辻 正敏 理事長の独自取材記事
辻眼科クリニック
(鹿児島市/慈眼寺駅)
最終更新日:2021/10/12

国道226号沿いに位置する「辻眼科クリニック」。アットホームな雰囲気の外観は「患者さんが緊張せずに通える場所であってほしい」といった理事長の辻正敏先生の思いから。鹿児島大学医学部卒業後、県立大島病院や肝属郡医師会立病院、青雲会病院、鹿児島厚生連病院など、数々の病院に勤務した後に開院。眼科領域の一般的な診療から、白内障手術、緑内障治療、オルソケラトロジーまで幅広く対応している。「誠実・奉仕・笑顔」をモットーに患者に寄り添った医療の提供をめざしている。そんな辻先生に、診療についての思いを聞いた。
(取材日2020年10月2日)
麻酔科で全身管理を学び、眼科医師として研鑽を積む
クリニックの特徴を教えてください。

当院は2009年に開業し、今年で11年目を迎えます。クリニックのある鹿児島市和田は、私の生まれた地域なんです。この辺りは、昔から住んでいる方をはじめ、区画整理に伴い新しいファミリーも増えているエリア。そのため、子育て世代から高齢の方まで幅広い患者さんがいらっしゃいます。外観などもアットホームな雰囲気なので、患者さんからもよく「こちらにお住まいなんですか?」と聞かれるんです。めざしたのは患者さんが緊張せずに通える場所。クリニックを訪れる患者さんは、何かに困っていたり、不安を抱えながら来てくださいます。患者さんとのコミュニケーションを大切にしながら、話をよく聞き、気持ちに寄り添えるよう心がけています。
眼科の医師をめざした理由は? また、大学卒業後はどのように経験を積まれたのですか?
私自身、小学生の頃から目が悪かったんです。近視で悩んだ経験があったため、目に対して興味を持ち、悩みを解決したいと思いました。鹿児島大学医学部を卒業後は、鹿児島大学麻酔・蘇生科学教室に入局。今でこそインターン制度があり、自分の専門外のことを学ぶ機会も増えていますが、昔はすぐに自分の専門科へ進むことが多かったんですね。「もっと広い視野で診療にあたりたい」と考え、麻酔・蘇生科を選択しました。麻酔・蘇生科の医師はいわば全身管理の専門家であり、集中治療や救急医療で重要な役割を担います。いずれ開業するときのためにも、しっかりと学んでおきたいと考えました。その後は、県立大島病院の眼科医長、肝属郡医師会立病院の眼科部長、青雲会病院の眼科部長を経て、鹿児島厚生連病院などにも勤務。県内を広く回ったことで地域の特性などを学ぶ良い機会になりました。
普段から体調管理に努めているそうですね。

休日や仕事終わりには体調管理のためにも体を動かすようにしていて、趣味のテニスは大学時代から続けています。50歳を過ぎて感じるのが「ある程度年齢を重ねると、差が出てくる」ということ。昨年、高校時代の仲間が集まる同窓会に参加したのですが、同じ50歳でも本当にさまざま(笑)。その様子を見て「ここが分かれ道! 元気に過ごすためにも、もう一度スイッチを入れて頑張らなければ」と一層真剣に取り組むようになりました。全力でスポーツを行うことはリフレッシュにもなり、何より仕事にも良い影響を及ぼします。
患者の希望を受け止め、白内障や緑内障の診療に注力
白内障の手術にも力を入れていると伺いました。

