渋澤 龍之 院長の独自取材記事
渋澤矯正歯科
(目黒区/自由が丘駅)
最終更新日:2025/12/10
自由が丘駅から徒歩4分の場所にあるビルの3階。「渋澤矯正歯科」の院内に足を踏み入れると、そこにはシックな色調で彩られた歯科医院とは思えないような落ち着いた空間が広がっていた。2012年に開院した同院の院長を務めるのは、昭和医科大学歯学部で矯正学教室の講師を務めながら、顎関節と矯正治療の研究に従事してきた渋澤龍之先生。顎関節に関する専門知識を持ち、顎関節のトラブルや噛み合わせを重視。審美性と機能性を兼ね備えた矯正治療をめざしている。「歯科医師に必要なのは診断力と、その診断に沿った治療を行う技術力」と力強く語り、同院の診療においてもリスクを最小限に抑えるため丁寧な初期診断・検査に力を注ぐ。そんな渋澤院長に同院の矯正治療の特色や、理想とする矯正治療の在り方について話を聞いた。
(取材日2025年11月5日)
顎関節も含めた診断で、オーダーメイドの治療を実践
こちらの歯科医院の特徴について教えてください。

大学を卒業後、大学病院の矯正科で顎関節に何らかの問題がある人の矯正治療をテーマに、長い間研究を続けてきました。当院ではその経験を生かし、歯列を整えて正しい噛み合わせを作ることをめざすだけでなく、顎関節までカバーした検査・診断を行い、治療中・治療後のリスクの軽減に努めています。このプラスアルファの部分が当院の矯正治療の大きな特徴であり強みといえます。一般歯科や口腔外科など、その他の分野については、そのエキスパートの先生方がいらっしゃいます。そういう先生方とコラボレーションしながら治療していくスタイルを想定した上で、自分の専門分野に特化した歯科医院にしようと考えました。
どのような患者さんが多いのでしょう?
小さいお子さんからご年配の方まで幅広い世代の方がいらっしゃいます。中でも、比較的20代以降の成人患者さんが多いですね。歯並びがずっと気になっていたけれど、子育てなどで自分のことは後回しで、50代、60代になってから矯正を始められる女性もいます。他の歯科医院からの紹介で来院される方も多く、インプラントやかぶせ物の治療に取りかかる前に行う、理想的な噛み合わせや歯並びに整えるための矯正治療も数多く手がけています。
矯正治療において、顎関節の専門知識は非常に重要ですね。

顎の関節は、いわば噛み合わせの土台。その土台に問題がある人には、顎の関節が安定するように整えるための治療をした上で矯正治療を行います。例えば、家を建てるとき、土地を平らにならして柱を立てていきますよね。もし途中で土地が傾いて、せっかく立てた柱が傾けば工事をやり直す羽目になる。お口の中も同じこと。口を開けた時にカクカク音がする、痛みがある、口が開けづらい、そういう顎関節の症状を見逃してしまうと、治療の途中で痛みが出てきたり、関節の骨が変形して顔貌がゆがんでしまうといった二次的な症状が出ることがあります。関節に潜在的に問題があっても、今は痛くないし、口も普通に開くという方が何も考えずに矯正治療をした場合、寝ている子を起こしてしまうように、潜在的にあった顎関節の症状が出てくることもあります。そういうトラブルが起こらないよう、最初の段階で関節に問題があるのかないのかを見極めなくてはならないのです。
歯科医師と患者が信頼し合える環境をめざす
診療はどのような流れで進んでいきますか。

