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田邊 陽一郎 院長の独自取材記事

みなとメンタルクリニック

(横浜市中区/馬車道駅)

最終更新日:2021/10/12

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馬車道駅から徒歩約3分、桜木町駅と関内駅からも徒歩約5分の好立地で、30年以上にわたってかかりつけ医として診療に取り組んできたのが「みなとメンタルクリニック」だ。同院の3代目院長に2021年6月就任した田邊陽一郎先生は、これまで精神科を専門とする医師として東北地方での診療に従事し、東日本大震災後は被災地での医療活動に取り組んできたほか、急性期から慢性期の多様な疾患に対応した、多職種連携を重視した在宅療養支援診療所での訪問診療に携わるなど、人に寄り添う医療を実践してきたという。「患者さんの悩みを否定するのではなく真摯に向き合い、少しでも安心していただけるような診療を心がけています」と優しい笑顔で話す田邊院長に、同院のことやこれまでの経験などについて話を聞いた。

(取材日2021年7月21日)

地元の人々が、気軽に立ち寄れるクリニックをめざす

クリニックを紹介していただけますか?

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当院は、関内・馬車道の地域の方々に30年以上にわたって愛され、続いてきたクリニックです。私は今年の6月に3代目の院長に就任しました。これまで内科一般や外科一般、精神科を一通り診療してきましたので、当院でもその延長線上で、メンタルヘルスを中心に内科などの健康管理もお手伝いしたいと考えています。かかりつけ医として地元の方々が気軽に立ち寄れるようなクリニックをめざしています。実際に来られている患者さんは、この辺りは通勤エリアで住んでいる方よりも働きに来ている人が多く、いろいろな理由で仕事に疲れてしまったり、つまずいてしまったという方が中心ですね。

どのような経緯で今回、院長に就任したのですか?

私は小学生の頃に伊勢佐木町で育ち、本屋で参考書を買ったり、山下公園で遊んだりしていたこともあり、開業するなら地元とも言えるこの地域だと考えていました。そんな時にちょうど、こちらの前院長が引退するので後継者を探しているという話があり、継承させていただくことになりました。私が引き継いでから院内を少しだけ模様替えをして、カウンセリングルームを作り、発達障害の心理検査やカウンセリングを始めました。また、待合室にパーティションや空気清浄機を設置するなど、感染症対策も行っています。

クリニックの特徴を教えてください。

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かかりつけ医である以上はある程度、診療日も広く持って、患者さんが具合が悪くなったときにも、すぐに対応できるようにしています。ですから、当院では基本的に祝日以外の全曜日を診療日にしています。例えば土曜日に診察をして日曜日が休診だと、土曜日に処方した薬が合わない時に電話もつながらない、誰に相談すれば良いのかわからなくなってしまうかもしれませんよね。そうならないように診察時には丁寧に説明をするなど気をつけていますが、予想外のことが起き得るんです。そのような時に電話でご相談いただければ、「その薬を飲むのはやめてください」とか、「一時的な症状なのでそのまま飲み続けてください」などアドバイスができることで、患者さんに安心していただければと思っています。

訪問診療にも取り組んでいきたい

発達障害の方が増えているような話を聞きました。

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増えてきているというよりも、発見されやすくなったという言い方のほうが正しいと思います。今までは、仕事がうまくいかないと“うつ病”であると思われることが多かったと思いますが、仕事がうまくいかなくて気分が落ち込んでしまう理由をひもといていくと、得意なところと不得意なところがあって、不得意のところに仕事が集中してしまうと苦しくなってしまう、発達障害の症状であることがわかることもあります。その場合、カウンセリングではまず本人に何ができて何が苦手なのかを整理・確認していき、その結果を状況によっては職場と共有をして、活躍できる分野とサポートが必要な分野のアドバイスをするなど、交通整理をしていくことで患者さんの一助となれればと考えています。

ほかに、力を入れていきたいことはありますか?

