田中 民江 院長の独自取材記事
アイビー眼科
(廿日市市/宮内串戸駅)
最終更新日:2022/03/24

廿日市市宮内。県道30号線からほど近い「アイビー眼科」は2005年開業。一般眼科診療の他、日帰り白内障手術にも力を入れており多くの患者が相談に訪れる。「週2回午後を手術日としていますが、1日5、6件程度とし、きめ細かに対応できるようにしています」と田中民江院長。患者一人ひとりとしっかり向き合い、意向を大切にしながら診療を行うことをモットーとしている。そんな田中院長にさまざまな話を聞いた。
(取材日2021年11月9日)
白内障手術はゆとりを持って対応し、対話も大切に
最初にクリニックの特徴を教えてください。

当院は、眼科一般の外来診療、コンタクトレンズ処方、眼科検診の他、日帰り白内障手術、糖尿病網膜症・網膜裂孔などのレーザー治療を行っています。コンタクトレンズは誰でも経験する老眼への遠近両用タイプをハード、ソフトともに種類をそろえています。また眼鏡やコンタクトレンズなしの生活をご希望の比較的若い方には、オルソケラトロジーという就寝時にハードコンタクトレンズを装用し、角膜のカーブを変えて近視を軽くすることをめざす方法も選択肢の一つとして取り入れています。オルソケラトロジーは、点眼と併用した治療も行っています。
受診されている患者の傾向について教えてください。
当院は廿日市の宮内という所にあります。JRや市電の電停からは離れているので車で受診される方が多いです。周辺には新旧の団地があり、歴史のある団地には60歳以上の方々が多く、新しい団地には子育て世代の方々が多く住んでおられます。ですので患者さんは小さな子どもさんから高齢の方まで幅広い年齢層となっています。普段診療をしていて最近は90歳以上の方が増えたという印象があります。最年長は104歳の方が来られます。お元気な方が多く年齢を見てびっくりすることも多いですが、中には認知症になってしまって白内障の手術をする時期を逸してしまう方もまれにはおられます。その時はもっと早く受診していただけていれば、と思うこともあります。
白内障手術に注力されているのですね。

はい。当院では月・金の午後は一般診療を行わず、手術のみとしています。以前は週1回でしたが希望される方が増え、手術までに4ヵ月以上も待つこともありました。見えにくくて困っておられる患者さんを長く待たせてしまうのは申し訳ないと手術日を週2日に増やしました。現在は1日5、6件程度を目安とし、余裕を持って手術を行っております。また患者さんへの手術の説明は私自身が行っています。まず、この方は手術をしたいのかどうか、どんな度数にしたら便利になって喜んでもらえるか、単焦点、多焦点のどちらが良いかなどきめ細かく相談させていただきます。また目の手術というと怖いと思われている方も多いので安心して手術を受けていただけるよう私もスタッフも十分な説明を心がけています。こぢんまりしたクリニックだからこそのメリットかなと思っています。
白内障について詳しく教えてください。どのような症状で白内障の可能性があるのでしょうか?
年齢を重ねると多くの方がかかる病気です。進行が遅いので気づきにくいのですが、初期症状として暗い所で見えにくい、光があたるとまぶしくて見えにくくなるという症状が多いです。他には近視がどんどん進むタイプの白内障もあります。最初は眼鏡やコンタクトレンズの度数変更で対応できますが、進行すると眼鏡やコンタクトで矯正しても見えにくくなるため手術が必要になります。病気が見つかるのが怖くて、また手術が怖くて受診できなかったと言われる方が時々おられますが、白内障もあまりに進行すると手術時に合併症が起こる可能性がありますので、受診できなかったと言われる方が多い病気ですが、手術が難しくなるまで白内障を放置するのは考え物です。
開業までの経緯などについて
開業までの経緯を教えていただけますか?

中学、高校はノートルダム清心です。1992年に香川大学医学部を卒業し、出身地の広島に帰り広島大学眼科学教室に入局しました。研修医を終え、初めて勤務したのは因島市医師会病院でした。初めての常勤医ということでとても温かく迎えていただきました。その後は因島での勤務を終える頃がちょうど出産と重なったため産休に入り、10月に出産し翌年1月には広島大学に常勤医として戻り日本眼科学会眼科専門医の資格もその時に取得しました。子どもが赤ちゃんの時は実家の母と祖母が面倒を見てくれました。その後は日赤病院、安佐市民病院、開業医への勤務を経て廿日市でアイビー眼科を開業しました。
開業にあたって、この地を選ばれたのはなぜですか?

私の父と祖父は広島市内で眼科の開業医をしていました。昔はおおらかだったのでしょうね。小さい頃から職場に遊びに行っては祖父の仕事や薬の調合を見ていたり、患者さんにもかわいがってもらっていました。そうしているうちに自分も眼科になるといつの間にか思っていました。廿日市を選んだのは当時ドーナツ化現象というのがよくいわれていて、近くの人口が減ってきていたのと街中なので他の眼科もたくさんあり、その上実家の眼科もかなりの老朽化状態で迷っていたところ、廿日市で眼科医を探していると聞きこの地を選びました。今になってみると廿日市では当院より北には眼科が少なく、吉和のほうからも多く患者さんが来られますし、周辺も住宅地ですので眼科を必要とされる方が多いのでこの地を選んで良かったと思っています。
患者の意向を尊重しながら一人ひとりに合わせた診療を
日々の診療で患者さんと接する時、大切にされていることは何ですか?

患者さんの気持ちを理解することを心がけています。患者さんは誰しも不安を抱えて受診されます。眼科医にとっては病気のうちに入らない結膜の出血でも患者さんにとっては一大事です。赤ちゃんでもなることもあるし目に害はないものですよと説明することで、安心して帰っていただけるようにしています。また、体の不自由な方、認知症の方、自閉症や脳性麻痺でコミュニケーションが難しい方、小さな子ども連れの方、耳の不自由な方、超ご高齢の方などは目に何か心配があっても受診しにくいと感じておられることが多いと思います。その場合はあらかじめお電話で日時などのお問い合わせも可能ですし、遠慮なく受診していただきたいです。どんな疾患も早く見つかるほど経過が良いものです。
お忙しい毎日と思いますが、お休みの日はどのように過ごしていますか?
今はコロナ禍で難しいですが、旅が好きです。知らない景色を見るとワクワクします。大学時代には車の免許を取ってすぐに女友達と広島から車で北海道まで行きました。今はそんなに長く休みを取ることはできないので良い思い出です。他には歌が好きでずっと続けています。ジャズボーカルなのですが、ミュージシャンの方や音楽好きの知り合いも増えて世界が広がりました。何か心配なことがあっても歌を口ずさんでいると気が紛れて心が沈まないので精神的にもとても役に立っています。趣味を生かして患者さんにも音楽を楽しんでいただきたいと開院以来毎年院内コンサートも行っています。コロナ禍で院内コンサートができませんが、代わりにライブハウスやスタジオで録音し、ホームページでも見られるようにしました。時々患者さんから「見ましたよ。とっても癒やされました」と言っていただくととてもうれしいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

地域の方々に気軽に足を運んでいただけるようなクリニックでありたいと思っています。心配な状態を我慢しているのは一番良くないことです。何も異常がなければ安心ですし、もし病気が見つかっても早いほうが手遅れにならないで済むことが多いです。どうぞ遠慮なく相談しに来てください。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/両眼15万円・片眼11万8000円(レンズの定期交換費用別途)、多焦点眼内レンズ(選定療養=眼内レンズと一部の検査代自己負担)を使った白内障手術/自己負担額11万~22万円