初診相談では、その方が一番気にされている問題点をまず確認します。初診ですべてはわからないのですが、大体こういう状態で、こういうふうに解決することが期待できるということを、できるだけ具体的に説明。本人が気づいていない問題が隠れている場合もあるので、それもわかる範囲内でお話ししています。「最終的にこうなります」と設定したゴールを患者さんに理解してもらわなくてはならないし、引き受けたからには患者さんが満足できるゴールに到達させる責任が僕にはあります。そのために欠かせないのが詳細な検査です。だからこそ当院では初期診断に重きを置いて、CTなどの先進の検査機器や顎関節の知識を駆使して口の中の条件やコンディションをしっかり把握し、その人にとって理想的だと思われる治療を提案するように努めています。
実際に治療に入る際に心がけていることは何ですか。
詳細な検査・診断にもとづいて一人ひとりの患者さんに対し、オーダーメイドの治療プランを立て、丁寧に説明し、毎回の処置もじっくり時間をかけて行っています。治療の特性上、時間もかかりますし、保険診療に比べるとお金もかかる。僕は、患者さんの協力なしには治療は成り立たないと思っているんです。歯科医師と患者が互いに信頼し覚悟を持ってゴールをめざす、それが僕の理想とする矯正治療の在り方です。そして、歯科医療の主役は、歯科医師ではなく治療を受ける患者さんです。当然ですが、歯科医師が自分の技術をひけらかすためではなく、患者さんのために治療するわけですから。ですから、患者さんの気持ちを何よりも優先します。そのために、疑問や不安をすべて解消してから治療に取りかかるようにしています。
院内はまるでホテルのようなラグジュアリーな空間ですね。

開院は2012年ですが、3年前に駅前の再開発の影響で150mほど離れた場所に移転し、リニューアルオープンしました。当院は矯正治療専門の歯科医院なので、「落ち着いて、通い続けたいと思える」というコンセプトで、くつろげる空間にしたいというのが第一でした。以前より多少広くなったので、スペースも余裕を持った使い方をしています。長い治療期間中には不安になったりつらく感じたりすることもあると思います。そういった場合にもできるだけ早急に察知し不安を解消できるよう、内装のこだわりだけでなく、スタッフみんなで日頃から患者さんがアピールしやすい雰囲気を作るよう心がけています。
患者の悩みを解消し、笑顔で人生を送るサポートを
そもそも先生が矯正を専門に選んだ理由は何だったのでしょう?

学生時代の臨床実習でいろんな診療科を回る中、一番惹かれたのが矯正歯科でした。矯正は段階に分けてどの歯をどこにどうやって動かすことをめざすか、綿密に考えなくてはいけません。そのために歯型やエックス線、口腔内の写真を撮って、それらを分析し治療方法を組み立てるわけですが、そのプロセスがとてもロジカルに感じられたんです。痛いから削る・抜くという対症的な治療とは違い、じっくり時間をかけて治療をするという、矯正歯科ならではのスタイルも僕の性分に合っていて、魅力的だと感じました。検査診断をし、その都度詳細な資料を残すので、途中経過が一目で把握できるし、治療後もどこが良くてどこが悪かったのか振り返ることができる。再評価して次につなげられるシステムが僕にとても合っていて、今は自分にとって天職だと思っています。
矯正歯科医としてやりがいを感じるのはどんなときでしょうか。
治療のすべての場面でやりがいを感じていますが、最初の段階、お口のことで深刻に悩んでいる患者さんが来られたときにまず、「手助けできることがあれば最大限努力しよう!」と自分の中でモチベーションが上がります。あとはやはり、治療が終わって患者さんが喜んでいる様子をみるのは、この仕事を続けていく上で大きなモチベーションになっています。歯並びのことで自信が持てなかった方のお役に立てたら、喜びを感じますね。ただ治療をするだけでなく、人生が転換する分岐点に関われていたなら、うれしいです。
最後に、歯科医院選びや歯の健康について読者にアドバイスがあればお願いします。

歯科医師や歯科医院を選ぶとき、家から近いほうがいい、安くて早いのがいい、優しそうな先生がいいなど、選択基準は人によってさまざまだと思います。自分の大切な歯を治療してもらうのですから、その歯科医師が信頼に足るかどうかという判断基準を持つことがやはり大事ではないでしょうか。高齢になってから矯正治療をする方も増えていますが、より若い時にやるほど、その後の長い人生を機能的にもいい状態で過ごすことができます。日本は歯並びに対する意識が、海外に比べるとまだ遅れていると考えています。欧米と同じように、矯正治療を受けるのが当たり前というような風潮にもっと近づいていけば良いなと思いながら、日々診療をしています。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正
・⼤⼈(永久歯列期)77万~187万円
・子ども(混合歯列期)44万~55万円