私はこれまでに訪問診療の経験がありますので、今後は精神科の訪問診療をはじめ、整形外科の医師をしている妹や友人の協力を得ながら総合的な訪問診療を展開していきたいと考えています。もう一つ、家から出られない、いわゆる引きこもりと称される患者さんに対する訪問での心理検査も準備しております。患者さんの自宅に伺って心理検査を行い、外出できない理由を客観的なデータをもとに確認していくことで、次にどのようにしていけばいいのかが見えてくると考えています。横浜市であれば地域の訪問看護ステーションと連携し、精神科が専門の看護師さんにフォローしてもらう中で、単に外の世界が怖いのか、外の世界に理解が追いつかないのか、外の世界で挫折したから出られないのか、など原因を探っていくことで外に出られるようなアプローチを考えていくなど、困っているご本人やご家族が前に進むきっかけをつくっていきたいですね。

先生は、震災復興にも尽力されていると伺いました。

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私は研修が終わった後、東北大学病院の精神科に勤務していました。その頃に東日本大震災があったのです。私が勤務していた病院が石巻に2つあったのですが、1つの病院は完全に崩壊し、もう1つの病院はなんとか残っていた状態でしたので、残っていた病院のお手伝いを2年くらいしていました。その間、避難所へ巡回して診察も行っていました。震災以降、東北は医師の数が減っていて、戻る気配があまりないんです。一旦関わった以上は、開業したからといって、終わらせるわけにはいきませんから、今でも私のできる範囲でお手伝いに行っています。これは、これから先もずっと続けていきたいと考えています。

ぎりぎりまで追い詰められる前に相談を

診療の際に心がけていることは?

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患者さんには叱ることをせず、やわらかい表現や言葉遣いをするよう心がけています。例えば、薬を飲み忘れたとしてもここでは本当のことを言っていただきたいですからね。それに、誰のための治療かというと患者さんのためですから、治療方法をいくつか提案して、どれが良いかとお伺いするようにしています。どのような治療であっても、合う合わないがありますし、その道が近道か遠回りかは進んでみないとわからないところもあります。ですから心の中ではちょっと遠回りかなと思っていても、患者さんが納得した方法をやっていただいて継続していかないと、うまくいかないのではないかと考えています。そうすることが結果として一番の近道になるのではないかと思っています。

先生は、なぜ精神科を専門に選んだのですか?

最初は消化器内科か小児科を専門にしようと考えていて、実際に研修医の頃は、内科のプログラムに入っていたんです。ですが、さまざまな患者さんを診ていくうちに、検査数値の良しあしとその人の幸せが比例していないことに気づいたのです。例えば、糖尿病の人の血糖値がどんなに良くなろうとも不安な人は不安ですし、逆に血糖値がものすごく高くて、いつどうなってもおかしくないような場合でもニコニコしている人がいる。その違いを見ているうちに、何をすべきなのか迷いが出たというか、治療をしていっても、幸せかなのかは心が決めるのだとわかってきたことで、精神科を専門にすることにしたのです。患者さんの話を伺うと、このような壮絶な人生からよく立ち直ってきたのだなと思うことがあります。人間には回復力というか、傷と同じように心にも回復力があるんだと日々の診療で感じますし、それを促すようなお手伝いをしていきたいですね。

最後にメッセージをお願いします。

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当院には新患の方も多いのですが、皆さん、仕事を辞めるか辞めないか、実家に帰るか帰らないかなど、ぎりぎりの状態まで追い詰められてからいらっしゃるんです。もう少し早く来てくだされば、さまざまな選択肢があったのにという思いは常にあります。傷で例えると、大きすぎて出血を止めるのが精一杯。でも、もっと小さい傷のうちに来てくれていれば、かさぶたになるのも早かったのに、という感じです。ですから精神科は敷居が高いと感じることがあるかもしれませんが、病気の治療に来るというよりは、具合の悪さが何に由来するのかを確認するため、という感覚で来ていただければと思います。そして、これまで先輩の先生方が培ってきた当院の信頼を裏切らないよう誠意ある医療を続けていくと同時に、新しいものも取り入れて、患者さんが満足できる医療を提供していきたいと思います。お悩みのことがあれば早めに、お気軽にいらしてください。

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