺を取る手術で1週間ほど入院、6歳にはマイコプラズマ肺炎をこじらせて肝炎になり1ヵ月の入院。母は「お医者さんは、あなたのためにとてもよくしてくれた。あなたも将来はそんな人になれたらいいね」と。私は素直に「大きくなったらお医者さんになる」と言っていました。中高一貫の進学校に通ったことから現実的に医学部の道へ。おかげさまでその後は大病もなく、健康に過ごしています。
改めてこちらのクリニックの良さや今後の展望についてお聞かせください。
![河井秀仁院長 かわいクリニック6](https://prod-df-public.s3.amazonaws.com/uploads/doctordf/img_url6/72614/pc_6.jpg)
当院の良いところの一つは、スタッフが優しく、チームワークが安定しているということです。開業以来のメンバーもおり、ここ数年入れ替わりはありません。私がフレンドリーなタイプで患者さんにくつろいでいただきたいと思っているので、それが伝わっているのでしょうが、スタッフも患者さんには親身に対応してくれます。もし病院が怖いと思う方がいらしたら、どうぞお話に来て下さい。今後も、皆さんのお役に立っていきたいです。訪問診療についても、本当は自宅で過ごしたいのに医療が受けられないから入院するという方が少しでも少なくなるように力を尽くしたいです。