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小綿 一平 院長の独自取材記事

伊勢原まごころクリニック

(伊勢原市/伊勢原駅)

最終更新日:2019/07/01

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小田急小田原線の伊勢原駅から徒歩1分の「伊勢原まごころクリニック」は2012年開業。院長の小綿一平先生は45歳で医師を志して東海大学医学部に入学、勤務医を経て2010年に日本精神神経学会精神科専門医の資格を取得したという経歴を持つ。「最初に患者さんがお会いになるのは、私ではなくスタッフです。スタッフ全員が患者さんのことを考えた細やかな気配りと丁寧な応対をしてくれているので、本当に助かっています」と話す様子からは患者主体の想いが伝わってくる。東日本大震災の際には市民ボランティアとして被災地に赴き、その後は医療ボランティアとして診療に参加。現在でも月に1回のペースで診療を続けているのだそう。そんな小綿院長に、医師としての思いから趣味に至るまで、幅広く話を聞いた。
(取材日2019年3月6日)

45歳で医学部に入学。地域医療への貢献をめざし開業

まず、医師をめざした経緯をお聞かせください。

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もともとサイエンスに興味があり東京大学の科学史科学哲学科で学んだのですが、卒業後はまったく関係のない企業に就職しました。サラリーマン生活を送っていましたが、諸事情あって会社を辞めることにしたのです。今から思えば、当時の私は適応障害にかかっていたのだと思います。職場でのコミュニケーションに悩み、全身にじんましんが出たこともありましたからね。実は18歳の頃、進路を考えるにあたって医学部をめざそうと思ったこともあったので、一念発起し、医学部への進学を決意しました。45歳で医学生になったのですが、それも家族の理解と協力があってのことです。

なぜ、精神科、心療内科を専門とされたのですか。

私は精神分析に興味があって、フロイトなどの本をよく読んでいました。ですから精神医療には、以前から関心を寄せていました。実は医師をめざしたときに、医療過疎地の診療所で、地域の皆さんのお役に立てる医師になりたいと考えていたのです。ただ、そういう環境では、外科、内科はもちろん、耳鼻科や眼科など科を問わず、とにかくなんでもできなければなりません。ときには緊急手術に対応する必要もあります。そのためには幅広い知識と経験が必要です。自身の年齢を考えると、現実問題として時間が足りません。そこで以前から関心のあった、精神科、心療内科を選んだのです。

初めから開業を意識していたのでしょうか?

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医学部に入ったときから教授に「私は開業します」と宣言していましたし、専門医の資格を取得したら開業しようと、最初から決めていました。伊勢原は私が東海大学入学時代から家族で移り住んでいて、地域の皆さんも穏やかな方が多く、温暖な気候で過ごしやすい町なので気に入っています。また、研修医時代から勤務していた東海大学医学部付属病院が近く、知っている先生も多く開業していますので、地域での医療連携がとりやすい。特に心療内科は、内科的なことも加味しながら診察をしますので、内科や婦人科、耳鼻科といった他科との連携が必要になることが少なくありません。ですから「開業するなら伊勢原で」と考えていました。

患者の話をしっかり聞くことで、適した診療を心がける

診察の際には、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。

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当たり前のことですが、患者さん一人ひとりのお話をしっかりお聞きすることです。時間だからといって次回に先延ばしにすることはせず、患者さんの問題はその日のうちに対応するよう心がけています。また、これは当院の特徴といえるかもしれませんが、初めて受診される方にお渡しする問診票は、ご自身の症状を細かくチェックしていただく問診票になっています。そして、必要な情報は紙にプリントアウトしたものを用意しています。例えば、就労支援の制度やカウンセラーのいる病院、精神療法の資料などを、必要に応じて患者さんにお渡しします。そうすれば、ご家族に見せることもできて、情報の共有ができますから。