白内障は眼内の水晶体が濁る疾患です。紫外線による変性が原因の一つとされ加齢により徐々に出現。かすんだり眩しいといった症状が現れます。もちろん、手術を望まない患者さんに対しては点眼薬などで進行を遅らせるための処置を行って様子を見ることも。しかし、視力改善を望む患者さんに対しての根本的な治療法は手術になります。手術に用いるレンズには、「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。一般的なレンズの他、当院では「低加入度数分節眼内レンズ」も扱っています。これは、多焦点レンズと単焦点レンズの間に位置するようなレンズ。焦点の幅が広く、遠くから中間までの距離が従来の単焦点レンズよりよく見えるような設計になっています。光がにじんで見えたり、まぶしく見えたりといった不快な症状が少ないのも特徴です。一方で、近くが見えにくいため、手元の新聞などを見る場合は眼鏡が必要になることもあります。
近年増えている「緑内障」。気をつけるべきことを教えてください。
緑内障は失明の原因の第1位を占めている疾患で、40歳以上の20人に1人の割合で発症するといわれています。何らかの原因で視神経が傷つき視野が欠けていく病気で、「暗点」といわれる見えない場所が出現する、あるいは見える範囲が狭くなるといった症状が一般的。初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときにはすでに進行していることも少なくありません。当院では、定期的な視野検査やOCT(光干渉断層計)による画像診断をもとに、一人ひとりに合わせた治療を行います。一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。従って、緑内障の治療はこれ以上進行しないよう、視野進行を確認しながら、病状に合わせた点眼薬を処方しています。失明に至らないためには、検査によって早期発見から早期治療につなげることが重要です。
力を入れていきたい治療や検査はありますか?

緑内障の早期発見のための視野検査にも力を入れています。新しい視野測定機器を導入し、これまでの視野計では測定できなかった複雑な刺激も呈示することが可能になりました。また、「糖尿病網膜症」「加齢黄斑変性」「網膜静脈閉塞症」などの網膜疾患を精密に診断できる「OCTアンギオ検査」も導入。従来、蛍光造影剤を注射して撮影していたところ、造影剤注射を使わずに検査できるため、患者さんの負担が少なくなるといったメリットもあります。さらに、これらの疾患に関する治療では、マイクロパルスレーザーを用いた痛みの少ない低侵襲な治療を心がけています。これにより、合併症を引き起こすことも少なくなり、治療に注力できるようになりました。今後も新しい検査法や医療機器などを積極的に取り入れながら、患者さんの悩みに応えていきたいですね。
目の病気や症状は早期発見・早期治療が大切
「オルソケラトロジー」という近視矯正方法があると聞きました。

「オルソケラトロジー」とは、寝る時に専用のコンタクトレンズを装着することで、角膜の形状の矯正を図り、視力の回復をめざす治療法。手術のいらない視力矯正用のコンタクトレンズとして今、注目を集めています。日中は裸眼で過ごせるので、スポーツをする人などにとってはメリットですね。また、降灰の多い鹿児島では、一般的なコンタクトレンズを使っているとゴロゴロとした違和感を感じたり、痛みを引き起こすことも多々あります。けれども、オルソケラトロジー用のコンタクトレンズは、日中は装着しないため、紛失や破損はもちろん、患者さんへの身体的負担も少ない治療法といえるでしょう。さらに、近視の進行抑制にもつながることが期待されています。
どのような人に適しているのでしょうか?
対象になるのは、軽〜中等度の近視の人。原則20歳以上ですが、保護者のもとしっかり管理できる場合は20歳以下での使用も可能となっています。その際、レンズの取り扱いや着脱ができることが重要になります。当院でも、保護者がしっかりと管理を行うことで、中学生で治療をするケースがあります。取り扱いはハードコンタクトレンズと同じで、初めは異物感があるため、慣れが必要です。まずは、適応検査により、オルソケラトロジーが適しているかを判断。トライアルなどを経て、問題がなければオルソケラトロジー用コンタクトレンズを購入していただきます。定期検診を受けながらしっかりメンテナンスしていきましょう。子どもの場合は、近視が進みやすい一方、結果につながりやすいと考えられるため、早めに取り組むことをお勧めしています。まずは気軽にご相談ください。
最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

現代の私たちは、スマホやパソコンなどを使い、目を酷使する生活が増えています。見え方など「何だかおかしいな?」と感じたら、気軽にいらしてください。また、自覚症状のない病気もあるため、専門の医療機関で検査を行い、早期発見に努めることも大切です。これからも新しい治療法や医療機器を取り入れ、より良い診療体制を整えていきながら、患者さんに寄り添った医療をめざしていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー(両眼)/9万9800円(税込)※適応検査・診察料込