どういった患者さんが多いのでしょう。

昨今一番多いのは、適応障害の患者さんです。日常生活でストレスを抱えていらっしゃって、心身の状態を悪くしていらっしゃる方々ですが、私が勤務医をしていた頃に比べると、とても増えている印象です。ご家庭や家族関係でのストレスを抱えている方もいらっしゃいますが、やはり会社における環境要因で、例えば残業が多すぎるとか、会社や上司からのプレッシャーなど、そういう方たちが非常に増えているというのが最近の傾向です。中高年の働き盛りの方が多いですが、入社数年という若い方もいらっしゃいます。もちろん適応障害だけではなく、双極性障害やうつ病、統合失調症、パニック障害、強迫性障害もありますし、それらが複合しているケースもあります。少数ですが認知症の方も診させていただいていますし、本当にさまざまな病態の方がいらっしゃいます。

適応障害とは、どういった病気なのですか。

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症状としては、頭痛、肩こり、手の震え、動悸といった身体的なもの、不安感や意欲減退といった精神的なものがあります。これらの症状は、うつ病と同じなので区別がつきにくいのですが、大きな違いがあります。うつ病は原因がよくわからないことが多いのですが、適応障害の場合は置かれている環境によるストレスが原因です。例えば、会社に行こうとすると頭痛がするのに、休日になるとそれがない、良くなっている。そんなうつ病はありません。それは適応障害です。会社にいることがつらいのであれば休職する、あるいは部署を異動させてもらう。そういった環境調整が非常に重要です。適切な治療や対応のためにも、早めに受診をしていただきたいですね。

日常生活でストレスを感じたら、まずは専門家に相談を

東日本大震災の被災地で、ボランティア診療をされているそうですね。

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初めは震災が起きた年の大型連休に、ボランティアに参加しました。医師として何かしなければと思ったのですが、そうでなくても何か役に立てればと思って石巻でがれきの処理や側溝掘りをしました。その後、妻が小さい新聞記事で見つけてくれた相馬市の医療ボランティアに応募し、精神科の医師として診療にあたりました。津波でお子さんを流されたという話をしてくださるお母さんなど、多くの方を診療させていただきました。今でも月に1回、「世界の医療団」という国際NPO団体からの派遣医師として、福島県相馬市の「メンタルクリニックなごみ」というところで、主に外来診療を行っています。患者さんにとって医師、特に精神科の医師が変わるのは良いことではありません。また最初から、つらい話をしなければいけませんから。われわれが必要でなくなるときが来るまで、要請がある限り続けるつもりです。

ご自身の健康管理はどのようにされていますか。

尊敬する師範に指導を受けて40年近く、空手を続けています。今は師範代として稽古に励んでいます。また中学・高校時代は陸上競技をしていたので、伊勢原に来てからはジョギングもしています。平日は可能であれば朝、数キロのジョギングと空手の練習や腕立てを1セット行い、1時間くらいトレーニングをします。最近ではトレイルランニングという山岳レースにも参加しています。街中ではなく、自然の中を走るので健康にもいいですし、ストレス解消にもなります。食事はなるべく野菜を多く取れるように、工夫しています。妻にはいろいろな面で支えてもらい、感謝しています。

では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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精神科や心療内科は敷居が高いと思っているかもしれませんが、とりあえず扉を叩いてください。適応障害の方が多いという話をしましたが、体に異変が出たら、それはもう、体が「助けてくれ」と言っているのです。おそらくパニック障害でも、最初は内科で診てもらって「どこも悪くないですよ」と言われます。パニック障害というのは自律神経のアンバランスによって起こりますから、採血してもレントゲンを撮っても異常はないんです。そうなると症状の発見が遅くなり、対応も遅れて悪循環になります。また適応障害になる人は真面目な人が多いので、我慢してしまい、さらにストレスをため込むことになります。ですから家族や友人にカミングアウトして、少しでも早く環境調整をしてください。いずれにしてもメンタル面で少しでも思い当たることがあったら、早めに精神科、心療内科を受診していただきたいです。

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